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孤独の魔女と独りの少女【書籍版!8月29日発売中!】  作者: 徒然ナルモ
十四章 闘神ネレイド、炎の大一番
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451.魔女の弟子と隻眼の剣


「おう、おかえりさん。任務は無事完遂したようだな!…なーんつって」


俺達がガイアの街に戻ると、そこには子供達と戯れるアマルトの姿があった。こっちはモース大族団とやり合って大変だったのに!…とは言わない、彼は俺達が安心して戦えるよう万事を尽くしてくれていた。その結果がこれなのだ、むしろ感謝を伝えねば。


「ああ、アマルト。子供達をありがとな」


「いやいいさ、こっちは本職なもんでね。性に合ってる」


「アルトルートさーん!」


「アルトルートさんだ!!」


「ああよかった、みんな無事で…」


俺達が救出したアルトルートは、幸い怪我や後遺症のような物は見受けられず至って健康。やはり当初の読み通りモース達は別にアルトルートの命をどうこうしようってつもりはなかったようだ。


子供達と再会を喜び抱き合うアルトルートを眺めていると…。


「それでアマルト、エリスの様子はどうだ?」


そうメルクさんが問いかけるのだ、するとアマルトはややバツが悪そうに頬を掻くと。


「ああ、エリスか?エリスなら…」


『みんな〜、おかえりなさ〜い!』


そう言って、アマルトの背後からトテトテと走ってくるのは…。


ピンク色のエプロンを着込み、ハートの髪飾りをして髪を結うと言う謎の格好をしたエリスだった。


「んなっ!?なんだエリス!その格好は!?」


「かわいいー!エリスちゃんかわいいー!」


「えへへ〜」


可愛い、真面目に可愛い。普段コートを着てズボンを履く凛々しいエリスからは摂取出来ない謎の栄養素で体が満たされる。やはりエリスは何を着ても似合う、がまさかこんな乙女チックなのも似合うとは…。ってかなんだその格好。


「子供達のおもちゃにされてな、最近じゃもっぱら着せ替え人形よ。アリスとイリスがあれこれと服を用意したからな。昨日なんてもっととんでもない格好してたぜ」


「こんな感じになっても子供に優しい点は変わらないんだな」


「そこもまた、魂に刻まれた物なのでしょう」


ダアトの言ってたやつか。エリスが俺達のことを忘れなかったようにエリスは子供達に対する慈しみも失っていないと。なるほど段々魂に刻まれた記憶ってのがなんなのか分かってきたぞ。


つまるところアイデンティティだ、自己を形成する上で基盤となる情報…、人はその上に積み重ねるように経験や知識を身につけていく。その土台となる情報が魂に刻まれる物になるのだろう。


「エリスお姉ちゃん〜!向こうで遊ぼ〜!」


「僕達と遊ぼうよー!」


「いいですよぉ〜」


子供達に手を引かれてフラフラと何処かに消えるエリスを見送り、皆と視線を合わせる。メルクさんがかなり早い段階で元に戻ったからもしかしたらと思ったが…これはまだ戻りそうにないな。メルクさんと違って余程丹念に仕込まれたらしい。


