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魔界探偵2~四種族と死神の復讐~  作者: クレキュリオ
第1章 双子塔事件
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第6話 推理議論開始~騎士団への反論~

「さてと。役者も揃ったし。昼間と同じく、推理対決と行こうか」

「待ちなさい、ツカサ。何故お前が仕切っているのです?」


 アリス様、凄い冷たい目線でツカサを睨んでいる。

 一方のツカサは愉快そうな笑みを浮かべて。

 こめかみに手を当てて、彼女に返す。


「酷いなぁ。アリス。僕だって、少しは捜査していたんだよ?」

「お前は信用できません。人界人であることを、考慮しても。まだユウキの方が信用できます」


 僕の信頼ってどのくらなんだ? いや、聞くのは止めておこう。

 とにかくツカサが仕切り出したからには。

 今回も何か仕掛けている可能性がある。


「アリス様。エルフの騎士団の言い分を聞きませんか?」


 僕はアリス様に発言した。まずは魔王様が犯人と言う根拠を聞かないと。

 彼らの証言を切り崩すことで、反撃の糸口を掴む。

 今必要なのは情報だ。何を根拠にしているか。それを崩していこう。


「そうね~。私が違う違う言っても、彼を疑う理由は何かなぁ?」

「なら、僕が彼らの代わりに、証言しても?」


 ツカサが挙手をして、口を挟んだ。

 どういう事だ? 彼にも捜査権はないはず。

 なんでエルフの騎士団の主張を知っているんだ。


「一応聞いておくけど、アリス。喋っても良いかな?」

「……。ユウキが良いというなら、構いません」

「同僚の僕より、そっちを信用するんだ?」


 名前で呼び合て居るという事は、二人は同格か。

 ツカサは隊長クラスだったから……。アリス様も隊長なんだ。

 ……。色んな意味でそう見えないけど。


「それじゃあ、まず。犯人はどうやって、被害者を殺したのか? 説明しておこうか」


 ツカサが意味深な笑みと共に、話し始める。

 ホソさんの殺害した方法か。それが騎士団の根拠なわけだな。


「被害者は殴られた訳じゃない。突き落とされたんだ。屋上の煙突からね」


 落下しが死因だと、主張しているのか。

 でもそれなら、魔王様が犯人と言いきれないのでは?


「被害者は筋肉質で大柄だ。突き飛ばすにしても、持ち上げるにしても。相当な力が必要だね」

「現場には魔法が使われた痕跡がありましたが? 現場には重力を操作する魔法がありました」

「あ、アリスさん……。重力魔法は、生物に通用しないんです……」


 ユキがアリス様に反論する。僕の時とは違い、彼女は反論を冷静に受け止めた。


「あの巨体を持ち上げる腕力。魔王くらいにしか出せないだろうね」

「ですが魔王は現場で倒れて居たうえに。自分の部屋が血だらけでした」

「それは僕らを騙す、偽装工作だよ」


 魔王様はわざと現場で気絶していた。

 それがエルフの騎士団の主張か……。


「魔王は嵌められた振りをして。わざと自室を現場に選んだんだ」

「随分とリスクの高い、偽装ですね? 本当にそうなのですか?」

「何せ魔王様には、ユウキ君が居るからね。彼が庇ってくれる事を、想定していたんだろう」


 魔王様を僕が庇うだって? そんなことはしないさ。

 本当に彼が犯人なら、僕は魔王族だって告発する。


「魔王は見ての通り、力が強い。被害者を"持ち上げる"ほどの力を出せるのは、彼だけだからね」

「それは違うよ」


 僕はツカサの発言の矛盾を、指摘した。

 彼の事だから罠の可能性もあるけど。今は突き進むしかない。


「犯人は本当に、被害者を持ち運べる力があったのでしょうか?」

「じゃなきゃ、突き落とせないけど?」

「ならばおかしいですね。現場には、何かが引きずられた痕跡がありました」


 横幅からして、死体であることは間違いないだろうね。


「あの血痕。所々途切れていました。これって、犯人が道具を使って、被害者を引きずったってことですよね?」


 犯人は被害者を運ぶのに、道具を必要としたんだ。

 魔王様の腕力は確かにあるので。そんな事する必要はない。

 それどころか、引きずる必要擦らないはずだ。


「それも偽装工作なんだよ。犯人に腕力がないと見せかけるため……」

「違うと思いますよ」

「なに? 何故アリスから反論されなきゃいけない?」


 ツカサとのやり取りで、アリス様の普段の扱いが分かるなぁ……。

 でも彼女の言う通りだ。これが偽装工作なのはあり得ない。


「道具を使ったという事は、この塔にある道具を使った可能性が高いですね」

「アリス。僕は知っているんだよ。魔王一族は、異空間に道具を仕舞えることを」

「魔法を使った可能性もないですね。分かりますよね? ユウキ」


 その通りだ。今回の事件で、異空間から道具を取り出せたはずがない。

 

「現場には残留魔力がありませんでした。物を取り出すには、魔法を使う必要があります」

「アリス。魔物の言う事を信じるのか? 疑われているのは、こいつらの王だぞ?」

「お前よりは信用できますね」


 アリス様、凄いどや顔でハッキリと言い切ったな。

 でも僕達が偽証していると言われたら、お終いだ。

 もっとも。残留魔力を見られるのは僕達魔物だけじゃないけど。


「マホさん。エルフ族にも残留魔力は見えますよね?」

「ん~。魔物ほどハッキリ見えないけど。使用の痕跡くらい分かるよ」


 マホさんは両手を合わせて、目を瞑った。

 何を祈っているんだろうか?


