ニナリー公爵令嬢の人生で一番高い買い物
公爵令嬢であるニナリー・アーストンの人生はとてもつまらないものだった。14歳という幼い年齢にも関わらず、彼女にできないことはまずなかった。勉強も運動も始めのうちは暇つぶし程度にはなるがすぐに師よりも習得してしまうという、自他ともに認める天才であった。そんな彼女はある日、近衛騎士のサヴァルと共にある闘技場に来ていた。奴隷たちが命懸けで戦い命を落とし、貴族の娯楽になるその場所で彼女が見たのは、自分と同じくらいの年齢の燃えるような赤い眼を持つ少年だった。彼女は自分のつまらない人生とは違って、彼のとてつもない野望をもった眼に強く惹かれた。「あの少年を手に入れたら、自分の人生も面白くなるかもしれない。」、そう思ったのも束の間、この闘技場の地下の大ホールで今から今日出場した奴隷のオークションが開催されるという。彼女は、今日持ってきた予算全てを使ってでも少年を手に入れると決意した。これは、ニナリー・アーストンが、野望を叶え、つまらない人生に終わりを告げるまでの物語である。