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孤独の魔女と独りの少女【書籍版!8月29日発売中!】  作者: 徒然ナルモ
二十一章 魔女を継ぐ者エリスと怪物王女クレプシドラ
852/868

783.魔女の弟子と針の動く時


ゼルカロ君行方不明事件、クロノスタシス襲撃から数日が経った。


それからというもの、エリスは驚く程平和な日々を過ごしていた。


ここ数日あった事で言えば、ひたすらミロワちゃんに修行をつけていたことくらいだ。彼女は既に体が出来上がっており、精神的にもある程度出来上がっている。教えたことはきちんと復習してくるから進行にも滞りはない。


極めて順調に修行は進行していった。


故に……。


「はっ!やっ!てやっ!」


「踏み込みが甘いですよ、相手の動きを目で追わず先にどこへ向かうかを予測して動くんです!」


「はいっ!」


今は結構実戦的な訓練を行えている。ミロワちゃんが木剣を振るい、エリスがそれを防壁で受け止める。所謂模擬戦、これで動きを学んでいる。ダンスを完全に物にしたおかげで一端の剣術らしいものが扱えるようになった。


剣術らしいもの、というのはそもそもこれはエリスが教えたものではないからだ。元々別の人間が教えていた剣術をミロワちゃんが統合した我流。まぁ粗はあるが指摘する程じゃないし、いい感じだ。


「やぁ!」


「ビビって大振りになるな!!」


「はびゃん!?」


ミロワちゃんがエリスとの打ち合いに耐えきれなくなり、大振りになった所を拳を振るい…寸止めで発生した風圧で吹き飛ばす。動きはいい、攻め方もいい、だがじゃあそれで強くなったかと言えばそうじゃない。

まだまだ意識的な部分が戦闘を理解していない。実戦を知らないから…というのもあるから仕方ないが。


「はぁ〜…師匠強いです!」


「そりゃあ貴方の師匠ですからね!さて、昼間の修行はこれくらいにしますか。軽く休んだあと魔力の修行に移りましょうか」


「う……魔力の修行」


エリスが魔力の修行を言い渡すと彼女はちょっと嫌そうな顔をする。というのもこの子実は……。


「きょ、今日は一日剣の修行にしません?」


「しません、魔力の修行をしますよ」


「う…魔力修行、あんまり進展ないから苦手なんだよなぁ…」


魔力修行に苦手意識を持っている、あんまり進展しないからだ。そりゃそうだ、この分野に関しては完全な素人だ、まだ出せるようになっているが維持は出来ないし、動かせてもいない。


だからなんか嫌だなぁと感じてしまっている…まぁ仕方ないことですけどね、人を突き動かす情熱は、成功体験があって初めて燃え上がる物だ。


(それに彼女の魔力は星の魔力、簡単にはいかないか)


星の魔力…エリスは今それを育てている。オリフィスさんはクロックに『星の魔力が育つまで攫うのは待ってくれ!』とブラフをかけているが。ぶっちゃけ方便だ…星の魔力を出すだけなら出せるわけだし、育とうが育つまいが向こうは関係ないだろう。


「ともかく準備してください」


「は、はい…」


エリスがピシャリと怒るとミロワちゃんは観念したのか、その場に座り込み集中を始める。師匠曰く、魔力は努力すれば誰でも使えるようになる、逆を言えば努力しなければ使えない。エリスが今まで戦ってきた強敵達、クユーサーやラセツ、ダアトにシン…そういう人達もこういう地道な努力から始まってるんです。


(で……)


魔力を引き出し、操る修行を始めたミロワちゃんから目を離し、アドラ邸に目を向ける。その廊下の一角が見える窓の向こうに見えるのは人影…エリスを見ているのは白塗りのピエロ。


クロックだ、アイツ…エリス達の修行を見ている。観察のつもりか、或いは監視のつもりか…なににせよ。


(なに見てんだよ……!)


鬼睨みにて威圧を放つとクロックはニッコリとした笑みを浮かべながら手を振っている。あの野郎…ネジ切ってやろうか、体のどこかを。


(クロックめ、あれからずっとエリスを観察しているな…やっぱりまだ納得してないのかな。エリスを完全に味方と認めたわけじゃなさそうだ…)


例のゼルカロ君行方不明事件は間違いなくクロックの仕業だ。ゼルカロ君はあれから口を閉ざしているが間違いなくアイツの仕業だ…でなければ説明がつかないことが多すぎる。


エリスをなんとなく邪魔者っぽい、裏切り者っぽいという理由で消しにかかってくる倫理観のなさ。他者を動かしエリスを殺そうとする立ち回りの鋭さ。どちらも油断出来ない物だ。


『エリス、これ以上クロックに眼を飛ばすな』


(なんとか追い払えませんかね、アイツを)


『無駄だ、方法はないこともないが…現状を考えるならないも同然だ』


(え?あるんですか?)