「勿論そんな魔法が使用された、形跡はなかったね~」

「……! まさかアリス如きに、言い負かされるとはね……」

「策士策に溺れるってやつですね」


 アリス様、全然意味が違います!

 やっぱりおっちょこちょいなんだなぁ。


「魔王様に運ぶ道具を持ち出せない以上。犯人と断定はできないはずだよ!」

「それとも偶然塔で見つけたとでも、主張しますか?」

「……」


 魔王様の部屋には、当然見張りが居た。

 彼が道具を持って出入りしていたなら、気づかれるはずだ。

 屋上への出入りだけは、煙突を使ったと言いきれそうだけど。


 物を持って煙突から飛び降りることは出来ない。

 被害者を運べる道具からして、かなりの大きさだからね。


「ツカサ。何か反論はありますか?」

「何もないね。もっとも今のは、僕の主張じゃなく、エルフの騎士団の主張だけど」


 余裕そうに笑顔を向けるツカサ。やっぱり裏があるな。

 彼はこんな主張が通るとは、初めから思っていない。


「まあ、アリスにすら分かる事に気づけないなんて。この国の騎士は教育が悪いね」

「なんですか。その人を馬鹿みたいに言い切る、口調は」

「アリス様はおっちょこちょいでドジなだけです」

「ユウキ。それ、微妙にフォローになってないです」


 初めからフォローする気なんてないんだけどね。

 

「なら、これで誰が犯人か議論を続けられるね」

「その余裕そうな表情が、ムカつきますね」

「僕が思う犯人は、違うからね」


 アリス様は内心のイライラを抑えながら、ツカサを睨んだ。

 今にも切りかかりそうな勢いだが、抑えている。


「それで。誰なんですか? お前の考える真犯人とは?」

「お前だよ」

「はあ?」


 ツカサは見下すような目線で、アリス様を指した。

 

「と言う訳で、今回の犯人はアリスちゃんでした~! ちゃんちゃん!」

「ちょっと待ちなさい! 何故私が、犯人なのですか!?」

「だって、アリス。あの部屋にルナティック様が居ない事を知っていたよね?」


 死体が発見された場所は、ルナティックさんの部屋だ。

 そうか。犯人があの部屋を偽装工作に使うには……。

 

「あの部屋に騎士長が居ないと、事前に知らないと。偽装工作なんて不可能なんだよ!」

「私は事件前に、人界側の塔を出ていません!」

「入口の証人は、意味をなさない。アリスもそれを知っているはずだよ」


 ツカサ、やっぱり隠し通路の事を知っていのか。

 彼は以前の事件で、言い逃れをするため。

 真っ先に犯人の名前を口にした。でも今回は違う。

 

 一緒に居た時間は見近いけど、アリス様が犯人なのはあり得ない。

 感情論だけじゃない。それを示す証拠もある!


「みんなは知らないだろうけど。塔の屋上には、仕掛けがあったんだよ」

「双子塔に伝わる伝承ね~。でもエルフ族ですら、その謎は解けていないはずだけど?」

「アリスは偶々知ったんだよ。隠し通路の存在をね」


 いや、そんなわけがない。彼女が隠し通路を通ったなら。

 僕が屋上に行くのを阻止したはずだ。


「アリスはまず"人界側から隠し通路を通った"んだろうね! 後は被害者を屋上で突き落として……」

「それも違うよ」


 僕はツカサの意見に、真っ向から反論した。


「アリス様が人界側の塔から、隠し通路を使ったとは考えにくいよ」

「あれ? もしかして。一緒に過ごして、惚れちゃた?」

「ヒラさんが証人です。彼は五階の警備をしていましたが……」


 彼の証言。何も見ていないという事が、重要だったんだ。

 

「彼は五階に誰も来なかった言っています。ここを通らないと、屋上に行けませんよね?」

「な、なに!?」


 なんだ? ツカサが妙に動揺しているが……。

 ここは気にせず畳みかけよう。


「誰も来ていない以上。アリス様に。いや、人界側で隠し通路を行き来するのは不可能なのです!」

「五階で警備していただと!? 僕はそんなこと、聞いていないぞ!」


 まあ正直、報告を怠りそうな人だったからな。

 そこまで気が回るようんも見えなかったし。


「で、でもユウ! 犯人が人界側から出入りできなかったなら……」

「犯人は魔界側に居た。そう考えるのが自然でしょうね」

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