「さて、それで?ラグナ。帰ってきた割には凱旋って感じでもなさそうだが、まだ終わってねぇんだな?」


「ああ、情報を共有する。時間取れるか?アマルト」


「任せな、丁度お前らの分の昼食も作ってある。子供達の相手はエリスとアリスとイリスのトリプルリスが勤めてくれるから、その間に頼むぜ」


「ん、任せな!」


取り敢えず、今は情報だ。そしてこれからの方針を考えていかないと。


………………………………………………………………


それから、俺達は寺院の食堂に集まり軽く話し合った。モース達と出会い分かった事や得られた物。少ないが…それでも無視出来ない物ばかりだ。


そうして一通り話し終え、机に頬杖をつくと…場は静寂に包まれ庭先で遊ぶエリス達の声が食堂の中に響き渡る。


「色々聞きたいことはあるけど、つまり…ネレイドがモースの娘だったと?」


「………私は、違うと思う」


「ん、なるほどね」


テルモテルスへ戻る道行の中。ネレイドさんはずっと無言で…何かを思い詰めている様子だった。まだ自分がモースの娘である事実を受け止めきれてないんだ。


そんな話を聞いて、アマルトは。


「違うと思うたって、実際のところどうなんだ?他の連中はどう思った?」


「分からない、確かめる手段がないから。でも…確かめる手段を必要とするくらいには似てたよ。それにモースが語った娘の情報とも一致してるし、状況的には間違いないかな」


「……………それだと、私にはあの悪辣な山賊の血が流れてることになる。私も…本質は悪人ということになる」


「それは…」


違うと言えるのか。そりゃ間違いなくネレイドさんは善人だ、だが善とか悪とか…そういうのは不確かな物でしかない。何より自分の親が世紀の大悪党なんて…気にしないほうがおかしいしなぁ。


「血…か。確かに親子の関係ってのは簡単なもんじゃない。親の遺伝子情報を受け取り複製される後継体こそが子供である以上その影響は無いとは言い切れないだろうな」


「………私は、認めたくない。アイツが母だと…否定するしか、ない」


「否定肯定じゃないだろ。確かに親子の縁ってのは簡単には切れない…けど、だからって親に人生全てを左右されるわけじゃねぇし。親がどんなだろうがお前はお前なんだし、別に気にすることないだろ」


「そうは言うけど…」


アマルトはネレイドの悩みに対し気にするなと言う。彼は親との仲が良好でない事を自覚してその上で折り合いをつけた男だ。俺達が言うようなその場限りの慰めとは重みが違う事はネレイドさんも理解している。


だがそれでも、やはり…高潔な彼女は受け入れ難いと顔を顰め。


「ま、そう言うデリケートな話は自分で決着をつける物だし、俺がこの場で好き勝手言う事でもないな。…でもネレイド」


「何?」


「俺は、お前だから友達になったんだ。お前が誰かだから友達になったんじゃない。それだけは分かっとけよ」


「……、アマルトは優しいね」


「知ってる」


ニコリと微笑むネレイドはどうやらアマルトの伝えたい事を分かったようだ。まぁ俺は全然分からなかったのだが…それでも、アマルトならなんとかしてくれると思っていた。


彼は、人の機微に聡い。表情から心中を察し、言動から心情を察し、その上で慮れる男だから俺はネレイドさんがモースの件での悩みをアマルトに託したんだ。


「んで?モースがこの東部をぶっ潰そうとしてるってマジか?」


「ああ、それについてはネレイドやアルトルートが聞いている。だよな?」


「うん、モースはその為に東部の物流を停止させたり山賊を跋扈させたって言ってる」


「周りくどいねぇ、その上でテルモテルスもぶっ潰すつもりなんだろ?欲張りすぎじゃね?」


「飽くまで大目標が東部クルセイド領の破壊で、この寺院やガイアの街は通過点なのだろう。何やら…個人的恨みもこの街にはあるようだし」


「ですね、僕達はそれを阻止しないといけないんです」


出来るならまた直ぐにでも動きたい。だが奴等との戦力差があるのは間違いない…また真っ向から挑んでも勝ち目は少ない。やり方を考えないと。


「その為にもまずは奴らの目的を探るところからだな、しかし奴ら拠点を移すとも行っていたし…所在の割り出しもしないと、いやそろそろ本格的に動き出すならもう計画を始動させているのか?…だとしてもどうやって…」


「またあの廃教会に行けばなんかわかるんじゃない?」


とデティは言うが、無理だろ。奴らは山賊だ、自分達の次の目的地の手掛かりを残すような間抜けはやらない。そんな間抜けなら遠の昔に捕まっている。


恐らくあの教会は今やもぬけの殻、十年近く放置されていたような有様で捨てられている事だろう。


「あのさぁ」


すると、アマルトがおずおずと口を開く。


「なんだ?なんか妙案でもあるか?」


「いやなんも無いけどさ。モース達に注力するにしても…もう一件俺達にはなんとかしなきゃ行けない事案があるんだろ?」


「……?なんかあったか?」


「いやいや、ナールだよ!ほら!この街に神聖軍連れてくるってやつ!あれなんとかしないとモース所の話じゃなくなるぞ!」


「…あっ!そうだった!」


やべっ!忘れてた!そうだよ!クルスやナールの方もなんとかしないといけないんだった!すっかり忘れてた。やばい、あれからどれだけ経った…ナールが神聖軍を連れてくるならまだ時間的猶予はありそうだが、とてもモースに割いていられる程の余裕はない。