『アイツがクロノスタシスの人間でミロワを誘拐しようとしてると暴露する。だがそんな事したらアイツは同じことを我らにする…そして──』


(クロノスタシスの人間であると証明する確たる証拠は、なにもない。ですよね)


『そうだ、邪魔極まりないけどこのままにしておくしかないだろ』


チェ、目の前に敵がいるのに手出し出来ないとは…面倒な状況だ。ともかく、今は無視するしかないか。


(ミロワちゃんの魔力修行は、もうこちらからアドバイスする物はありませんし…シン、エリスの修行に付き合ってください)


『いいだろう。来い』


(今日こそ泣かします)


そういうわけで、エリスもまたその場に胡座をかいて精神世界へと没入する。さて…今日もシンと組み手だ。


………………………………………………………………


エリス師匠は凄い。


最初はただ強い、ただ凄いと漠然に思っていた。どんな敵を前にしても怯まず戦える強さ、どんな状況を前にも揺るがない強さ、力だけでなく知恵も兼ね備える強さ。


その途方もなさに私は惚れ込んだ。私を誘拐から助けてくれたこの人に…私は惚れ込んで弟子入りした。正式な弟子ではないけど、それでもよかった。


そして修行をつけてもらって…理解したのはエリス師匠の凄さの理由。


なんでそんなに強いのか、それはこの人の内側にひしめく無限に近い経験と鍛錬。

なんでそんなに凄いのか、それはこの人の抱える無数の経験に裏打ちされる自信と覚悟。


それらがあるからエリス師匠は凄く強いのだ。私では全く到達できそうにない領域にいる…そう思い知らされる日々だ。


今までいろんな先生に色々なことを教えてもらった、それを覚えられず落ち込んだりもしたけど…今なら言える。理解できるわけがないと。

いろんな先生たちが教えてくれていたのは断片的な情報で、それ単体ではなんの意味もなさない物が多かった。それらを繋ぎ直して、こういうことだったのかと理解したら…なんてことはない物ばかりだった。


それら全てを教えてくれたのは師匠だ、エリス師匠だ。見ただけで私のダメな所を指摘し…いい所をきちんと褒めてくれる、そんな師匠が大好きだ。


「…っ……」


手元に力を込めれば、魔力の球が生まれる。さながら夜空に煌めく星の一つのような、小さな光だけれど、それでもこれが私の魔力だ。師匠はこれをもっと大きくしろと言っている。

だからしようと色々試行錯誤する。こればかりは自分で感覚を掴まないといけないと言っていた。


だから真面目に取り組む…取り組む、取り組み続けて……はや三十分。魔力の球を拳よりも大きくすることに成功する。それを右に左に動かして、ある程度魔力を動かせるようにするけど…まだまだだなぁ。


「はぁ…はぁ…」


疲れて息を吐く、これを戦闘に使えるようにするには、それこそ年単位の修行が必要だ…少なくとも数週間で出来るものではない。


「……師匠」


ふと、師匠に目を向けると。師匠はその場に座り込み沈黙していた。理屈は分からないが師匠にとってはこれも修行らしい。凄い人の修行は凄いんだ、分からないけど。


「あの、師匠」


そんな中、私が声をかける…すると師匠はムズムズと瞳を動かし。


「師匠?大丈夫ですか?」


やや苦しそうな顔をしている師匠に慌てて声をかける…すると、その瞬間。師匠はガッと目を見開き。


「ぅがー!!!シン!目ばっかり狙わないでください!!」


「ひんっ!」


「おっと、ミロワちゃん。ごめんなさい、どうしました?」


「え?あ…えっと」


いきなり激怒し始めた師匠に尻餅をつく。な、なんだシンって…なにがあったんだ。

そ、それより…えっと。


「その、師匠の話が聞きたいなって」


「え?エリスの話ですか?」


「はい、師匠ってどうやってそんなに強くなったんですか?私みたいに…たくさん修行したんですか?もしかしたらなにかの参考になるかと…」


ふと、聞いてみたくなった。師匠がどうやって強くなって行ったのかを…もしかしたらなんかの参考になるかもしれないからと言い訳しながら、すると師匠は困ったように眉を下げ。


「参考…参考ですか、あー…うん。参考ですね」


激渋り、目に見えて渋っている…え?なんかやばいこと聞いた?


