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孤独の魔女と独りの少女【書籍版!8月29日発売中!】  作者: 徒然ナルモ
二十一章 魔女を継ぐ者エリスと怪物王女クレプシドラ
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770.魔女の弟子エリスとお兄ちゃん


「どぅぇええええええ!?!?!?エリスちゃんが攫われたぁぁあああああ!?!?!?」


「マジかよどうなってんだよそれ!」


「そ、捜索隊の派遣は!?捜索状況は!どうなんだラグナ!答えろ!」


「お、落ち着いてくれみんな、マジで」


ユグドラシルの一室。ごく一部のの人間にしか伝えられてない秘密会議室。鉄の壁に漆黒の床、そこに置かれた白銀の円卓……が、これに座る者はいない。

今ここに集められているのは七人、一人を除いた魔女の弟子達。彼らは全員円卓に座る事なく、俺に詰め寄りどうなっていると騒ぎ立てる。


いや、パニックになるのも無理はない…。何故ならエリスがいなくなったからだ。


「攫われたかはまだ分からない、状況証拠的にその可能性もあるって…そう言う話だ」


事件が起こったのは昨日の昼頃だ。突如訪ねてきたエリスが、これまた突然気絶して、それを部屋で休ませていたら……いつの間にか忽然と姿を消していた。俺の分かる範囲の話はこれだけだ。

廊下にも城内にも兵士がいるから外部から人が入り込むのも、内部から抜け出すのも難しい。けどエリスはいなくなった……俺はあれから兵士を使ってアルクカース中を探し回ったが、結局見つけることは出来なかったんだ。だからみんなを集めて報告を行った。


だが、予見した通りみんなパニックになってる。特にデティとメルクはかなり慌てている。


「エリスが私達になにも言わず消えるわけがない。攫われたんだ!」


「なんでもっと早く報告してくれなかったのさラグナ!報告遅い!」


「こっちも大騒動だったんだよ、俺もエリスが自分からいなくなった可能性は低い考えているから…何者かの仕業だとは思うんだが」


「ッ今すぐアド・アストラ全戦力をエリスの捜索に充てるんだ!必ず見つけ出す!いいな!ラグナ」


「いや、ちょっと待てって」


慌ててた俺が言うのもなんだが、メルクとデティのパニック具合は俺以上だ、完全に前後不覚って感じだ。俺がみんなに報告したのはみんなの意見が聞きたかったからで、アド・アストラの全戦力を用いたゴリ押しはいくらなんでもめちゃくちゃ過ぎる。

しかし俺が冷静に諌めようとすると、デティがダカダカこっちに向かって走ってきて、俺の胸ぐらを掴む。


「あんたなに落ち着いてんのラグナ、あんた自分の奥さんいなくなってなにそんな冷静でいんのさ!あんたが一番慌ててなきゃいけないんじゃないの!」


「だから!話を聞けって!」


「私言ったよね!エリスちゃん傷つけるようなことがあったら!あんたでも許さないって!」


「だから!!!」


その瞬間、ドカリとデティの背後で物音が響き、俺とデティの声が遮られる。大きな音、それはヒートアップした俺達の感情を冷えさせ、自然とそちらに目が向く。すると……。


「ふぅー……折角椅子あるんだし、座らん?」


アマルトだ、彼は大きく息を吐いて円卓の側に配置されている椅子に座り、足を組んで伸びをしている。その姿を見たデティの額にビキビキと青筋が浮かび上がる。


「アマルト、あんた呑気過ぎじゃない?エリスちゃんいなくなってんだけど…あんたそこまでアホだったの」


「アホはお前だろデティ。ラグナが落ち着けって言ってんだ、それとも俺達揃って慌てたら解決すんかよ」


「でも!!エリスちゃんの身に何かあったら!」


「だからこそ…!落ち着くんだろ。エリスになにが起きたか分からないが、少なくとも分かってるのは解決出来るのは俺達だけだって事だ。慌てて時間を浪費するのは賢いか?」


「ぐっ……」


アマルトの言葉にデティは目を閉じる。彼の言ってる言葉は…まぁ言い方はあれだが正論だ。俺も慌てても解決しないと考えたから、みんなに相談に来たんだ。決して俺もアマルトもエリスがいなくなったことを安易に考えているわけではない。


