表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔界探偵2~四種族と死神の復讐~  作者: クレキュリオ
第2章 過去と現代の交わるところ
27/62

第2話 現場の捜査

もう少し引っ張る予定でしたが、そこまで大がかりなトリックじゃないので。過去編は短めに。

現代編はいままでと同じくらいです。

 私とユウガは共に、海岸の調査を始めた。

 見張りと言う名目で、ケーさんも一緒に来ている。

 これは仕方ない。一応魔物は訴えられている側なのだから。


 早速周囲を見渡してみると、漂流物がいくつか見つかった。

 木の棒や板。ゴミや空き瓶などが流れ着いている。

 筏に使えそうな丸太類は、存在しない。


「それにしても、妙な形ね」


 私は率直な感想口にした。木の板は正方形ではない。

 ギザギザしていたり、丸かったり。様々な形のものがある。


「これはドワーフの狩り後。木の獲物を剥いだ後」


 ふむ。ケーさんによれば、ドワーフが板を加工したようだ。

 確かにこんな分厚い板を、綺麗に加工できるのは。

 器用なドワーフくらいなものだろう。


「問題は、何を作ったかよね?」

「うん。この木の板、集めたら何か形が出来るかもね」


 ユウガが板を集め始めた。海岸には結構な数がある。

 私が手伝おうとすると、ユウガは手で止めた。


「大丈夫。ユミホは海に出た何かを、探してくれ」


 確かに集め終わっても、形を作るのに時間がかかる。

 ここは二人でやるより、他の捜査をした方が良さそうね。

 私はケーさんと共に、別の場所の捜査を始めた。


 海岸沿いはまだ暗い。しっかり見まわさないと、手がかりを見逃しそうだ。

 霧も濃い。遠くの人が、黒い影に見えるほどだ。


「そう言えば。事件当時、霧はどうだったんですか?」

「一寸先が見えない白。見えるのは遠くなる、闇のみ」


 今みたいに濃かったようだ。となると、見間違い説も見当違いではないだろう。

 それにしてもこの暗さと、霧でよく船を進めようと思ったものだ。


「ん? この黄色い布は何かしら?」


 木の枝に引っかかっている、黄色い布を見つけた。

 触ってみるとゴム製で、伸縮性がある。


「それはゴムボートの破片。レスキュー隊を助け、環境保護を困らせる狂犬さ」

「ゴムボート?」

「空気を入れればふくらみ、浮力で水に浮かぶ。緊急用として、船に常備されているぜ」


 これもドワーフ製なのだろうか?

 魔界の船にこんなものがあった、記憶がないのだが……。

 船に常備ってことは、人界の船にもあったのだろう。


 これがあれば、船に何かあった時避難できそうね。

 逆に船が沈むと分かっていれば。犯人はボートで逃げられるのよね。


「デカいうえ、この辺は木の枝がよく流れる。だから擦れて、環境破壊を良くしている」

「まず、木の枝を除去した方が、良さそうですけどね」


 このボートの欠片。最近付着したもののようだ。

 と言う事は。つい最近、誰かがゴムボートを擦ったのだろう。


「ちなみに、ゴムボートって。縮めたらどれくらいになるんですか?」

「バックの中へ入る大きさ。所詮デカいのは見た目だけさ」


 回収も楽ってことね。このボート、記録しておいた方が良いわね。

 

「他に気になるものは……」


 私は改めて、周囲を調べた。金属で出来た物体を見つける。

 ラッパの様に、口が広がっている。

 

「なんでしょう? 楽器なのかしら?」

「気をつけな。奴さん、口から火を噴くみたいだぜ」

「あ。本当だ。口の部分に残留魔力が」


 と言う事は、この中で魔法が使われたようだ。

 ケーさんの言う通り、炎の魔法と空気の魔法が使われた形跡がある。

 こんなものに炎の魔法を使って、何になるというのだろうか?