「ああクソ!面倒くせぇ!つーかこんな時にガイアの町の利権とかどうでも良く無いか!?東部全域の危機なんだぞ!?」


「それをここで言っても仕方ない。ナールに直接言うしかあるまい、まぁ信じないだろうが」


「だよねぇ、あの欲の皮が突っ張った奴の事だもん、きっと私達を嘘つき呼ばわりして言うことも聞かないよ、多分」


「あの人は、マルフレッドさん…僕も良く知る人に目にとても似た目をしています。金銭を稼ぐ事そのものに取り憑かれて…他の事が目に入らなくなっている目。とても良く無いです」


「一大事でございますね、如何しますか?このまま神聖軍の対処に当たりますか?それともモースの対処に?…私の安易な計算にはなりますが、この何方も解決には相応の時間を要し…片一方を選べばもう片一方はノータッチになるでしょう」


メグの言う指摘は確かなもので、モースに対処すればクルスが、クルスに対処すればモースがそれぞれフリーになり、どちらも放置していいレベルの話じゃ無い。


まるで両側から壁が迫ってきている感覚だ。どちらかを止めようとしてももう片一方が迫ってくる時点で押し潰されるのは時間の問題。されどどちらにも手を出していたら手が回らない。


どちらも選べないに、どちらかを選ばないと話にならない。


「どうすりゃいいんだこれ…」


そもそも何から手をつけたらいいんだこれ…。そうやって俺が途方に暮れていると…ネレイドさんが動く。


「…そういえば、アルトルートさん」


「は、はい」


「あの場に山賊の幹部が三人ほど足りなかったけど…何処に行ったか知らない?」


む、そう言えばモースの幹部…アガレスとカイムしか居なかったな。みんなの話を聞くに隊長は全員で五人。なら残りの三人は何処に行ったんだ?結局最後まで出てこなかったあたり…もしかしたらあの場には本当に居なかった?


そう皆で考えていると、アルトルートは何やらキョドキョドと周りを見回したり、汗を拭ったりしながら落ち着かない様子で。


「そ、それがですね。実は私が攫われた時に…一緒に祖父の遺品も盗まれていたそうで…」


「え?マジか…ってかそれとなんの関係が…」


あるんだ?と続けようとした瞬間ネレイドはガバッと立ち上がり青い顔でこう言うのだ。


「まさか!盗まれたの!?羅睺の遺産が!」


「羅睺の遺産?」


「あ……」


まずいと言った顔をネレイドさんが見せる。おいおい、待てよ?羅睺の遺産?名前からしてやばそうな代物だが…俺、それ初耳なんだが。


「ネレイド、なんだそれ」


「そ、その…実は。ヒンメルフェルト様の遺品の中に…そんな名前の宝があるんだって。…内容は魔術文献。ヒンメルフェルト様はそれが世に出ると…世界がひっくり返ってしまうって」


「なんだそりゃ…そんなやばい代物があったのか!?」


「むぅ、羅睺の遺産…それが魔術文献だと。もしそれが羅睺十悪星が使った古式魔術の文献だとするなら…」


「それがマレフィカルムの手に渡るのはまずい…」


デティが頭を抱えて机に突っ伏す。魔術導皇でさえ絶望するほどの最悪の事態が引き起こされかねない厄災の種だぞ。それが山賊の手に渡った…?