「ダメですか?」


「うーん、まぁエリスの過去を話すのはいいんですがあんまり参考にはならないというか…あー、師匠があんまり自分の過去を語らなかった気持ちがわかります」


「エリス師匠にも師匠がいるんですか!?師匠って…何歳くらいから修行しているんですか!?」


師匠は見た感じ二十代だ。ってことはもしかしたら私と同じくらいの頃から…いやもっと歳下の頃から…?


「エリスは大第五歳くらいからですね」


「五歳!?」


ご、五歳ってほぼ赤ちゃんじゃん。そんな頃から魔術の修行をしてきたの?そりゃあ…そりゃ強いに決まってる。私なんかとは比較にならないくらい長いこと修行しているんだ…。


「その頃から、体を鍛えて…」


「いや、エリスはあんまり体は鍛えてません」


「へ?でも師匠めちゃくちゃ殴るじゃないですか、敵」


「エリスは実戦と模擬戦をひたすらに経験して体が鍛えられていった感じですね。五歳からずっと戦ってたので」


修羅?なにがしか前世に業でも背負ってないとそんな人生にはならない気がする。でも納得だ…五歳なんて私はまだトレーニングも初めてなかった。その頃からずっと…。


「でも、やっぱり…そんな生き方ができたのはレグルス師匠のおかげです」


「レグルス師匠……えっと」


レグルスって魔女の名前だった気がするけど、まさかね。うん、流石に魔女の弟子がこの北部にいるはずがない…だって反魔女勢力の巣窟みたいな場所だよ。多分同じ名前か私が魔女の名前を間違えているかのどっちかだ。


「その人は凄い人なんですか?」


「凄い人ですよ」


「そうなんですね…いつか会ってみたいです!師匠の師匠!」


「そうですね、いつか会わせてあげたいです。きっと度肝抜きますよ、師匠の凄さを目の当たりにしたら」


どんだけだ…。けどそっか、そういうもんなんだな…と、どこかで理解する。


「なるほど、なんだか…大きな話ですね」


「大きな話?これが?」


「はい、エリス師匠にもレグルス師匠がいて、きっとその師匠もいるし、その人にも師匠がいるんですよね。そうやって繋がれて来た大いなる流れの先に…今私がいると思うと、なんだか感慨深いです」


「そうですね、レグルス師匠にも師匠はいます、そいつに師匠はいないかもしれませんが…それがこの世の摂理であると思っています」


「摂理?」


すると、エリス師匠は自分の掌を見つめ…。


「木から種へ、種から木へ成る継承の輪廻。それが人類が行う最も尊い行いであり、人類が栄えた最たる要因であると…レグルス師匠の師匠は語っていました」


あ、生きてるんだ、レグルス師匠の師匠。なんかそれだけ遡ると亡くなってそうだと思ってたけど、話したことあるんだ。


「エリスは今も修行の身です、けどいつかこの力を誰かに継承する側に回る日が来ると考えています…でなければ強くなる意味がありませんから」


「師匠は弟子を取るのが目的なんですか?」


「うーん、弟子を取るのが目的というより…旅を終える事が目的ですかね」


「旅を終える?弟子とは関係なく?」


「これは難しい話ですが…つまりエリスの旅の終わりとは───」


そう言いかけた瞬間、私の家の扉が開き…中から父様が現れる。


「む、今は休憩中かな?」


「父様!」


「先程の鍛錬の掛け声は聞こえていた。いやぁよく鍛えてくれているようだねエリス君、やはり君に任せてよかった!」


「この間までクビとかなんとか言ってましたよね」


上機嫌な父様は嬉しそうに髭を撫でている。最近父様は目に見えて機嫌がいい、私のトレーニングに成果が出ているからだ。少し前まで私はちっとも強くなってなかったから…。


でも今は違う!


