第30話 ボーリングは百合の花が咲く
「ふふ、みすずちゃんは力を入れ過ぎなのよ。お姉さんの言うとおりに力を抜いて、リラックスしてね」
「はい」
「球の穴に指をゆっくり入れて。しっかりフィットしたら持ち上げるのよ」
「はいっ!」
「すごい、上手ね。あとは、しっかりフォームをおぼえれば、もっとよくなるわ。背筋をしっかり伸ばして、まっすぐ投げてみて」
「はいっ!!!」
「上手よ。教えていて気持ちよくなっちゃうくらい物覚えがいいわ。そう、あとは手首のスナップを利かせて、力強くピンに向かって、投げつけて!! うまいわ。初めてだとは思えない。9ピンも倒れた!!」
うん、なんか健全な配信なのに、ちょっとエッな感じが出ている。
そんな配信を見ていて、視聴者も盛り上がっている。あえて、こういう言葉を使っているのは、視聴者サービスの一貫だろう。
※
「ここにキマシタワーを建てよう」
「俺たちはボーリング配信を見ているんだよな?」
「ああ、そうだよ」
「チッ、あくしろよ 」
「おい、力抜けよ」
「俺たちは何を見せられているんだ」
「とりあえず、これはてぇてぇ」
「みすみなって本当にいいものですね」
「みなぎさん、後輩好きすぎ~」
※
同じ所属の先輩後輩がイチャイチャしているところを見るのは、箱推しリスナーとして一番嬉しいところだ。ちょっと、あざとさはあるものの、そこはかとない信頼関係や仲の良さのようなものが垣間見れる。そういうのがクリスタル・クリエイト所属タレント好きの人たちの琴線を襲う。
もう、ほっこりとした何とも言えない雰囲気が漂ってお腹いっぱいだ。まだ、1競技目だけどさ。
特に、白雪みなぎさんは後輩の面倒見が良い。実際、みすずが配信シロウトで、ゲーム配信のやり方がわからずに、30分ほど配信を事故らせたとき、白馬の騎士のように助けてくれたのは、みなぎ先輩だった。
みなぎさんは、後輩に優しく、どんな時でも笑って助けてくれる。その人望によって、後輩たちからは慕われていて、コラボ配信の予約も常に埋まっている。
「私はタレントだけど、一番のクリスタル・クリエイト箱推しリスナーだからね」と言って、雑談の度に、後輩の好きなところを熱弁している。熱狂的な後輩のファンにも「はぁ? 負けないけどね?」と言って常にマウントをムキになって論戦している姿をよく目撃されている。
彼女がいなければ、クリスタル・クリエイトは成り立たない。大看板という名は伊達じゃない。この砂糖が多いユリユリした空間を視聴者は堪能した!