「羅睺の遺産にしても、それが盗まれたことにしても、なんでもっと早く言ってくれなかったんだ…」


「ごめん、…羅睺の遺産は既に棺桶に収められていた。どの道外には出せないし…直ぐに棺桶ごと焼いてしまうし、ラグナ達を不安に思わせるくらいなら…黙ってた方がいいかなって」


「いやだとしても…いや、そうだな。普通なら俺達は知るべきじゃ無いもんな。他人の遺品の内容なんて無関係の俺たちに知る権利はない、悪かった」


「ううん、私も…」


「それで、アルトルートさん…奴等は羅睺の遺産を何処へ?今もその手に?」


「それが神都サラキアへ持ち込み、それをクルスに売る事で中に潜り込む口実にすると…」


「神都に?潜り込む?なんでそんな事…」


刹那、キラリとメルクさんの顔に閃きの輝きが灯り。


「そうか!ナールか!奴らの次の目的は!」


「あ!そうだ!ナールって確か…ネレイドさんを奴隷市場に売り払った外道神父!そうだよ!モースの目的はクルセイド領やテルモテルスの前に…ナール本人の筈だ。だったら先にサラキアに仕掛けてくるのか!」


奴らの次の目的はサラキアだ。羅睺の遺産を持ち込みクルスに取り入りサラキアで動き回る為の下地を作り…ナールを探し出し、奴等はナールを殺すのだろう。


いや、それだけに留まるか?何度も言うが奴等の大目標はクルセイド領の破壊だ。ならその為に必要とされる第一段階の工程は何か?…決まってる、それはクルセイド領の心臓部たる神都サラキアの機能不全。いやもっと分かりやすく言えばサラキアの崩壊だ。


サラキアが滅べばあとは簡単だ。心臓がなくなった肉体がどうなるかわかるように。中心から徐々に腐り果てその破滅は末端に広がりクルセイド領は消えてなくなる。


これで奴等の目的は達成される…そうか、そうだったのか!わかったぞ!奴らの目的が!


そして、俺たちが今から何をするべきか!


「よし…よし!見えてきたぞ!俺達が何をするべきかの道筋が!」


「おお!流石ラグナ!どうするの!?」


「サラキアに向かう!そしてそこにいるモース大族団を見つけ出しぶっ飛ばす!そして羅睺の遺産も取り返して…次いでにナールに恩を売る!」


「お、恩を?」


「ああ、あいつはクズだが力があり立場がある。そんなナールをモース達の手から守ればナールだって俺達の言葉を無視出来ない。そしてナールを使って神聖軍の侵攻を止めるんだ!」


「そ…そんな上手く行くかなぁ…」


「だがラグナの言う作戦を実行しなけば、少なくともサラキア・羅睺の遺産・ナールの三点を捨てることになる。ナールは神聖軍の侵攻停止に於いて重要なファクターになるのは間違いない、みすみす死なせるのは惜しい」


「…現状最適解でございますね」


このままサラキアに向かってモース達を止められれば希望が見えてくる。もしかしたら現状の問題たる両翼の一端…クルスとナールを止める事ができるかもしれない。それができれば後はモースに注力するだけだ。


ありがたいことに二つの問題が一箇所に集まってくれているし、これを利用しない手はない。


「ですが…」


すると、メグが静かに目を伏せて首を振り。


「今から我々がサラキアに向かっても、神聖軍がガイアの街に到達するまでに全ての事件を終わらせるのは難しいでしょう」


「…それは、そうだが」


そうだ、既にナールは神聖軍の呼びがけに向かっている。そこからどれだけ早くこちらが動いても向こうの方が数日行動が早かった。どう考えても神聖軍到達までにサラキアに向かったモース達を止めるのは不可能。


…となると。


「ここを手薄にするのは怖いな。少しの間でいいからガイアの街を神聖軍から守れるだけの戦力を置いていく必要がある…」


どの道ここは手薄には出来ない。またモース達が来るかもしれないし神聖軍の動きが予想より速いかもしれない。となると戦えるメンバー全員でサラキアに向かうのは恐ろしい。


今回のメンバーよりも更に少数でサラキアに向かい、残りのメンバーがここに残り神聖軍を食い止める必要がある。そして食い止め時間を稼いでいる間にナールを助け侵攻をやめさせるしか無い。