「父様、私…強くなりました!」


「む?」


父様はいつも語ってくれた、強さとは何か、強さをなにに使うべきか。それは困っている人を助けるためのものであり、弱者のために振るうべきものであると。

そんな父様の言葉に従い、私は強さを得て、そして…その強さに準じて生きていこうと思ったんだ。


「うむ、だがまだまだだ。お前はマレウス王国軍に入って山ほど勲章を取るんだからな!」


「は、はい!」


「もっともっと強くなってもらわねばな!うむうむ」


父様はケラケラと笑っている…あんまり私を見ていない気がするけど、いいんだ。父様が見ているのが私が家督を取ることだけだったとしても、それでもいいんだ。


「そうだ!こういうのはどうだろうかエリス君」


「なんです?」


「狭い館の中で訓練していてもあれだろう。ブリュスターには冒険者協会もある!そこでミロワに魔獣を退治させるのだ!」


「はぁ!?無茶ですよ、第一冒険者協会で正式な冒険者になれるのは十五からです、ミロワちゃんはまだ十一ですよ!」


「そこは問題ない、丁度北部にガンダーマンが来ている。彼には昔から恩がある、彼に頼んで無理矢理にでも入れてもらおう」


「ガンダーマンがここに来てるんですか?……うーん、まぁ。エリスの同行がありなら、それもいいでしょうが…」


「よし!決定!早速今日ガンダーマンに連絡を取ってみよう」


「そんなめちゃくちゃな…」


そういうなり父様は言ってしまった。私にはなにも聞いてくれなかったな…まぁ、いいんだけど。


「えっと、そういうことになりました…いいですか?ミロワちゃん」


エリス師匠がそう言ってくれる、けど…いいんだ。


「師匠と一緒なら、どこへでも行きます!」


「フッ……そうですか」


師匠と一緒なら、なんでも出来る気がするんだ。むしろ楽しみだ…師匠と一緒に外を冒険するなんて。


楽しみだ。


…………………………………………………


なんかとんでもないことになった、ミロワちゃんを冒険者にして?魔獣と戦わせる?アホの思考、バカの発想、メレクの考え方だ。


エリスはため息を吐きながらも…まぁ実地訓練には丁度いいかなと思いつつ、とりあえず今日の修行は切り上げ館に戻る。

しかし参ったな、冒険者活動するならちょっと持ち物が心許ない。いつもの装備があるなら『今からですか?いいですよ』って言って外に出れるんだが。


こんな薄い服で、こんな柔らかい靴で、冒険なんか出来るわけない…これは一回買い物に行ったほうがいいな。或いはガンダーマンがいるなら彼に物を用意してもらうのもいいかもしれない。


(というか、クロノスタシスと戦うなら…彼の協力を得られないかな)


一応ガンダーマンはエリス達の協力者だ、マレフィカルムと戦うというなら彼もまた協力を……してくれなさそう〜。アイツマジで魔女嫌いだからなぁ…。


はぁ、ともかく大変なことになった。


「やぁエリス、お邪魔するよ」


「あ、オリフィスさん!」


ふと、エリスが部屋でぐでーんと考え込んでいると扉を開けてオリフィスさんが入ってくるんだ。何か報告に来たって感じではなく、ただ気安く話しかけに来たという感じだ。


「噂で聞いたよ、冒険者やるんだって?」


「ええはい…メレクがメレクしたんです」


「彼も彼なりに考えているんだよ、自分の子供の未来を。少し歪んでいるがね」


「そうかもですが…」


「それに君も幼い頃から戦ってたらしいじゃないか」


まぁエリスも六歳とか七歳の頃に魔獣と戦ってますが…十一歳の時は普通に冒険者として三ツ字やってましたが、それとこれは別な気がするなぁ…。


「家族の在り方はそれぞれさ。それがどれだけ歪でもね」


「……家族」


オリフィスさんは軽く頷きながらそういうんだが、こう言ってはなんだが…エリスとしてはカレイドスコープよりずっと歪な家族があると思う。そう…例えば。


「そういうオリフィスさんは、どうなんですか?」


「む……」


「お姉さんなんですよね、クレプシドラは」


エリスはオリフィスさん達に偽の記憶を植え付けられた。それは今でも覚えている…その偽の記憶の中にはクレプシドラの記憶もある…と言っても、話に聞くよりずっと優しそうで、エリスを手招きしておやつを分けてくれる、そんな聖人君子のような人だ。


実際は違うんだろうけど…オリフィスさんにとっては、そういう人なんじゃないかな。


「……そうだね」


「お姉さんに…思うところって」


「辛いさ、とてもね」


「なら、…オリフィスさんが話せば……」


「無理だ、やめない。姉様は絶対に止まらない」


まあそうだよな、他でもない弟が裏切るしかないと悟るほどに関係は悪化してるんだ。ならもうどうしようもないというのはあるか……。


「姉様の見ている世界はね、俺達が見ている世界とは違うんだ」


「ん?どういう意味ですか?」


「見えないものが見えていて、見えている物が見えていない。そのせいで全ての存在が敵に見えている…」


そう語るオリフィスさんの顔は深刻で、神妙で、辛そうで。


「みんな姉様は、クレプシドラは最強だと言う、俺も最強だと思う。…けどその実、あの人は誰よりも弱い人なのかもしれない」


「弱い人……ですか」


「ああ、だから全てを壊そうとする。あの人は…未来を支配しながら過去に囚われている。君とは真逆だ、エリス」


「え?」


「君は、過去を見ながら未来を目指している。真逆だよ、姉様も君のように強かったらな…と思わざるを得ない」


国のことを真に考えている人だとエリスは思う…彼を。そんな彼が語る姉への想い、それはある種…未練のようにも思えた。彼はクロノスタシスと全てを愛している、それは当然…姉も含まれている。


