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魔界探偵2~四種族と死神の復讐~  作者: クレキュリオ
第1章 双子塔事件
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エピローグ 十二年の旅路へ

「マホとツカサが全てを認めたよ」


 事件解決から一夜明けた後、ルナティックさんが報告に来てくれた。

 双子塔で起きた二つの事件は解決した。

 十年前、父を殺した人物を暴いたのだ。


 それでも僕の心は、まだ晴れていない。

 ツカサに黒幕が居たというは勿論だけど……。

 父の行動が謎めいている。まだ分からないことは多い。


「父さんは何故、十二年前の事件に執着していたのだろうか?」


 悪い言い方をすれば、魔界の外の出来事だ。

 コン家没落事件は、エルフの国の出来事なのだから。

 なのにあの魔物は。母さんの失踪を無視してでも、この事件を追い続けた。


 何が彼をそこまで縛っていたのか。僕にはまだ理解できない。

 それに父なら、証拠を見つけた時点で、殺される事を予期するはず。

 魔王様に証拠を預けたのだから。間違いない。


「だったら、何故魔界を出たのだろうか?」


 死神は人界の殺し屋だ。魔界に居れば、魔の手は伸びないはず。

 なのに父は、殺される覚悟をして。どうしてエルフの国に来たのだろうか?

 僕が独りぼっちになっても、良かったのだろうか?


「お前。わざわざ騎士長が報告に来たのに。不満そうな顔ですね?」

「いやいや! アリス様! 別にルナティックさんが来た事が不満なわけじゃ……」

「冗談です。事件が起きないと、案外冴えないものですね」


 アリス様は微笑しながら、口にした。

 結局この人だけは、最後まで食えない人だったな。


「そう言えば。魔王様はどうなったのでしょうか?」

「ああ。目を覚まして、事情聴取中だ。俺達に決定的な証拠を渡してな」


 ツカサを追い詰める、決定的証拠か。

 人界の科学力なら、その証拠の真価を発揮できるんだったな。

 もっと早く、和平が進んでいれば。父は死なずに済んだのかもしれないのに……。


「それと。坊主に渡したいものが二つある」

「二つもですか?」

「ああ。一つは魔王が持っていた、ユウガの手記だ」


 ルナティックさんは、手帳を僕に渡した。

 魔王様が異空間に保管していたからか。

 古めかしさはない。


「中身はユウガの捜査記録だろうな。死神を捕まえるまでの」

「父の記録……」

「坊主が死神に狙われない様。奴が捕まるまで、情報を隠すよう言われたそうだ」


 父の調査した軌跡が、ここに書かれている訳か。

 万が一僕の手に渡って、死神の情報を得た場合。

 僕も死神の殺害対象に入っていたのかもしれない。


 父は僕が狙われる事を、避けるためにこの手記を?

 この手記を見れば、父の事が分かるかもしれない。


「それとこれは俺から。十二年前に捜査の捜査記録だ」


 ルナティックさんはもう一つ。大きな手帳を渡してきた。

 先ほどの手記と違い、様々な人間の文字が書かれている。

 なんで人界の騎士長が、エルフの国の事件を?


 などと思っていると。僕は見たことがある筆跡を見つけた。

 偶然かもしれないが、特徴的な書き方をする平仮名があった。

 

「こ、これ……! 母さんの字だ!」


 十二年前のコン家没落事件は、母さんも関わっていたのか!?

 そう言えば、母さんが失踪した時期と一致する。


「どうしてこんなものを、ルナティックさんが!?」

「お前さん。十二年間の事件の事を知らないそうだな?」


 僕は頷いた。事件の名前すら、アスハさんに言われるまで知らなかった。

 何故僕の両親が、関わっているのか。

 エルフの国で何が起きたのかすら、僕は何も知らない。


「当たり前だな。事件の記録は人界の上位議会、"元老院"と、ドワーフにより抹消されたからな」

「ちょ、ちょっと待って下さい! 事件はエルフの国で起きたんじゃ……」

「領土と言う意味ではな。だがあの事件は。四つの種族が絡んだ、大きな事件だったんだ」


 それほど大きない事件が、記録を抹消されるなどあり得るのか……。

 人界の上位議会だけでなく、ドワーフまで巻き込んで。

 十二年前、コン家に一体何があったって言うんだ?


「十二年。和平が結ばれるまで、本当に長かった」

「ええ。何年も前から、話自体はありましたけど……」


 魔界側でも反対勢力が働いたりして、何度も頓挫した。

 現在は反対派の動きも沈静化して、ようやく締結することができた。


「マホがずっと根回しをしてくれたよ。主の無実を証明するため」

「もしかして。十二年間の事件を、再調査するつもりですか?」

「ああ。"人界の皇帝"と"魔界の魔王"。双方に睨まれちゃあ、ドワーフも黙っていられねえ」


 なんだか怖そうな眼光だな。


「国際騎士の権限の下、あの事件を調査する」

「どうして、人界の騎士長がエルフの国の事件に拘るのですか?」

「坊主。魔王にも許可を取った。数日間、仕事に空きがあるか?」

「え? ええ。しばらく休業していますし」


 魔王の娘、ルシェ様の付き人として働くためにも。

 僕はしばらく探偵業をお休みしている。


「なら、ついて着て欲しい所がある。十二年前の現場に」

「ルナティックさんが言った、魔王様への野望用って……」

「ああ。数日間、お前を借りる事だったんだ。必要だと思ってな」


 ルナティックさんは、僕の両親を知っている。 

 それも敵対国の魔物ではなく。親しい友人として。

 十二年前、この国で何が起きたのか。僕は知りたい。


「分かりました。ルシェ様にお暇をいただく許可を貰います」

「そうか。ありがとな」


 ルナティックさんは、真剣な表情で僕に頭を下げた。

 

「少しバタバタさせるが、二時間後に出発だ」

「大丈夫です。荷物少ないんで」


 僕はルシェ様に許可をもらい、十二年前の現場に行くことにした。

 軽く荷物をまとめて、ルナティックさんが用意した馬車に乗る。

 アリス様も捜査に同行するようだった。その理由も、明らかになる。


 僕は移動する馬車の中で、十二年前何が起きたのか。

 ルナティックさんに教えてもらった。

 コン家没落の真相と。僕達の両親が残したものについて。


 次はこの事件の核心。コン家没落事件について、話そうと思う。

 この事件は、過去の現代が絡まり非常に複雑な為。

 今までの話より長くなる。過去に何が起きのか。


 そしてその過去が、現代にどのように影響しているのか。

 コン家没落事件の真相が、次の話で明らかになる。

第二章のみ、少し特殊な構成となっています。

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