「…数人、ここに残って神聖軍の足止めをしてもらう。その間にサラキア組がナールを助け侵攻をやめさせる…そう言う作戦で行こうと思う」


「どちらも危険だな、敵地に飛び込む係も敵を食い止める係も…どちらも」


「ああ、だからメンバーの選考は俺がやる。…悪いが俺に…命を預けてくれないか」


「無論だ、というより…」


「俺たちはもうお前に命預けてるよ、遠慮なく割り振れよ」


「そうだよ!ラグナなら信用できるからね!」


「はい!何処でも僕は頑張ります!」


「というわけでございます、如何されますか?ラグナ様」


…ありがたい限りだ。だから俺も…みんなを信用して任せよう。


サラキアに向かう奴ら、ここで子供達を守る奴ら、どちらにしても危ない橋であることに変わりはないが。その覚悟をみんなに問う必要など…今更なかったかもしれない。


…よし、ならやるか。ここから本当の意味での反撃だ。


「ラグナ〜!」


刹那、扉が開かれる。背後の扉だ、そこから聞こえてくる甘い声…半端に舐めた飴みたいに蕩けた声。


全身が警鐘を鳴らす、『やばい』と…だが。


「え、エリス?」


逃げられない、俺はおずおずと振り向きながら扉の方に視線を向ける。これからって時なんだが…。


なんて思っているとエリスは涙目になりながらいきなり俺に抱きついてきっ!?抱きついて!?え!?なんでッ!?


「え、エリスぅッ!?」


「ラグナ〜…さっきからエリスを仲間はずれにして…何話してるんですかぁ」


「う、いや別に仲間はずれにしてるつもりは…。実は俺たちこれからサラキアに向かうんだ、モース達を止めに」


「……?」


ダメか、相変わらず分かってくれそうにない。知識を消されてしまったが故に今のエリスには何も理解出来ない状態にある…そんな彼女からすれば先程から忙しなく動き回っている俺たちは、さぞ不可解に映る事だろう。


本当なら、彼女につきっきりで元に戻るまで助けてやりたいが…。


「何処かに行ってしまうんですか?」


「……ああ」


「…行かないでください……」


そんな顔しないでくれぇ…。でも本当にエリスは元に戻るのかな、戦力的な意味ではなくエリスがこんな状態から元に戻らなかったら俺は…俺はどうしたらいいんだ。


「こらエリス、ラグナはこれから忙しいんだ」


「ううー、ラグナ〜」


メルクさんがエリスを引き剥がしてくれる、しかし今のエリスはあれだな。まるで子供の様だ、幼児退行…と言うのだったか?ある意味今の状態のエリスは本能のまま動いているに近い。


…いや割といつも本能のままに動いてたな。まぁいい。


「エリス、心配しないでくれ」


「……?」


「すぐに戻ってくる、だから俺に任せてくれ」


真摯に伝える、知識を失い意味は分からないだろうが…きっと言葉ではなく心でなら理解してくれるはずだと俺は彼女の肩を持ち、瞳を覗き込みながら伝える。


すると宝石の様にキラキラと輝く瞳は瞼というカーテンによって遮られ。


「やめろラグナ、今のエリスには伝わらな…」


「……分かりました、帰ってきてくださいね」


「えぇっ!?」


そう語るエリスの瞳には、僅かに意識の光が宿った様に見えて…。彼女はこくりと理解をして立ち去っていく。やはり分かってくれるか、エリス。


「よく伝わったな」


「エリスは動物になったわけじゃないんだ、ただ…忘れてしまっているだけ。エリスがエリスである事に変わりはない、だろう?」


「まぁ、そうだな…」


エリスはエリスのままだ、そしてエリスは友の為になら何度でも立ち上がれる奴だ。だからきっと…また立ち上がる。それを信じて今は俺たちに出来ることをしよう。


エリスを守る為に、みんなを守る為に、…こっからが戦いだ。


………………………………………………………


ここはマレウス東部クルセイド領に於ける執政の中心地。この乾き切った大地を古くから統べる大貴族が作り上げた街にして、テシュタル真方教会屈指の聖地…神都サラキア。


別名『水の都サラキア』の異名を誇るその街の中心に位置する大宮殿。


あちこちに噴水が立ち並び綺麗な水の幕が掛かる青色の神殿『ナウプリオス大神殿』の大広間。水そのものを贅沢にも飾りとして扱う煌びやかな部屋の中央に居座る三人の者共を睨むように左右に配置された兵士達が視線を向ける。