「……そうだね、ごめんラグナ。あんたの気持ち考えなかった」


「いやいいよ、こっちもごめん。相談が遅れた……だからこそ、みんなの力を借りたい。エリスを助けたい、協力してくれ」


「最後の言葉は必要ないよ、言われなくても協力する。エリスちゃんを助けよう」


そして全員が部屋内の椅子を引っ張り引きずり、俺の前に持っていけ座る。そうしてようやくエリスに関する話し合いができる。アマルトには助けられたな。


「で……だ、ラグナ。どうすんだ?」


「ああ、まずエリスが消えたこの事件。俺はエリスが自分の意思で消えたとは考えていない、なんらかの影響、或いは敵対する存在が攫ったと考えている」


「そこはまぁそうだな、エリスはそんな不義理を働くわけがないからな。どこかに行くにしても必ず一声かけてから行くだろう」


「行く理由もないしね」


全員がウンウンと首を振る。エリスがいなくなった、つまりこれは誘拐と見ていい。じゃあ誰が攫ったか、どう攫ったか。そう言う段階の話になる。しかし外部から入ったとも考え難いんだよな……。

なんで俺が腕を組んで考えていると、ふと……ナリアがキョロキョロと俺達の顔を見回し。


「あ、あの。その……エリスさんがいなくなったのなら、メグさんが連れ戻すってのはダメなんですか?」


そう言うのだ。確かにメグならエリスのいる場所に時界門を開くことも出来る、出来るが……。それは割と早期に試している。


「いや、無理だ。だろ?メグ」


「はい、この中で一番最初に相談を受け、エリス様のいる場所に時界門を開こうと思ったのですが……エリス様の座標が見つからないのです」


「え?」


メグの時界門は俺達全員が持っている金のコイン、セントエルモの楔と言うアイテムがないと発動出来ない。メグの時界門は座標を捉えて行う必要があり、セントエルモの楔は謂わば捉える先のフックになる存在。これがないと移動出来ない。

だから見ぐるみを剥がされていたり、コインを入れたポケットごと着替えさせられていたりすると居場所が分からなくなってしまうのだ。


「お前毎回肝心な時に役に立たねぇよな」


「アマルト様!その言葉はチクチクを超えて槍ですよ!野太い槍!」


「だがおかしいな。転移に失敗する時は大概コインを身につけていないから奪われている場合のみ。その場合はコインだけが転移させられてくる……が、そもそも見つからない?これは前例がないぞ」


そう、気になったのはそこだ。俺が『誘拐』を疑う最大の要因がエリスの座標そのものが見えないと言うこと。コインを奪われていてもコインそのものを見つけることは出来る、コインが破壊されても残骸の所に転移することは出来る。

だが、メグは見つからないと言った。これは地味に前例がない。


「メグ、改めて聞くがコインが見つからないって言うのは、どう言う可能性が考えられる?」


「まずコインが跡形もなく消し去られていること。カケラでも残っていればなんとなく場所は分かりますから。後はこの星の外にいる場合でしょうか、試したことはないですが宇宙空間まで出てしまうと多分見つけられません」


「つ、つまりエリスちゃんは跡形もなく消えているか、宇宙空間に放り出されているかのどっちかってこと?」


「必ずしもそうとは限りません、後は……そうですね、別次元というか、別世界にいると多分見つけられないかもしれません」


「別世界?」


「はい、例えば写真の世界や夢の世界のような、識確によって構成された世界には次元の壁とも呼ぶべきラインが引かれており、ここから先の事を認識するのは少々難しいですね」


つまり、写真や夢の中にコインがある場合はメグも認識出来ないと。写真の中に行き来出来るのは飽くまでメグの覚醒で穴を作っているから。思えば現実世界から直接時界門で移動することは出来ず、飽くまで写真に移動用の扉をくっつけてから移動していたな。


うーん。メグがあげた三つの可能性、跡形もなく消滅ってのは考えたくない…そもそもどういう状況かも分からん。宇宙空間ってのもない、そもそも部屋の外に出た可能性がないって話なのに、星の外なんか尚更構想外だろ。


となると、一番可能性が高いのは。


「つまり、エリスは我々の知らないよく分からない空間に飛ばされた、或いは飛んだ可能性があると言うことか?」


メルクさんが口を開く。つまりそう言うことだ、それが自分からなのか、他者によって無理矢理なのかは分からないが、今エリスがいるのは……いや少なくともエリスが持っていたセントエルモの楔は、写真や夢の中のような識確空間にあると見ていい。


「なるほどな、そう考えるとしっくり来る」


「しっくり?」


「ああ、例えば写真の世界を利用するなら。エリスを写真の世界に引き摺り込むだけでエリスはその場から消えることになるから部屋を出入りする必要はなく、飽くまで密室内で事は終わる」


「確かに、推察に推察重ねることになるけど。これが誘拐なのだとしたら、あらかじめ写真の世界に忍び込んでおいて、エリスが一人になったタイミングで外に出て、んで寝こけてるエリスを抱えて写真の中に放り込んで自分もその中に入ればいいだけだしな」


