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第39話 衆人環視の目の前でイチャイチャする

 甘えるという宣言通りに、しずかは俺の体に全身を預けた。柔らかなしずかの体は俺にさらに密着した。香りも質感もさらにダイレクトに伝わってくる。


「興奮します?」

 今日のしずかは、いつも以上に直球だ。


「そうだね、とても興奮しているな」


「そんな棒読みで言われてもな。ちょっと、女の子としての自信が傷つきますよ? こう見えても、私、結構モテるんですよ?」


「知ってる。クラスでもたまに話題になるし」


「センパイ、絶対、幼馴染じゃないと近づけないとか、美女と野獣とか言われてるんじゃないですか?」


「……どうして、知っているんだ」


「そんなことだと思った。センパイは、幸運ですよ」


「うん」

 まあ、そうだよな。こんな美少女と家が近いからって理由で、無条件で仲良くできているんだから。


「でも、それは私も同じです。運命にずっと感謝してますよ。私は、センパイの後輩と幼馴染になれて、本当に良かったって」


 そして、一息ついて完全にリラックスモードになった。


「実は、ちょっと嫌なことがあったんだよね。でも、センパイの顔を見たら、そんなのどうでもよくなっちゃった。やっぱり、センパイはすごいね。ここで会えたのも、何かの運命だったのかも……なんてね」


 そして、少しだけリズムをつけて、俺の膝を堪能している。いや、なんかいろいろと変な気分になるんだけど。


「センパイ……たまには、私が落ち込んでいる時は、慰めてね。いつも他の人を慰めている私だって、誰かに寄り添って欲しい時ってあるんだよ?」


「……そうだよな。そういう時は、言える範囲でいいから相談しろ。俺は、みすずの大ファンでもあるけど、しずかの頼れる先輩でもあり続けたいんだからな」


「ふふ、センパイはずるいな。そういうことを普通に言えちゃうんだもん。じゃあ、私がどうしても辛い時は、昔の呼び方に戻るから、それを合図に甘やかしてね。約束だよ?」


「約束だ」

 俺たちはひそかに隠れて左手同士の小指で、指切りをした。


「さて、そろそろ帰りますか」


「ああ、さすがにご近所さんたちの目が痛い」


「ですよぇ」

 思い出の公園ということことは、そこを使っている人たちも高確率で知り合いの可能性が高いのだ。


 ※


『あらあら、あのふたりあんなところでイチャイチャしてるわ』

『一樹君としずかちゃん、やっと付き合いだしたのかしらね』


 ※


 などなど、このままでは間違いなくご近所で噂になる。

 俺たちは顔を真っ赤にして、その場を立ち去った。


 ※


「もし、生まれ変わったとしても、私は先輩の幼馴染になりたいなぁ」

 私は小声でそうつぶやいた。

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