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第14話 デートの日

 そして、待ちに待ったデートの日がやってきた。

 俺たちは時間を合わせて家を出る。本来なら、駅とかで待ち合わせしてドキドキするはずだが、俺たちは時間を指定すれば、場所は決まっている。


 家の目の前で待っていれば、俺たちはすぐに会える。


「お待たせしました、センパイ。早いね」

 しずかの声が聞こえた。


「ああ、今来たところだ。うん……」


「どうしたの、変な声あげて?」


 振り返った時に見えたしずかの姿で、俺は固まった。髪の毛はポニーテール。赤を基調とした少しだけレトロな感じがするワンピース。お嬢様寄りの落ち着いた雰囲気のファッションだった。そして、その姿は……


「みすずのセカンド衣装に似ているな」


「あっ、わかりました? ママとの打ち合わせにこれを着ていったんだけど、気に入ってそのまま新衣装のモチーフになっちゃったんだ」


「すごいな、アヤナ・ママは、もはやリビドーの権化みたいになってる」


「だよね、ハマった時の行動力、すごすぎる」


「草」


 そして、しずかはもじもじと何か言いたそうにこちらをチラチラ見ていた。


「ねぇ、センパイ? 女の子が頑張って、オシャレしてきたんだよ。なにか言わないといけないんじゃない?」


 その頑張ってアピールしている様子が、なぜか微笑ましい。ちなみに、セカンド衣装お披露目会で、俺がいくつコメントを連打したのかは秘密だ。そのまま、メンバー限定配信に向かって、同士たちと意味不明なテンションでコメント欄を盛り上げ続けた。


 普段は頑張って、控えているマスチャに1か月分の小遣いを叩きこんだことについては、後悔も反省もしてない。


 回りくどいことを言ってしまった。だが、ここまで言えば、わかってくれると思うが……


 正直、性癖にドストレートなんだよな。

 清楚系な後輩が、オシャレトロなワンピース。うん、最&強。ファンを殺す服だね、あれは。


「ああ、よく似合っていると思うぞ」


「え~、それだけ?」


「それだけってなんだよ」


「だって、センパイ。こういう服好きだよね。通学路とかでもこういう服装の女の子を目で追っているし」


「あう」


「ちなみに、今日の私の目標は、センパイのハンドルネームを教えてもらうことだからね」


「なっ!?」

 それを知られたら、リアル後輩幼馴染に今までどれだけ配信で、暴走していたかが知れ渡ってしまう。それは、つまり、社会的な死だ。


『生殺与奪の権を後輩に握らせるな』

 俺は、迫真の演技で自分を奮い立たせる。


「えっ、義〇?」


「絶対に教えない。知られたら、恥ずかしくて死ぬ。アカウント全部消す」


「え~」


 そうやって、俺たちはケタケタと笑い始めた。


「じゃあ、行こうか」


「はい! よろしくお願いします、センパイ!」

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