「ああ、写真を出入り口と捉えるなら、出口は部屋の扉だけではなくなる……だが」


メルクさんは腕を組んだまま首を傾げる。俺も傾げる…この推察は上手く進んでいるようでいて肝心なところが抜けてるんだ。それは……。


「問題は……ラグナ、その部屋には絵画や写真はあったか?」


「いや、無い」


「そうだよな、なにより写真の中にいるにしても…エリスのいる部屋にその写真を持ち込む以上、フリードリスには一度忍び込む必要があり、それは不可能だと言うこと」


そう、部屋に写真がない以上、部屋に写真を持ち込む必要があり、そしてエリスを捕まえた後写真を持って逃げる必要がある。これじゃエリスを抱えて逃げるのと変わらない、つまり外にいる衛兵に見つからないわけがないってことだ。

後はもう衛兵が裏切っている可能性も考慮する必要があるが、その衛兵はテオドーラ。つまり絶対に俺を裏切らないやつだってこと。


「必ずしも写真である必要はありません。私が次元移動で写真中に入れると言うだけです。例えばルビカンテのように夢の中に取り込むこともできます」


「だがエリスを捕まえるにはどの道部屋に入る必要があるだろ」


「そうでございますね。うーん、ナリア様どう思います?」


「ぼ、僕に聞かれても……」


みんな色々考える。ネックなのはエリスのいる部屋に誘拐犯がどう忍び込んだか。唯一の出入り口には見張りがいて移動は不可能。完全な密室内でエリスは誘拐されたことになる。


「いや、第一それ考えるだけ意味なくないか?」


そんな中、アマルトが口を開く。彼は頬をカリカリと掻きながら首を傾げ。


「どう言う意味だ、アマルト」


「いや、考えてみろよ。メグが写真の中に入れる覚醒を手に入れましたって話、最初聞いた時どう思ったよ」


「む?『写真の中に世界があるとは思わなかった』だが」


「だろ?ルビカンテの時もそうだ、夢の中に世界ってマジかよ!ってなったろ?つまりこれ系の話って俺達の常識の外にあるんだよ。もしかしたら俺達が想像もしないような所に世界があるかもしれない、その想像も出来ない世界について考えても分かるわけないだろ?」


「た、確かに」


「詰まる所、今俺たちが解かなきゃいけない問題はそもそもの話、数式さえも分かってない状態だ。数式も分からん問題をいくら計算しても答えなんか分かるわけないし、わかったとしてもそれが正解かも分からない。想像や妄想の範疇を出ないからな」


「む、むぅ」


「それに誘拐云々も推察だ、推察の上にどうやって誘拐したかって推察を重ねて?想像も出来ない世界を推察して、誰が誘拐したか推察して。全部推察だ、もしかしたら誘拐じゃないかもしれない、なんかもう天文学的な確率でエリスが宇宙の外に飛ばされた可能性もあるし、エリスが間違えてコインを跡形もなく消し飛ばした可能性もある。そしてこれらは推察を元手に話を進める以上、否定出来ない可能性でもある」


取りも直さず、荒唐無稽であることに変わりはないとアマルトは首を振る。アマルトの言うことは最もだ、俺達が今確証を持って話せることは何もない。するとメルクはそのまま膝を叩いて立ち上がり。


「アマルトの言う通りだ。おおよその状況は分かった。ラグナ、現場に行こう。エリスが消えた部屋に案内してくれ」


「あ、ああ!」


まずは現場検証から。俺は外ばかりに目を向けてエリスが消えた部屋について捜査をしていなかった。やはり慌てているんだ、冷静じゃない。情けない限りだ……。

ともあれ俺達はみんなで立ち上がり、メグの時界門によりアルクカースへ移動。そのままフリードリス内部の一室。エリスを休ませていた部屋へと走ることになる。


「こっちだ!」


「アルクカースはいつ来ても暑いね…」


「もう季節的には冬ですけど、魔女大国は不思議ですよね」


フリードリス内部を走る中、ポルデューク組…と言うより雪国出身のネレイドとナリアがバテ始める、いくら強くなっても暑さはとは変わらず苦しいものらしい。俺的には普通に肌寒いくらいなんだが。


それよりエリスだ、俺はエリスの休ませていた部屋の扉を開く。そこには暖かなカーペットにベッド、そして暖炉があるだけの少々寂しい部屋だ。ベッドには捲れた毛布だけが乗っており、エリスがいなくなったその空白が尚のこと目につく。


「ふむ、ラグナ。エリスが消えてからこの部屋は誰が触ったか?」


「いや、そのままだと思う」


「なるほど……」


するとメルクさんは目を閉じ、集中し始める。その間に俺たちはみんなで部屋に入ると、ネレイドとデティがベッドに向かい。


「ここでエリスちゃんが寝てたんだね、毛布が捲ってあるよ…」


「だね、もしこれが誘拐だとしたら…エリスはタダで攫われたと思う?デティ」


「そりゃ抵抗すると思うけど、眠ったままなら分からないよ」


もしエリスに意識があったら、敵対者を相手に抵抗するだろうか。俺は出来ないんじゃないかと思う、エリスが弱いと言う話ではなくエリスは不意打ちに弱い。

不意打ち、それも予め敵意を持って近づく存在を前にした時に敵と認定するスピードが若干人より遅い。友達に何かされたとか、子供に何かされたとかそう言う話があると即座に敵認定するが、自分一人しかいない場合多少不利益は大目に見る傾向があるんだ。