彼の中にある使命感、それを突き動かしているのはある種姉への諦めと後悔なのかもしれない。


「…言語化が難しいな…、ま。ともかくだ、ミロワが館を離れるならそれはそれでいいだろう?」


「まぁ確かに。ここにはアイツがいますからね」


「ああ、クロックがいる。アイツはまだ俺達を疑っている…隙を見せたら、どう仕掛けてくるか分からない。そう言う意味じゃ館の外は安全かもね、とは言え逃げ出したら即座に追いかけてくるだろうが」


「気をつけたほうがいいですね」


「ああ、そうだ」


取り敢えず、館を離れたのなら…少なくともクロックの監視の目はなくなる。そう言う意味では安心できるのかなとエリスは思うわけで、床に横になる。


(シン…シン?)


ふと、天井を見ながらシンに話しかける。さっき修行の最中やたらとエリスの目ばっかり狙ってきた卑怯者のシンから返事がない、と思い精神世界に目を向けると…なんか酒飲んでた。嬉しそうに。アイツまさかエリスに勝ったつもりじゃないだろうな。


まぁいい、ともかく…だ。ミロワちゃんを健全に育てられるよう、頑張りましょう。








「尻尾、みっけ」


エリス達が話す一階の部屋…その真上に位置する二階の部屋にて、床に耳を当てて笑うのは。


「やっぱり、裏切り者じゃん…私、人とか信用しないタイプだよ、オリフィスさま?」


道化師クロックだ、彼は静かにメレク邸に忍び込み…床に耳を当てたまま、歯を見せて笑っていた。


「まさかまさか」


「よもやよもや」


「もしやもしや、女王よ。執務の方は一区切りですかな?」


「ええ、これより十五分と二十秒休憩時間に入ります。趣向品をここに」


鏡の世界、夜闇に満たされた漆黒の城…クロノスタシス王国の中心、虧月城の執務室にてペンを置くのはクレプシドラ、周囲を囲む大臣達に休憩を告げる。


妾は女王である、クロノスタシスという組織の長である前に国家の代表である。故に執務は欠かせない、我が庭を剪定するが如く執政に力を傾ける。重要な事である。


「陛下、こちらに」


「デイデイトか、ご苦労」


妾が一声あげれば、王宮執事長のデイデイトが銀皿と共にグラスとボトルを持ってくる。彼は妾の事をよく理解している。故に持ってきたのは…。


「チーズ…素晴らしい」


銀皿の上に乗せられたのは、薄く切られた金塊…のようなチーズだ。琥珀色にも似た金の輝きを持つそれはさながら金塊から切り出した芸術品。妾の好物だ。


「こちら、クロディーノワインとなります」


「ほう…」


そして、一緒に注がれたワインは血の如く赤く、それでいて光の向こうに高貴さを感じさせる。まさしく王の趣向品…これもまた我が好物。


チーズとワイン、双方妾が好むものである。しかし、妾はチーズの味もワインの味も、別にさしたる程好きなわけではない。ならば何故好むか…それは。


「うむ、これもまた素晴らしい味…まさしく時の結晶」


チーズを一口食べれば、シャリシャリとシャーベットのように口で解けて溶けていく。水分が抜けて純粋なアミノ酸の結晶となったチーズからはひたすらに暴力的な旨味の風のみが吹く。


これは超長期熟成されたチーズ、七十二ヶ月間寝かせた最高級のチーズであり、水分と共に余計な物が抜け、チーズが持つ本来の味のみが出る。


ワインもそうだ。これは三十年間寝かせたワインだ。一口飲めば炙った木を噛んだような渋みが鼻を抜ける、果実らしさは抜け落ち、複雑で難解で、それでいてその奥に光る輝きのような味が多幸感を生む。


どちらも、時間のみがこの味を生む。如何なる職人もこれを作ることはできない、全ては時間が作っている。即ち妾が今食べているのは酒とチーズに有らず。七十二ヶ月の時を噛み、三十年の時を飲んでいるに等しい。


まさしく時の支配者にのみ許された、至極の娯楽。


「素晴らしい、デイデイト」


「お褒めに与り光栄です、次は三十六ヶ月熟成させた生ハムをご用意します」


「よろしい」


チーズとワインを楽しみ、時のあり方に想いを馳せる。


時こそが、全てを作る。荒唐無稽な計画も、不可能と言われる大業も、時間を注げば可能と成る。ただ人は我慢強くない生き物だ、十年かかると言われればそれは不可能と言い、二十年かかると言われれば思考から外す。