「つまりぃ、サラキアでの商売を許可して欲しいと?」


「そうですぅ〜」


パラパラと渡された冊子を眺めて知恵の槍クサンテは胡散臭そうに目の前に立つ三人の商人達に目を向ける。


突如、このナウプリオス大神殿を訪ねてきたかと思ったら急に『この街で商いをする事を許して欲しい』と許可を取りに来たのだ。まぁ別にそれはどうでもいいのだが…問題はそいつらのナリだ。


一人は異様にオドオドと周りを見る神経質そうな男と、もう一人はアフロのナイスガイ、そしてそいつらを代表して話すオセと名乗る女…。どっからどう見てもただの商人じゃ無いだろこいつら…というのがクサンテの率直な反応だ。


(どう見ても怪しい、でも商品のリスト自体に問題はないし…突っつくような部分もない。風体以外怪しい部分が皆無だ)


「何か問題でもありましたでしょうかぁ〜」


「いやぁ、どうだろなぁ。ほら見ての通りこのしょぼくれたおじさん一人じゃどうにも決め難いもんでね。…というわけで意見を聞きたいんですが?どう思うやすかね、同僚の皆皆様」


そう言ってクサンテはチラリと背後を見遣る。自分の同僚…神将に仕える三人の勇士…『神の三本剣』たちに意見を乞う。すると…。


「どうでも良いです、とっとと許可を出しなさい、クサンテ」


「えぇ、そりゃないでしょうよメーティスのアネさんよぉ」


クイッと眼鏡をかけ直す仕草を見せるのは桃色の髪の女、陶器の様に白い肌に鉄の様に固く険しい顔…、彼女は三本剣の一人『思慮の盾』メーティスだ。


真方教会の執行長官を務める仕事人であり真方教会屈指の使い手を前に、クサンテは相手が年下であるにも関わらず下手にへりくだる。


「クサンテ、我々には今するべき事があります。このような事に時間を取られている場合ではない」


「でも大事な話ですしなぁ」


「貴方が見て問題を見つけられなかったでしょう?ならそれで良いです。何か問題があれば担当した貴方の責任です。私を巻き込まないでください」


「冷たい〜」


「冷たいですよ、私は」


ツンとした様子で相手にしてくれないメーティスにクサンテは思わずため息を吐く。メーティスは恐らく今真方教会にいる人間の中で最も神司卿殿に忠実な人間だ。クルスが言ったことしかしないが故にクルスからの信頼は絶大だが…こういう時融通が効かないのだ。


「我々はなぁんにも怪しくなくですよぅ」


「怪しい奴に限ってそういうんだよ…」


「そうですか?ならば上納金を出しましょう。こちらはほんのお気持ちですよ」


そう言ってオセは荷物の中から金貨の詰まった袋をボンと出して見せる。その量には流石のクサンテも思わず『おお』と口を開く。


(うわぁ、賄賂だよ。世渡り上手だねぇ…普通こういうのは受け取っちゃいけないんだけど、今の教皇様はこういうの大好きだしなぁ)


「ほう、態度というものをよくわかっていますね商人。教皇様もお喜びになるでしょう」


「ははぁ、ありがとうございますぅ」


すると勝手にメーティスは金貨の入った袋を受け取ってしまった。クルスが欲しがるだろう事を予期して確保に走っただ。彼女の思慮は常にクルスのためにある。そういう意味では思慮深いだろう。


「他にも色々ありますよぉ、黄金の神像、宝石の首飾り、ああそうだ…最近知り合いから譲ってもらった。魔術文献なんてのもありますよ」


「おやおやそんなに、誠意がありますね」


次から次へと献上してくるオセに思わずクサンテの顔が引き攣る。黄金の神像やら宝石の首飾りやら…結構高価そうなのにそんなもんをポンポンと渡し、剰え魔術文献まで?