だが初動で無力化されたら、多分みんなが想像するよりも呆気なく攫われると俺は見てる。


「感心しませんねラグナ様」


「え?」


ふと、隣に立ったメグがチラリと横目で何かを見ながら指を向ける。その先にあったのは暖炉だ、アマルトがボケーっと暖炉の前で何かする様と一緒に暖炉を見ながらメグは少し怒り。


「暖炉の火、つけっぱなしだったでしょう。火事の元でございます」


「え、えぇ…フリードリス大要塞は燃えないように出来てるから大丈夫だよ。火計にやられてちゃ要塞の防御力なんか意味ないし」


「そう言う意味ではございません。ただ暖炉があるなら或いは煙突からと考えましたが火がついていたのならあり得ませんね」


「ああ、それに魔力防壁を張ってても流石に暖炉から出てきたら床が煤で汚れそうだからな。除外したんだ」


一応暖炉からの経路も考えられるが、だとしても煙突のある屋上付近にも衛兵はいるし、そもそも屋上に入り込むのもエリスの部屋に入り込むのも同じくらいの難易度だ。無理と言えば無理だ、そしてエリスがいなくなった時点で火はついていた。

もし、防壁を張って暖炉を出入り口に使ったなら火が踏まれて消えているはず。だからここからはないと考えたんだ。


「まぁそれはそれして危ないので今後は消してください」


「お、おう」


火の始末はキチンとしろと怒るメグ、けど今それどころじゃなくないか?……と、俺は暖炉の前で何かを見ているアマルトの後ろに逃げるように歩き、誤魔化すように話しかける。


「なぁアマルト、お前なに見てるんだ?」


「ん?あれ」


そう言ってアマルトが指差すのは暖炉の上に置いてある鏡だ。比較的大きめな鏡で、同時に至って普通の鏡……。


「オーバーマントルミラーか、お前らアルクカースも部屋の景観とか気にすんのな」


「まぁ、そりゃあな。部屋も明るくなるし…アマルトの家にもあるだろ?」


「実家の方にはな」


暖炉の上に大きな鏡を置けば、その分暖炉の光を反射して部屋全体が明るくなる。昨今は魔力機構による照明が増えてなくなりつつあるが、今も別段珍しいもんでもないだろうに…ただアマルトは顎を掻きながら首を傾げ。


「例えばさ、この鏡の向こうに世界があったりしたら…例の話、信憑性を帯びるんじゃないか?」


「え?」


例の話ってのは、メグも知らない世界のことか……?確かにこの部屋にあるものなんて暖炉とベッドと鏡くらいだ、それならこの鏡も怪しいと考えてもいいけど。鏡の向こうに世界って──。


「それ、案外あり得るかも」


そしてそれを肯定するのはデティだ。俺達と一緒に鏡を見上げながら、ウンウンの首を傾け。


「トラヴィス卿が言ってた。メグさんの写真の世界を見た時…夢の世界や鏡の世界のように、人の認識によって構成される世界は研究されているって。夢の世界があったんだから、鏡の世界だってあるよ」


「マジ?」


「ラグナ、お前鏡の中に世界があるとは思えないって思っただろ?それメグの写真の世界の時に思ったのと同じ感想だ。つまり…もしかしたらこれが、俺達の常識を超える世界への入り口なんじゃないか?」


「……………」


言われてみれば言われてみるほど、そうとしか思えない。じゃあなにか?敵はこの鏡を出入り口に使って入り込み、誘拐したってことか?……やられたな。

完全に想定外だった、メグのように次元移動を行える奴が敵方にいないとどこかで思っていたが、もしかしたらあり得るのかもしれない。


「……見えた」


「へ?」


そんな中、今まで部屋の前で目を閉じていたメルクさんが、ゆっくり目を開きながら歩み出す。その瞳には淡い光が灯っており…理解する。

見識だ、メルクさんには物事の真実を見通す才覚がある。それは時間や空間の垣根も超越しメルクさん知りたい事を知ることが出来る。見識の才ではエリスをも超えるメルクさんは部屋の中心に立ち、首を振って周りを確認すると。


「……影が見える。そいつらは部屋に突然出現した三人組だ、それに気がついたエリスだったが…後ろから羽交い締めにされ眠らされているな」


「やっぱり誘拐なのか、じゃあどこに?……って聞くまでもないか」


「ああ、鏡の中に引き摺り込まれている」


全員視線が鏡に向けられる、やはりここか!これで間違いなくなくなった、エリスは誘拐された、そして鏡の中に連れて行かれたんだ。じゃあ…!


