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第26話 幼馴染って

「なんだよ、それ」

 親友は少しだけ真顔になって問いただす。


「お前、幼馴染は?」


「男の友達に2人いるな。高校違うけど」


「じゃあ、ダメだ。この微妙な関係は、異性の幼馴染がいないとわからない」


「はぁ?」


「いいか、異性の幼馴染って結構難しい関係なんだぞ」

 俺は力強く自説を断言する。


「どういうことだよ?」


「たぶん、告白すれば、付き合えちゃうんだろうなって淡い期待は結構ある」


「ああ、そうだろ。それもあんなにかわいい子だぞ? 勉強だってできるし。話も面白い。ノリだって結構いい。実際、裏ではかなり人気あるんだよな、古賀ちゃん」


「はぁ? そいつの名前教えろよ。ぶっ〇す」


「おいおい、目がガチだぞ。どんだけ、好きなんだよ。それに昨日、お前たちが仲良く電車に乗っていた目撃談があったけど……」

 どんな情報網を持っているんだよ。お前は、ギャルゲーの親友枠か!!


「うっせぇ。ただ、公園を一緒に散策して、買い物に付き合って、飯食ってきただけだが?」


「それって、どこからどう見てもデートじゃん」


「やっぱりそうだよなぁぁぁぁああああ。完全にデートしちゃったよなぁあああああ」

 俺は本質を突かれて崩れ落ちた。


「だいたい、そんなに入れ込んでいるなら早く付き合っちゃえばいいじゃん」


「いいか。幼馴染が恋人同士になるのは相当なリスクがあるんだぞ」


「はぁ、リスク??」


「もし、付き合えて、恋人同士になったとしよう。でも、相手の悪いところが見えてしまって、お互いに不満が溜まる。そして、別れたら、もう元の関係には戻れないんだぞ? 同性も含めて、一番仲が良い友達を失うなんて、普通の失恋以上の一生のトラウマになる」

 思わず本音を言ってしまい、俺は「しまった」と青ざめる。


「へ~、面白いことを聞いたぜ」


「絶対に誰にも言うなよ。言ったら絶交だ」


「ああ、さすがに俺でも言えねぇよ。でもさ、お前らこじらせすぎじゃね?」


「……だから、言いたくなかったんだ」


「でもさ、それだとずっと後悔するぞ。お互いに……まあ、いいや。たしかに、そう聞くと、高校生の恋愛の範疇はんちゅうを超えているかもな。下手すれば、一生連れ添うクラスの覚悟が必要ってことはわかったぜ」


「話が早くて助かる」

 これなら、簡単に噂を流されないだろう。俺はちょっと安心した。


「ああ、これは当人同士の問題だよな。そこまで深い覚悟を持っているなら、仕方ねぇわ。じゃあ、昨日見た動画の話しようぜ」


「あっ、それも食傷気味っ!」


「はぁ!?」

 俺たちは、男子トークを花咲かせて、登校した。

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