だが妾は時の価値を知っている。使えば使うだけ成果が出る…なら一秒たりとも無駄には出来ない。その全てを大業への薪と焚べ、ただ一念を持って生きていく。それこそあるべき生き方だ。


「ふぅ…多幸」


大臣達と執事に見守れながらチーズを嗜む。この一時もまた…時間が生む奇跡である。


「失礼、よろしいか!」


「ベゼル、今陛下は休憩時間だ」


「む、失礼。しかし是非陛下にお聞かせしたいお話が」


ふと、扉を開けて入ってくるのは大柄な割れ顎男…クロノスタシス王国軍最強の将軍ベゼル・ティックタックだ。彼は礼服越しに大胸筋を上下に揺らしながら誇らしげな顔で執務室に入ってくる。


「陛下、お耳を拝借したく存じますが」


「よい、酒のつまみに聞いてやる」


聞くだけなら、時間は消費せん。ただ対応をこの瞬間迫られたなら…残念だがベゼルの後任を探さねばならん。


「実はクロックから報告が」


「ほう……ミロワ・カレイドスコープか。星の魔力は手に入りそうか」


「それが、アイツ…クロスワード方式で手紙を寄越してきて。まだ半分くらいしか解読できていないのです、しかもアイツ…態と字を汚く書いてるみたいで読みづらくて」


「……………」


ピクリと目尻が動く。クロックめ…いやいい、あれは道化。元より酔狂で生きる者であり、王たる妾はそれを容認せねばならん。いい、いい、許す。妾はアンガーマネジメントも出来る、王であるが故に。


王である故に許そう、クロック。お前の侮辱をな…侮辱は侮辱として受け止めるがな。


「で、なんと」


「それが……まずミロワは確かに星の魔力を持っています」


「そこは確定か、なら継続せよとオリフィスに伝え……」


「そして、恐らくですがオリフィス・クロノスタシスが陛下を裏切っていると」


「………なんと?」


ワイングラスが揺れる、中に入れた酒が…波打つ。さながら妾の心を写すように。今、ベゼルはなんと言った。


「オリフィスはなにやらミロワを守るような素振りを見せており、誘拐に消極的であると」


「…………」


揺れる、揺れる、グラスが揺れる。違う…震えている、手が震えている。怒りではない、恐怖ではない、ただ…過去が妾の手を蝕んでいるのだ。


「裏切ったと、オリフィスが」


妾は震える手でグラスを置き、顔に手を当てる。震える手が妾に告げる、お前はまた裏切られたと…またもお前の側から人が消えると。妾は……また。


「またか……」


ボソリと妾が呟いた瞬間、膨大な魔力が全身から溢れ、波濤の如く爆裂し机も、壁も、床も削り取る…そんな魔力に晒された大臣達やデイデイト、ベゼルは顔を歪め…。


「如何しますか、陛下」


「…妾は裏切りをなによりも嫌う。故に妾は王になった、妾を裏切った全てを殺すために…それはオリフィスもよくよく理解しているだろう。ならば」


指を立て…床を指差し。


「オリフィスに与えた時間は残り五日。それまでの間に奴がクロノスタシス王国に戻らぬようなら…ここに連れてこい。そして妾の手で奴を殺す…!」


「ハッ、では……」


「ヴァントゥーア騎士団の出撃も辞さん、いや…あれも出せ」


砕けた壁の向こう側に見える…城の離れ、塔の一角。そこに住まう…怪物を思い。


「リューズをカレイドスコープ邸に出撃させろ」


「仰せのままに、では早速リューズを引きずり出しましょう」


そういうなりベゼルとデイデイトは作戦のために動き出す。大臣達も各々の仕事のため退出していく…一人になった妾は、砕けた壁から空を見る。鏡の世界に星はない、ただ一つ…城の真上に浮かべ赤い月が目に入る。


「オリフィス……」


妾はオリフィスの裏切りを想定していなかったか。いや、想定していた。アイツはいつか妾を裏切ると予感していた。根拠はないがそう思っていた。


実際裏切られてショックか。それも違う、人は裏切る生き物だ。オリフィスもベゼルもデイデイトも大臣も国民も、他のマレフィカルムも妾を裏切るだろう。そこに一々心が揺らいでいたら王は務まらない。


なら…この裏切りに思うことはない。ただ計画を邪魔するなら、消す…それだけだ。


それだけ…それだけで。気にすることなんてなにも……。





「あ、虫……」


ふと、手の甲を見る。そこには黒い虫が妾の手を張っていた…虫だ、虫がいる。


「あっちへ行け…!」


手を払い虫を追い払う…ああ、虫だ…虫は嫌いだ、大嫌いだ。ああ手が震える、過去の呪縛が妾を縛る…またか、またなのか。


また妾は裏切られるのか、また妾は利用されて捨てられるのか、お前も妾を裏切るのかオリフィス!!