「行こう!鏡の中に!」


エリスが向こう側にいるなら取り戻しに行く。居場所がわかったなら迎えに行く。俺は鏡を手で叩きながらそう言うが……みんなは乗ってこない。あれ?ここでみんな乗ってくると思ったんだが…。


「なぁおいラグナ、行くってどうやって」


「え?メグの覚醒で行けるんじゃないのか?」


「いえ、私の覚醒はあくまで次元間移動でございます。三次元から二次元の世界に行く事は出来ても…鏡の世界はまた別でございます」


「なッ!」


そ、そりゃそうか。別にメグの覚醒はそう言う世界に行くための覚醒ではなく、単に次元を移動するだけの覚醒だ。だけって言うのはおかしいかもだが。

となると、鏡の中に逃げられた以上俺達に追いかける術はない……?


「デティ、方法は?」


「知るわけないでしょ、知ってたらとっくに利用してるよ……けどこの中にエリスちゃんがいる以上、なんとかして方法を見つけるしかないよ」


「だな…幸い俺達は今アド・アストラにいる。捜索に戦力を充てるのではなく鏡の中の世界に行く方法を模索する方面で組織の力を使おう!」


拳を握りながらみんなに言う。鏡の中に行く方法がないなら見つけるか、作ればいい。


「じゃあ私は歴代魔術導皇の文献の中に、鏡の世界についての記述がないか探してみる。どうせ魔術だろうし、魔術なら一度は許可申請がされてるはずだよ」


「では私は帝国の開発局に掛け合ってみましょう。空間移動は帝国のお家芸、特許申請出来るくらいでございます。時間はかかるでしょうが確実に鏡の中へ行く魔装を作ってみせましょう」


「そうか、ならこちらはデルセクト開発局を合流させよう。資金は必要なだけ出す、私の個人預金を枯渇させ全世界の有識者を集結させる」


方針は決まった、とはいえ今ここから鏡の世界に行く事は出来ない。まずは道を作るところからだ。デティは魔術方面から、メグとメルクさんは道具を作る方面で…。


「じゃあ俺、コルスコルピに帰ってレーヴァテインに相談してみるぜ。アイツならなんか知ってそうだしさ。お師匠の助けは…まぁ期待出来ないが掛け合ってみる」


「僕は…僕は、えっと、エトワールでなにか探してみます!」


「ああ、みんな頼む。俺も軍団の中から鏡の世界に行けそうな覚醒に目覚めた奴がいないか探してみる」


そしてみんなはまた解散していく、それぞれがそれぞれの方面で、世界中の知識や力を集結して鏡の中に行くために。慌てた様子で部屋を出て早速行動を開始するみんな、さて俺も行くか。最近は軍団の中から覚醒する奴も増えてきている。覚醒内容はほぼランダムみたいなもんだ、もしかしたら鏡の中に繋がる道を開く力を持つ奴もいるかもしれない。


「…ネレイドはどうする?」


「私はラグナについていくよ。やりたい事もあるしね」


「やりたい事?」


「うん、ちょっと落ち着いてから話す」


「あ、ああ」


そんな事言われても俺はこれから動き出すし、落ち着くタイミングなんてないと思うが。…にしても鏡の中か、敵のシルエットは朧げながら見えてきたが、まだ判然としない。

殺すだけなら、いつでも殺せたと思う。それをせず連れて行ったと言う事は敵はエリスを生かすつもりがあるって事だ…つまりエリスはまだ生きてる。まだチャンスはある…取り戻すチャンスは。


(……すぐ迎えにいく、だからエリス。無事でいてくれ)


俺は祈るように鏡を見つめ、悲壮に満ちた手前の情けないツラに眉をひそめ、歩き出す。ああ、くそ…それにしてもエリスは今、どこにいるんだ。



…………………………………………………………


「ん……ぁ…ん?」


顔に当たる陽光の暑さに寝苦しさを感じて、瞼を動かし目を覚ます。薄らと開いた視界に見えるのは、半分だけ開いたカーテン。そこから燦々と差し込む光を見て…。


「んぅ…あ、あれ…寝坊してしまいましたか?」


目を擦りながら起き上がる。ゴソゴソとベッドの上で蠢き、毛布を剥いでエリスは足を下ろし、古びた木製の床の上に立つ。頭がボーッとする、エリスはなんでここで寝てるんだっけ?エリス…昨日の夜なにしてた?ん?そもそも今は朝?今の時間帯は?ここはどこ?


