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魔界探偵2~四種族と死神の復讐~  作者: クレキュリオ
第1章 双子塔事件
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第10話 推理議論終盤~最後の追及~

「この事件だけは、死神が直接手を下した……」


 アリス様がこめかみに手を当てて考えている。

 思い返せば当たり前だ。死神に繋がる証拠がない理由。

 それは死神自体は他者を操って、実行犯になっていないからだ。


 でもこの事件だけは、死神が直接手を下した。

 ツカサの反応を見れば、分かることだ。


「しかし何故です? このトリックなら誰も行えます」

「ああ。俺ら人界人は他種族ほど、大した特徴がねえからな」


 確かに人族は、魔物の様に個々の力も。

 エルフの様な魔力と羽根も。ドワーフの様な力と器用さもない。


「それとも、お前には分かるというのですか? その理由が」

「……」


 僕は父の事を何も知らない。でも、魔王様達は良く知っている。

 彼らは口をそろえて言う。僕の父は『優秀だった』と。

 そんな優秀な彼が、バックドラフトに引っかかった理由。


 そこに答えがあるんじゃないだろうか?

 もしそうなら。これは父の事を知れる第一歩になれるかもしれない。

 考えるんだ。あの時父が何を思い、何故殺されたのかを……。


「アリス様。今は分かりませんが……。考えるだけ、やらせてください」

「まあ、私の許可はいりませんが。お前を邪魔する者が居たら、この剣で排除しましょう」


 頼もしい限りだ。これが最後の追及。

 ツカサがこの事件で、自ら手を下さなければならない理由を考えるんだ!


「ツカサは言った。自分では手を下さないと……」


 今回の事件。巨大スポンジや、取っ手を細工。

 更にバックドラフトは、事前に準備が必要なはずだ。

 塔の構造も知っていおく必要もあるし、道具も居る。


 計画的犯行なのは間違いない。だから突発的に殺したなんてあり得ない。

 その理由を考えるためには。死神と言う殺し屋の特徴を思い出してみよう。

 人界の殺し屋である彼には、絶対的な特徴があったはずだ。


「絶対に証拠を残さない事……」


 人界最高位の騎士達が、一切尻尾を掴めていない。

 確かにツカサは狡猾だが、証拠を残さないなんて可能なのか?

 アスハさんの事件と、今回の事件。彼の暗躍から考えると。


「死神は本人にすら悟られず、殺しを誘導させる……」


 死神の正体は、他者に殺しをやらせる心理術だ。

 事件後に自分が現場に細工することで。事件を複雑にさせている。

 例え証拠が見つかっても、それは実行犯の証拠だ。


 直接死神に繋がらない。待てよ?

 死神は実行犯にも悟られず、操る事が出来る。

 つまり彼の正体を、暴けるものは存在しないことになる。


 つまり死神にとって最大のタブーは、身バレのはずだ。

 例え操った者にすら、その正体を悟られてはいけない。

 ここに死神自らが手を下す、理由があるはずだ。


「父さんたちは……。死神の正体に繋がる証拠を持っていたのかも……」


 入手経路までは分からないけど。

 父さん達は死神がツカサであるという、証拠を持っていたんじゃないか?

 その口封じに殺すなら。絶対に他者にやらせる訳にはいかない!


「万が一持ち物を見られたら、自分の弱みになる……」


 死神は身バレを絶対に防がないと、いけなかった。

 この時だけは証拠を自分の手で消すため。

 自らの手を汚すしかなかったんだ。でも……。


 現場から父さん達の持ち物が消えたなんて、聞いていないぞ?

 それに決定的証拠があるなら。何故父さんたちは公表しなかったんだ?

 ……。人間には他の種族にない、特徴があったな。


「科学力だ……!」


 ドワーフのようにな器用さはないけど。彼らは発想力がある。

 他の国より進んだ科学力で、人界は平和を保ってきた。

 つまり死神にとって。人界で証拠を調べられることが不都合だった。


 考えろ、ユウキ! 父さんが聞いた通りの魔物なら。

 真実を隠すことはしない。ならその証拠は。

 人界に渡るまで、絶対安全な場所に保管しているはずだ!