「ああ…ああ!虫だ…虫だ!虫がいる!!」


気がつくと全身に虫がいる、黒い虫が全身を張っている、虫が皮膚を這い回り、虫が妾を甚振るように集ってくる…。気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い!!


「誰ぞ!誰ぞいないか!虫だ!虫を殺せ!!虫が…虫が妾の肉を食っている!!誰か……!」


頭を抱え掻きむしる、虫が肉を食んでいる、妾を殺そうと食っている。全身がチクチクと痛む、終いには頭も痛む…まさか脳の中にも虫がいるのか…!ああ、肉の中にも虫がいる!気持ち悪い、苦しい、痛い、辛い、憎い!!


「殺せ…殺せ!!妾を裏切る全てを!妾を殺そうとする全てを!なにもかもをぉ…!」


口から胃液を、目から涙を垂らし、痛む全身を壊すように叫ぶ。痛いんだ、あの日からずっと頭が、この頭を叩き割って中にいる虫を追い出したい…苦しい、苦しい。


裏切りは許さない、裏切り者は虫だ、虫は裏切り者が差し向けている…そうだ、オリフィスが妾を殺そうとしている。


殺される前に、殺さないと。



……………………………………………


「いやぁほんまに、毎度毎度すんませんなぁ〜」


「あんたマジで毎日来るのね…」


「我々では大したお構いは出来ないが、ゆっくりしていってくれ」


「いやいや嬉しいですわ。こうして豪華ぁ〜なお部屋でお茶飲めるなんて、オレほんま幸せ」


ずずッと音を立ててオレは周りを見渡す。流石はネビュラマキュラ城、応接間やのに壁はピカピカ白銀大理石、床には血みたいに赤い絨毯、そんで座っとるソファなんかほんまにフカフカ、お出しされた紅茶も…う〜ん、ダージリン。


「それよりラセツさん、仕事しなくていいの?」


「休憩時間や、朝からバリバリ働いてんオレ。仕事場で休んでも休んだ気にならへんし、ここくらいしかゆっくり出来へんねんよ。許してや」


「まぁ、いいけれど」


というわけで、オレは今ネビュラマキュラ城におる。仕事の合間の休憩時間、それを過ごすのはここに限る、ここにはオレを快く出迎えてくれる友人がおる。

今目の前におるんはカリナちゃんとウォルターさんや。二人とも近衛騎士でステュクスの古い友人やっていう話。ステュクスの仲間言うんやからまぁ信頼は出来るやろな。


……コルロとの戦いからもう数日か。あの大騒動が随分昔に思えるくらい、ここ最近は平和極まりないわ。タヴやんは仲間と一緒にカフェで働いとる、カルウェナンのおっさんはカフェのマスコットキャラみたいに毎日入り口で仁王立ちしとる…なんかウケとるからええが。


そんで、ステュクスは毎日レギナと忙しそうにしとる…例の魔獣騒動に備えて、色々やっとるみたいや。或いは魔女大国への連絡も考えとるみたいやが…今はまだしとやんみたいやな。


んで、オレは本社をサイディリアルに移し、絶賛メルクリウス社長の為に日々社畜しとるって感じや…ほんまに平和よ、もう二度と事件なんか起こらへんように思えるくらいには。


「ん、来ていたのか…の顔」


「お、エクスヴォートさんやんか。邪魔しとりますー」


「うん」


ふと、応接間に入ってきたのは…マレウス最強の女と名高い青髪の長身騎士エクスヴォート・ルクスソリス。オレとタメはるレベルの上背と鉄仮面みたいに微動だにせん顔が特徴の女や…最近仲良くしとるんよ、この人と。


「暇か?の顔」


「暇やけど、暇を楽しんどる」


「そうか、ゆっくりしていけ…の顔」


エクスヴォート・ルクスソリスの名前は昔から聞いとる。なんせマレウス最強や、一応表の最強と言うことにはなっとるが、それでも洒落にならん強さや。はっきり言うてオレより強い、レベル的にはセフィラと同等や。