「うぅ、頭にモヤがかかったみたいに動かない…取り敢えず着替えよう」


エリスは寝ぼけ目を擦りながらパジャマのボタンを外し、ペッペッと脱ぎ捨てると同時に壁にかけられている簡素な布地のドレスを着る。そうしているとようやく頭が目覚め始めてくる。


ああそうだ、エリス昨日…疲れて寝てしまったんだったな。見たところ今の時間帯は朝だし、多分そうだろう。


「んんぅ〜…はぁ、なんかイマイチ頭が働かない気がしますが。体を動かしてたら目も覚めてくるでしょう」


まだイマイチ頭が動いていない。そういえばここはどこだ?エリスはなんでこんな所で寝ているんだ?そう思いエリスはドレスを着たまま外に出ると……そこは。


ワイワイ、ガヤガヤと活気ある喧騒に包まれた街が見えた。キラキラと煌めく太陽の下荷物を運ぶおばさん、働きに出かける旦那さん。石の壁に煉瓦の屋根。この感じを見るに場所はマレウス、エリスはマレウスの宿で眠っていたようだ。


「んー、街並みを見るに東部じゃない…北部かな」


腕を組みながらブツブツ呟く。エリスは今北部の街のどこかにいるようだが、そもそもなんで……いや待てよ?頭がクルクル回転してきたぞ、ようやくお目覚めだ!そうだエリスは昨日──!!


「やぁ、エリス。目が覚めたかい?」


「え?」


ふと、声をかけられて喧騒に目を向けると。『やぁ』と手を上げて寄ってくるのは…青い高貴なコートを着込み、使い古したブーツを鳴らし、にこやかに微笑む金髪の青年。エリスより頭一つ大きい身長でエリスを見下ろしつつ、買い物帰りだと推察させる紙袋を抱えて…前に立つ。

その人物の名は……オリフィス、そう…この人物こそ。


「あ!おはようございます!オリフィス『兄さん』!」


そう、オリフィス・クロノスタシス…エリスの、いや『エリス・クロノスタシス』のお兄さんだ!エリスは兄さんと今旅をしている最中なんだった!


…………………………………………………


「エリス、色々買ってきたよ」


「わぁ、パンにベーコン、リンゴにワイン。色々買ってきてくれましたね、兄さん」


「ああ、奮発してきたんだ。可愛い妹の為だからね」


兄さんは宿の机に紙袋を置いて、エリスの頭を撫でてくれる。オリフィス兄さんは優しい人だ、いつもエリスの事を考えてくれるし、エリスの我儘を聞いてくれる…本当に優しい人です。だからエリスはオリフィス兄さんが大好きなんだ。


「えへへ、じゃあエリスが兄さんの為に朝食を作ってあげましょう!」


「楽しみだな、でも大丈夫かい?」


「大丈夫ですよぉ、エリスの料理の腕はよく知ってるでしょう?」


「まぁね、じゃあ任せるよ」


エリスはエリスです。クロノスタシス王家の第三子…エリス・クロノスタシスです。一応クロノスタシス王族の一員なんですけど、エリスは王族とか王家とかそういうしがらみが苦手で…だから兄さんは特別に外界で過ごす事を許してくれている。

王族としての御勤めを果たさず、外界で好き勝手旅をしているエリスを支援してくれたり、支えたりしてくれたりする兄さんには頭が上がらない。


だからこうして一緒に旅をしている間だけでも、兄さんの役に立ちたいんだ。


「へえ、手際がいいね。エリス」


「あはは、エリスもこれくらいの事は出来ますよ」


「そっか、いいお嫁さんになりそうだね」


「相手がいれば、ですけどね」


エリスは兄さんが買ってきたパンを切ってサンドイッチを用意する。それを兄さんは椅子に座ってジッと見ている。尊敬する兄さんにはジロジロ見られるとなんだか恥ずかしいです。

でも……。


「ふふふ」


「どうしたんだい?エリス」


「いえ、兄さんとこうやって旅が出来るのは楽しいなって」


普段兄さんはクロノスタシス王国にいる。鏡の中にある王国であるクロノスタシス王国…エリスはあんまり帰ってないからどんな感じの場所かイマイチ分かりませんが、そこで仕事をしている兄さんがこうしてエリスの目の前にいるんだから、嬉しいんだ。


「クレプシドラ姉さんは元気ですか?」


「……ああ、元気だよ」


それは良かった、兄さんと一緒でクレプシドラ姉さんもいい人なんだ、王国には殆ど帰ってないのであまり会えてませんが、とっても優しい人である事は覚えてる。

パンケーキを食べてる時なんか、姉さんはエリスを手招きして『一緒に食べましょ?』なんて言って分けてくれるんです。

あんな優しい姉さんを一人国に残してしまっているのは申し訳ないです。いつかまたクロノスタシス王国に戻って姉さんに会いに行かないと。


「はい、サンドイッチできましたよ」


「おお!上手く作ったね。流石は俺の妹!」


「もう!褒めすぎですよ!」


「あはは」


そうして出来上がったサンドイッチを兄さんに差し出すと、兄さんは大袈裟に驚くような姿勢を取り、美味しそうにサンドイッチを頬張ってくれる。それを見ているとエリスも胸が暖かくなるんだ。