クサンテが知る限りこの世で最も価値があるのは宝石だの黄金だのではなく魔術文献だ。そいつを使って新種の魔術でも発明しようもんならあっという間に莫大な金が入り込んでくる利権を手に入れられる。そしてその魔術が使われ続ける限り一生金が転がり込んでくる。


有名なのはアロー系を開発した魔術師の家だ。あれが開発されたのは今から二百年くらい前だが今でもアロー系が使われているから各地から使用料が入ってきて、そいつらの家系は祖父の代から仕事をしてないそうだ。


そのレベルで文献は高価だ、ましてや未発見のものにでもなれば国王が傅いてでも欲しがるだろう…それを渡してくるって、頭沸いてんのか?とクサンテは流石に怪しむ。


「あのぉ?それ魔術文献だよねぇ、そんなもん渡しちゃって大丈夫?それ別のところに売ればウチで商売する以上の価値があると思うんだけどねぇ」


「いえいえぇ、魔術文献を魔術導皇が認可した場以外で取引するのは禁じられてますし、そう言った手間を掛けるくらいならお譲りしてしまおうかなと」


「ま、まぁそうか…」


確かに文献の扱いは魔術導皇及び魔術界が厳正に管理してるし…扱いが面倒なのはそれはそうだが。しかし。


「そんなもの何処で手に入れたんで?」


「ええ、なんでもこれは僧侶ヒンメルフェルトが残した遺品だとか…」


「なっ!?それは本当か!?」


ギョッとメーティスが箱に収められた魔術文献を前に目を剥く。それが本当なら…。


「僧侶ヒンメルフェルトの遺品は今クルス様が最も欲している代物だ。もしそれを譲ってくれるならこの街での商売の許可も出すし他ものは何もいりません」


「おや、そうでしたか?いやぁよかった…なら」


とメーティスがオセから魔術文献を受け取りオセ達がこの街で商いを行う許可を出そうとした…その時だった。


「待てよ、メーティス。流石に怪しいぜそりゃあよ」


止めるのだ、神将の右腕と呼ばれる男。別名『隻眼の剣』の異名を取る…。


「…なんですかヴェルト」


ヴェルト…、そう呼ばれたのは、顔の右半分を覆うほどの眼帯を付け、肩まで伸びる黒髪を揺らす隻眼の剣士だ。数年前に突如この真方教会を訪れ、それ以来神聖軍の一員として務めている彼がメーティスを止める。


同じく三本剣と呼ばれる者同士、メーティスとヴェルトには立場的な差はない。だがただの執行長官たるメーティスとオケアノスの副官たるヴェルトでは、発言の強さが違う。故にメーティスもヴェルトの言葉を無視できない。


「なんですかじゃねぇ、そもそもそれ…本物なのか?」


ヴェルトもヒンメルフェルトの遺品をクルスが欲しがっているのは知っている。だからこそそれが本物であるかどうかの確認もなしにホイホイ受け取って相手に対価を与えていいのかと慎重な姿勢を見せるのだ。


「本物であるかは、後で確認すれば良いでしょう」


「いいわけあるか、こっちが対価を出す以上偽物掴まされてちゃ間抜け見るハメになるだろうが。…おい商人、これが本物であるという証明は?」


「できますよぉ、ほら…ここの蝋印は間違いなく僧侶ヒンメルフェルトが用いた物。これでは証明足りえませんか?」


そう言って箱を開ければ、文献を閉じるように使われている真っ赤な蝋印は確かにヒンメルフェルトが使っていた印と同じもの、ならばこれは間違いなくヒンメルフェルトの遺品だろう。


