こころぼしは、春色の宙を描いて
淡く広がる
雲の波打ち際を
夕さりの風が
やさしく吹き抜けて
暮れなずむ空に
浮かぶ太陽の瞳が
茜色に染めゆく
陽だまりの小径に
燈台草の白い花が
春の燈を、また一つ
木の芽風が吹く
街角を彩る
ミモザの花たちは
金糸雀色をした
春の兆しを
ふりまきながら
星の光を映すように
銀色の葉とともに
春色の空へと
導く星を追いかけて
北の空高く
輝くぎょしゃ座
カペラの星は
やわらかな春色をして
同じ宙には
こぐま座の七つ星
ポラリスは夜空に
煌めく燈台のように
空と海と大地を
やわらかに照らす
しるべぼし
春色の空へと
寄り添う星の彼方に
巡りゆく季節と
星座たちのなかで
ポラリスは
沈むことなく今宵も
宙を照らして
空と海と大地を
そっと見守り続ける
こころぼし
遥かに続いていく
空と海と大地で
夢という翼は
目には見えなくて
時に不安にも
なるけれど
信じるこころが
描く翼がきっと
未来へと羽ばたいて
見つめる瞳には
南十字星を浮かべて
ミモザの星を
いつもこころに
そして大地を
歩む道のりは
いくつもの足あとで
つくる白地図
時につまづき
立ち止まりながらも
その地図でいつか
誰かの笑顔に
たどりつくように
淡く広がる
星の波打ち際を
如月の風が
やわらかに吹き抜けて
風にゆれる枝の
小さな花芽の
一つずつも
今日という日の
一歩ずつも
春という行き先へ
向かう季節とともに
こころぼしは、
春色の宙を描いて
ミモザは、春を告げる花とされ、金色の花と銀色がかった葉で、「感謝」の花言葉があります。また、主に南半球で見られる南十字星には、ミモザという一等星があります。
こぐま座は、これから春にかけて見頃で、クリーム色の一等星・カペラがあるぎょしゃ座の下に見えます。尾の部分に北極星・ポラリスがあり、北半球では年中地平線に沈まない星座とされます。
ポラリスを中心に星々が動くことから、この星は「標星」「心星」とも呼ばれ、作中では心星を「こころぼし」としています。燈台草は、2月下旬頃から白い花が咲き、花言葉は「明るく照らして」です。木の芽風は、2月頃に吹く風のことです。
季節の星や花をモチーフに、詩を描かせていただきました。お読みいただき、ありがとうございます。