「それで兄さん、今日はこれからどうするんですか?」


「ん?ああ、さっき買い物に出かけた時一緒に馬車を手に入れておいた。このまま目的地であるブリュスターに直行出来るよ」


「本当ですか!仕事が出来ますね兄さん!」


「まぁね」


やった!これでブリュスターに行けます。北部の中心街にして王貴五芒星の一角、鏡面卿カレイドスコープ家の領地であるブリュスターがエリス達の目的地だ。そこに行ってカレイドスコープ家の人に接触するのが旅の目的……あれ?


……なんでカレイドスコープ家に接触するのが目的なんだっけ。そもそも…エリスはなんで今こんなところに、エリスはアルクカースにいるはずじゃ──。


「ただいまー」


「戻りましたのじゃ、坊ちゃん」


「ああ、サブリエ、シャーロウ。おかえり」


「あ、お帰りなさい!二人とも!」


ふと、顔を上げると玄関口に立つ二人の男女が見える。一人は若い女性、もう一人は背の低いおじいちゃん。


女性の方はサブリエさん。ピンクの髪に黄色のコートと奇抜な格好をしたお人でとってもおしゃれに気を遣っているのが特徴です。

もう一人のおじいちゃんはシャーロウさん。ツルツルの頭にダルダルの皺が特徴の背が曲がった小さなお爺ちゃんです。

二人ともオリフィス兄さんの側近で、いつも兄さんの仕事のお手伝いをしているんだ。


「あ、坊ちゃんご飯食べてるんですけどー、ずるーい。ねぇエリス〜あーしのは?」


「ありますよ、はい。シャーロウさんも」


「ホホホホ、ありがたいですじゃ」


二人にもサンドイッチを渡すと…なんだかニタニタ笑いながら二人がエリスを見ていることに気がつく。凄く嫌な笑い方だ…けど二人はいい人のはず、だって今までエリスとオリフィス兄様を支えてくれた人で……。


「へぇー!美味しいじゃん意外に。こんな美味しいサンドイッチ食べたの初めてだわ」


「ホホホホ、僥倖」


(そうだよ、エリスはずっとこの人達に支えられて『独り』で旅を続けて来たんだ…エリスにとって仲間と言えるのはこの三人だけのはず、なのになんだこの空白は…なんなんだ、これは)


とても、とても気持ちが悪い。今着込んでいるドレスも…スカートも、なんだかとても似合っていないように思えて仕方ない。エリスには何かしたなきゃ行けないことがあった気がするのに…それに思い当たる節がない。


「どーしたのよエリスちゃん、なにかあるならあーしらに相談しなって」


「そうですじゃ、儂はエリス殿の味方ですじゃ」


「で、ですよね……」


三人を前に、エリスは一生懸命笑みを浮かべる。そうだよ、味方だ…この人達は、だから。


聞こう、今エリスの中にある違和感。どれだけ思い返しても思い当たらない…空白の記憶について。


「あの、兄さん…エリスに、エリスに『師匠はいますか』?」


そうエリスが聞くと、オリフィス兄さんはゆっくりと微笑んで。


「なに言っているんだいエリス。君にこの世界で生きていく方法を教えたのは……『俺だろう』?」


「そう、でしたね」


言う、エリスに師匠はいない。強いて言うなれば兄さんが師匠だと……うーん、そうかな、そうかも。そんな気がして来ました。


「あはは…、変なこと聞いてすみませんでした!」


「本当にね。どうしたんだい?本当に」


「いえ……それより早くサンドイッチ食べちゃいますね!ガツガツ!」


「こ、こらこら。はしたないよ」


言い知れない気持ち悪さ、気味の悪さ、違和感、それらを誤魔化すようにエリスはサンドイッチを食べまくる。


本当にどうしてしまったんだろうエリスは。クロノスタシス王家の一員としてもっとシャッキリしないといけませんね!