「他にもいくつか落ちているようだ。ヤドカリとデートか?」

「多分、違うと思いますよ」


 周囲には五本ほど、ラッパ型の金属が落ちていた。

 その全てに、炎と空気の残留魔法が残っている。

 楽器かと思ったが、吹くための穴が見当たらない。


 ラッパ状の口以外、出入口が存在しないのだ。

 と言う事は、魔法は手をここから突っ込んで放った事になる。


「大体この辺りの捜査は、こんなものかしら?」

「ああ。因果を奏でるユウガの下へ戻るぞ」

「もしかして、韻を踏んでいるつもりですか?」


 私は苦笑いをしながら、ユウガの下に戻った。

 ベストタイミングと言うべきか。ユウガは木の板を完成させていた。

 不自然の形の板は、完成されると必然的な姿を現す。


「あ、ユミホ。そっちの進展は?」

「そこそこね。でもユウガのおかげで、確信を持てたわ」

「うん。これが人界人が、勘違いした訳だよ」


 ユウガが完成させた木の板。それはガーゴイルの形を作っていた。

 板なので、平べったいが。現場は霧が濃かったらしい。

 影だけみたら、ガーゴイルだと十分勘違い出来るだろう。


「ハリボテと言うやつだな。ドワーフが劇でよく使うらしい」

「ここにきて、またドワーフか……」


 間違いない。魔物の仕業に見せかけたも。

 船を沈めたのも、ドワーフ族の誰かだ。

 でも肝心の、個人を特定する証拠が見つかっていない。


「どうやらこの辺の捜査は、これが限界みたいだね」

「ええ。ユウガのおかげで、突破口が見えたわ」


 ハリボテ。ゴムボート。そしてラッパ上の金属。

 どうやら一つに繋がってきたわね。

 あと少し。人物の調査を進めれば、犯人までたどり着けるはずよ。


「捜査は順調のようですね」

「あ。ワンダさん」


 ワンダさんが単独で、様子を見に来てくれた。

 私は軽く手を上げて、挨拶をする。


「こちらも順調です。大体の証言は集まってきました」

「ワンダさん。一応聞いておきますけど。魔界のせいと主張する船員。ガーゴイルの影を見たんじゃ?」

「ふむ。どうやら、大分捜査が進展しているようですね」


 ユウガの言葉は当たっているようだ。

 ワンダさんは完成してた、ガーゴイルのハリボテを見て納得している。


「犯人はドワーフで決まりですね。どうします? もう裁判をするほどじゃないですけど?」


 これで魔界の無実は証明出来る。人界との関係が拗れることがないはず。

 でもやっぱり、こんな事を仕組んだ犯人が知りたい。

 このまま終わらすなんて、私は嫌だ。


「いいえ。ここまで来たら、とことん真相を追及しましょう」

「そうですね。公開裁判なら、犯人は逃げられません」


 ワンダさんも私と同じ気持ちだった。

 親近感が湧く。彼女とは良い友達になれそうな気がする。

 もし和平が結ばれたら、真っ先に会いに向かいたい。


「本当はこの後、証人に会ってもらおうと思ったのですが……」

「う~ん。犯人に余計な事、察しられたくないなぁ……」

「そうですね。ですから。裁判まで私達、もう会わないようにしましょう」


 そうだ。忘れていたけど、相手の弁護士はワンダさん。

 同じ真実を追求するけど、形だけでも対立しないと。

 犯人がこれ以上動かないようにするためにも。


「証人の方は、人界守護隊が責任を持って見張ります」

「お願いします」


 人界人が見張っているなら、犯人も身動き取れないだろう。

 問題は裁判まで、少しだけ間が開くのだけど。


「善は急げ。それこそ運命」

「えっと、ケーさん? 何言っているんですか?」

「裁判の日程は、俺が早めてやろう。エルフの国に直接、意見を出す」


 ケーさんも協力してくれるようだ。

 真実を知りたいと言うのは、種族を問わず同じ考えね。


「明日には開けるように、調整する」

「早いですね。大丈夫なんですか?」

「ふ。こう見えても。俺はこの国の重鎮」


 そうだったんだ。全然そうは見えなかったけど。

 エルフ族でも特に偉い、貴族らしい。

 ふと夫が何かを考え込んでいた。ジッと海の方を見つめている


「ユウガ? どうしたの?」

「いや。犯人がドワーフなら……。どうやって、魔法を使ったのかなって」

「え? あ!」


 そうだった。ドワーフは物理の種族。

 魔力が低いため、魔法が殆ど使えない。

 だったら、金属に付着した残留魔力はなんなのだろうか?


「でも全く使えない訳じゃないよ?」

「うん。でも明日の裁判。そこが争点になる気がするよ」


 ユウガの予想は当たる。きっとこの残留魔力が大事なのだろう。

 つまり。このラッパ状の金属を何に使ったのか?

 どう使ったのかが、争点ってことね。


「今日は一旦休もうか。急に裁判が始まるから、魔王様に報告しないと」

「そうね。さっさと、蹴りをつけて和平を成立させましょう!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