ほんまエグいよな、どうやったらこんなのが天然で生まれんねん…。


「っていうかステュクスはおらんの?最近顔見れてへんけど」


「ステュクスは今日も陛下と一緒に最終兵器の調整に行ってるの顔」


「また?ほんまに忙しそうやな」


「魔獣侵攻が近いという話も聞く、ならば打てる手は全部打つの顔」


「なら…エリスらにも協力仰いだ方がええ気がするけど」


「そのつもりだ、既に連絡をしているの顔」


ならよかったわ。こういう大騒動にはエリスらみたいな変数の権化が必要や。特に敵が強大で万全に計画を立てている場合は、引っ掻き回しの天才集団・魔女の弟子が必要となる。それに戦力としてもめっちゃ頼りになるしな。


流れを作り出す天才ラグナ、流れを変える天才エリス…この二人が居ればマレウス滅亡のルートから流れを外せるだろう。


……となると。


(あとはもう一人、流れを止める天才バシレウスが欲しいところやけど…)


相手が作り出す流れを止め、終わらせる事に関しては他の追随を許さない男、それがバシレウスだ。流れを作り、変えて、止める天才の三人が揃えば盤石となるだろう。


コルロ戦で真の力に目覚めたバシレウスは…本当の意味でマレフィカルム最強になった。

もうアイツと対等に戦える人類はおらん。魔女かガオケレナくらいしか相手にならんやろう。それくらい強いアイツがおったら魔獣が十万やろうが百万やろうがぶっ飛ばせる。


せやからこっちもなんとかバシレウスの助力が得られんか、頑張っとる。頑張っとるが…全然捕まらん。

昔のツテを頼ってマレフィカルム内部に探りを入れとるが、どうやらバシレウスはあれから本部には帰っとらんようや。ラダマンテスの方ももぬけの殻やし…どっかを放浪しとるんやろう。


まぁ魔獣侵攻はマレウス全土を巻き込む戦いになる、国内におれば必ず騒動に気がついて…多分戦ってくれるとは思う。国内におればやがな…国外におったら分からん。


(この一件、マレフィカルムは承知しとるんか?まぁしとっても八大同盟がほぼ壊滅した状態のマレフィカルムになにが出来るねんって話やが)


マレフィカルムは絶対セフィラは動かさん。これで逢魔ヶ時旅団とかハーシェルが残ってたら頼りになったんやが、言うても仕方ないわな。


「さて、んじゃオレそろそろ戻るわな」


「え?もうですか?いつもなら結構な時間いるのに」


「いやあれ実はサボりやってん。最近バレてきてるからそろそろ真面目に仕事せななって…」


そうオレが立ち上がったその時やった。


「報告!報告があります!」


「あら一般兵卒君やんか、なんか慌ててるけど…誰に用事なんやろ」


「なにがあったの顔」


唐突にまぁ見るからに一般兵卒ですって感じの奴が慌ててこっちに入ってくるねん。すると兵士はキョロキョロと周りを見回し…。


「あの、ステュクス様かレギナ陛下は…」


「今はここにいない。私が代わりに聞くの顔」


「そ、そうですか。実は『魔女の弟子エリス』の名が書かれた手紙が届き…」


「エリスから?」


ふとオレは首を傾げる。エリスは今ステラウルブスにおるはずやろ?なんでそれから手紙が届くねん。それこそ用事があるならメグなりなんなり使って報告すりゃあええもんを…なんかキナ臭いな。


「おう兵卒君、その手紙、ドコ?」


「え、あ…これが…っていうか貴方は誰で──」


「ちょい借りんで」


「あ!ちょっと!?」


オレは強引に手紙を奪い取り、中身を開ける。エリスが態々手紙寄越すなんざよっぽどや、せやったらオレが先に見といた方がええやろ…んー?なになに?


「……なんじゃこりゃ…!?」


そこにはエリスの近況が書かれていた。なんでもアイツは今敵に攫われてなんか知らんけど北部の街におるらしい、んで孤立した状態で戦っとるんが…よりにもよってクロノスタシス!?アイツほんまどうかしとるちゃうか!?普通喧嘩売らんで逃げるやろ!


つーかだいぶヤバいな、この手紙…出したの多分数日前や、ってことは今エリスがどうなっとるか分からん。


「ちょ、ちょっとラセツさん。それエリスさんからのですよね、ならきっとステュクス宛では?ステュクスに渡した方が…」


「せやな、多分ステュクス宛や…けど、すまん!これ預かるわ!」


「え!?ちょっと!」


オレは慌ててその場から駆け出す。エリスが求めてるんは救援や、せやったらステュクス経由せんと直接オレが動いた方が早い。オレはステラウルブス直結の転移機構持ってるからな。


そいつを使って報告に行く!待ってろやエリス!すぐに助けに行ったるからな!


ここで一旦書き留め期間に入らせてください、次回更新は一週間後の11月13日となります。お待たせして申し訳ありません

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