………………………………………………………………


(記憶改竄は上手くいっているか)


モグモグとハムスターのように頬を膨らませるエリスを見て、オリフィスは目を伏せる。今目の前にいるエリス…と言う少女は俺の妹ではない。


孤独の魔女の弟子エリス、数多くの魔女排斥組織、八大同盟を叩き潰して来た魔女の守護者。今現在この世界で最も苛烈な破壊者と言ってもいい存在。それが何故俺を兄と慕っているか……単純だ。


記憶の改竄を行った。アルクカースから彼女を攫い、クロノスタシス王宮専属一級医師であるシャーロウが作る記憶消しのポーションを用いて記憶に穴を作り、そこにクロノスタシス王宮専属一級魔術師であるサブリエの幻惑魔術による偽造記憶の連続投射によるサブリミナルで記憶を植え付けた。


人の記憶は連鎖的な物で、ある程度『こうだったかもしれない』と言う朧げな記憶があればそこから自分で記憶を捏造し勝手に思い込んでくれる。故にエリスは俺の事を兄だと思い込んだだけで、偽りの思い出を数多く作り出した。


「ゴクッ…ふー!食べおりました!兄さん!」


「エリス、口元に食べかすがついているよ」


「あ、すみません。えへへ」


人を操る上で最も効率が良く、強力な方法。それこそが記憶捏造による関係の偽造だ…。例えば相手を友人だと思えば、恋人だと思えば、家族だと思えば、相手の言う事は無条件で優先されるようになる。


これによりエリスは今、完全に俺のコントロール下にある。なんたってエリスの中で俺は『最愛の兄』なのだから、警戒などしようはずもない、疑うなんて事するはずもない。俺の言う事は絶対であり、彼女は命を賭して俺を守るだろう。


全て計画通り……これでようやく動き出せる。


「………」


「どうしたんですか?兄さん」


「ああ、いや。なんでもないよ」


俺は懐から一枚の紙を取り出す。それは…我が実姉にしてクロノスタシス王国の絶対王者クレプシドラ・クロノスタシスからの指令書。


内容は『カレイドスコープ家に潜入し、その娘ミロワ・カレイドスコープを誘拐してこい』と言う物。それが俺に課された命令であり、その一環として必要だったから先にエリスを誘拐した。


回りくどいだろう。だが必要な準備なんだ。ミロワの誘拐は一筋縄ではいかない、エリスの時のように鏡を経由して内部に入り込みこっそり誘拐…と言う手段は『とある事情』により使えない。故に家庭教師として内側に入り込む必要がある。


色々綿密に計画を立てて、この作戦に臨む。ミロワ・カレイドスコープはクレプシドラの望む『終焉の虧月』の完成には必要な人物だ。失敗は許されないし…姉様は許さない。例え実弟とは言え、俺を殺すだろうな。


因みにだが、エリスはクロノスタシスがマレフィカルムの一員であると言う事は知らない。何故ならエリスの記憶にマレフィカルムの存在が強く刻み込まれすぎているから…ここは改竄ではなく消去という取るしかなかったからだ。故に彼女はクレプシドラの狙いもなにも知らない。


そんな彼女を前に、司令所を出しても大丈夫なのか…という話になるが、まぁ大丈夫だろう、なにせ。


(この手紙は読めっこないからな。俺でも読めない)


紙にはミミズがのたうち回りながら雷に打たれたようにギザギザした何かに貫かれている絵が無数に書かれている。簡単にいうとグシャグシャ!と子供が書き殴ったような線が引かれているんだ。


勿論ながら我が姉は指令書と称してこんな意味不明な絵を送ってくるようなユーモアを持ち合わせているわけでもないし、冗談を言うほどユニークな人でもない。


一応、これは文字だ。クロノスタシス王国随一の『悪筆家』と称される姉クレプシドラの書いた字だ。多分これを解読できる人間は全人類から選別しても一人もいない。姉を含めてもだ。


故にエリスには読めるはずがない、多分…街に張り出しても大丈夫だ。


(…………この字は、いつ見ても悲しくなるな)


姉の書いた文字について姉に『なんと書いてあるのですか?』と聞けば『二度同じ説明するのは時間の無駄です』って言って殺すし、悪筆である事を指摘すれば殺す。その上でこんな指令書を送っておきながら、失敗したら結局殺す…ってスタンスなんだから、我が姉のことながら恐ろしいよ。


まだ死ぬわけにはいかないし、エリスには仕事をしてもらわなきゃいけない。


だから……。


「エリス、これから一仕事だ。これから一緒に頑張ろう」


「はい!兄さん!」


エリスには仕事をしてもらう必要がある。クロノスタシス王国がマレフィカルムの一員であるとも知らないエリスを騙し、利用し、使用し、そして…手に入れるのはクロノスタシスの栄光。


……全ては、クロノスタシス王国のため。

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― 新着の感想 ―
エリスの居場所はスティクスに聞けば一発で解決しそう。 記憶消しのポーション? エリスが消した物とは別のやつかな? それにしても、エリスに存在しないはずのお兄さんが……これはハツイの正体も分かるかもしれ…
エリスさんまた洗脳されてら。 記憶消されるのも二回目かぁ。 シンさーん出番ですよー それにしてもクレプシドラ最大の弱点……それは字が汚いこと!!それでいいのか女王…… メルクさんの見識の力、これも久々…
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