「魔王様と一緒に捜査していたなら……。異空間の魔法が使えるはず……!」


 繋がった! これが今回の動機に繋がるんだ!

 ツカサは十年前、二人殺してまで証拠をもみ消そうとした。

 でもそれは出来なかったんだ。何故なら?


「ツカサを示す証拠は、魔王様の作る、異空間の中にある」


 ツカサは異空間に閉じ込める事で、永遠に証拠を消そうとした。

 何故十年後の今更と言う答えも、シンプルに説明できる!


「ほう。ユウキ。その笑みは何か、分かった笑みですね?」

「はい、アリス様。死神の正体を暴く、鍵を見つけました」


 僕は魔王様が乗せられた、エルフ族の馬車を見た。

 その途端、ツカサは分かり易く、取り乱した。

 冷徹な彼が、珍しく拳を握っている。


「ツカサ。どうやら貴方はここにきて。最大のミスを犯したようですね!」

「あ、アレ~。何のことかなぁ? 僕は死神じゃ……」

「最大の証拠品を処分することが出来なかった。魔王様の異空間に保存された証拠をね!」

「ぐぅ……!」


 ツカサは眼鏡を握りつぶした。

 額に汗をびっしょりと流しながら、それでもニヤリを笑う。


「十年前。貴方に繋がる証拠を、父さん達は見つけた」

「っ……!? ぐぐぐ……!」

「でも父さんたちは、その証拠の真価を発揮出来なかった。人界の科学力が必要だったからです!」


 父さんは証拠品に、人族の力が必要なのが分かっていたはずだ。

 だから父さんは、最も信頼できる存在に証拠を保管してもらった。


「なるほど。人界と魔界はこないだまで争っていましたから。おいそれと手は出せませんね」

「魔王が俺ら人間に証拠を渡す事は出来ない。そう踏んでいたわけか」

「ですが今日。絶対に起きてはいけない事態に発展した。人界と魔界の和平ですよ」


 今日の昼。人界と魔界は和平宣言をした。

 長きに渡る争いに終止符を打ったのだ。

 それは死神にとって、不都合な事だ。


「人界の聖騎士団に、証拠が渡ってはいけない。だから貴方は……」


 僕はツカサに向けて、強く指を向けた。


「マホさんを利用して、魔王様を殺害しようとしたんだ!」

「うっ!」

「でもその作戦は、ホソさんによって失敗した」


 だから現場に来た時、ホソさんが死んでいるの見て。

 ツカサは動揺していたんだ。そこで死んでいるのは魔王様の予定だったから。

 

「それでは。魔王様が意識を戻しましたら。証拠品を、人界の騎士長にお渡ししましょうか」

「ああ。徹底的に調べてやるからな! 覚悟しろよ!」

「うぎゃあああああ!」


 ルナティックさんの剣幕にやられて、ツカサは発狂した。

 

「そしてマホさん! これなら現代で、何が起きたのか正直に話していただけますね?」

「うん……。私が殺そうとしたのは……。死神。このツカサだったんだヨ……」

「貴方は煙突から、ツカサを突き落とした。はずだったんですよね?」


 ホソさんや魔王様ほど大柄じゃないし。

 ツカサを突き飛ばすくらい、エルフでも可能なはずだ。


「でも実際、ツカサは突き飛ばされたんじゃなく、わざと飛び降りたんだ!」

「そっか。煙突から落ちたら気絶していると思って。トドメとして……」


 凶器を落として、ツカサを潰そうとしたのか……。

 でもそれはツカサの仕組んだ、罠だったんだ。


「ぼ、僕には魔王を気絶させることはできない! だって、魔力がないから!」

「ふ。それは通りませんよ、ツカサ。人界には外傷を残さず、意識を奪う技術などいくらでもあります」


 アリス様がツカサに人差し指を向けた。


「例えば、睡眠薬とかね。エルフの国では無理でも、人界の技術なら痕跡を確認できます」

「んぎゃああああ! アリス如きにぃ!」

「さっきから、お前。私を何だと思っているのです?」


 あのツカサが取り乱している。これでトドメだ!

 

「もうお終いだよ、ツカサ! 最後に! 事件をまとめて、お前の悪事を全て明かす!」

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