これはやったぞ、クルス様の願いを叶えられると拳を握るメーティスに対し、ヴェルトはにこりと笑い。


「ほうほう、こりゃ確かに本物だわ。それで?なんでお前がそんなもんを持ってんだ?」


「それはこれを知人から譲ってもらったからです」


「譲ってもらった?だがおかしいだろ、テシュタル教の教義的に遺品は一度棺桶に収めたらもう出しちゃいけないはずだ。それをなんで譲る、どういう経緯でここに来ている。いやそれ以前に…これ、盗んだものじゃないか?」


「……そんなまさか」


「近頃山賊がわんさか東部に湧いて出てる。ナールが言うに数日前も山賊達がガイアの街を襲ったそうだ。その時これは流失したんだろうが…そうなるとお前にこれを譲ってくれた知人ってのは山賊って事になる」


「……………」


「いや、山賊の知人であるお前もまた…山賊か?なぁよぉお前、お前本当に商人か?もしかして身分を偽ってこの街に潜り込もうとしてるとか」


「いえいえ滅相も…」


「ならそこに置いてある商品の仕入れ先全部言え、そこからお前らの身分について裏取れたらこの街出歩くの許可してやるよ。まさか商人なのに仕入れ先を言えない…なんて事たぁねえよな」


「………………」


畳み掛けるようなヴェルトの言葉に対してオセは何も言えない。言い返したとしても否定の言葉だけで具体的な話は一つとして出てこない。


もし、彼女達が本当に商人ならば。仕入れ先に対して連絡を入れればそれで彼女達の身分は証明される。だがヴェルトの読み通りなら…あそこに置いてある商品は殆どが盗品、仕入れ先もクソもない。


山賊だとしたら、奴等を街に入れるわけにはいかない。クルス様は山賊の存在を黙認してはいるが許容はしていない。視界に入れば潰しに行く…ましてやクルス様の庭であるこのサラキアでアコギな真似しようってんなら、どうなるかは火を見るより明らか。


「い、いえ私達は…」


「私達は…?」


「う……」


上手い、とクサンテはヴェルトの手練手管に感銘する。ここに来た当初から彼は異彩を放っていた。どう考えても素人とは思えない身のこなしとやけに執政に関して手慣れた様子。まるでベテラン騎士のような彼の雰囲気は、オケアノスより余程神将然としていると言える。


そんな彼に詰められて、オセは堪らず視線を逸らす。これは決まりか…そう思えた、その時。



クサンテ達の背後の扉が開かれ、奥からズケズケと無遠慮な靴男が響き渡る。


「おい、真昼間っからウルセェぞ。もっと静かにしろってんだよクソ」


「ッ…クルス様!?」


クルスだ、クルス・クルセイドが何を聞きつけたか現れたのだ。それを見てクサンテもヴェルトも顔を顰める。


いつもは殆ど外に出てこないくせに、最悪な時ばかり出てきやがる…と。


「あ?なんだこれ、何やってんだお前ら」


「クルス様、今しがた商人が現れ…例の羅睺の遺産を持ってきていて」


「何!?本当か!?それを本物だろうな!」


「はい、見たところ本物の様子」


「よっしゃぁッ!でかした!」


「はぁ…っぱこうなるよな」


ヴェルトは顔に手を当ててため息を吐く。分かりきっていた、クルスならこの話に乗っかると。彼には人を怪しむなんて知性は何処にもない、最悪騙されても処せばいいと考えているクルスではオセの企みに気が付けない。


故にクルスはオセに近づき乱雑に魔術文献を奪い通り。


「へへへへ、よしよし…これさえあれば…」


「クルス様、お気に召して頂けたようで」


「あ?誰だお前…ああ、商人か。ん、ご苦労、ちょうどこれが欲しかったんだ。褒めて遣わす」


「それは結構、それでその代わりと言ってはなんなのですがこの街に滞在し商いを…」


「ああ好きにしろ、どうでもいい」


「ちょっ!クルスさん!そいつらちょっとは怪しんだ方が…」


とヴェルトが止めに入るが、クルスの返答はこれまた冷たい物で。ギロリとヴェルトを睨みつけ…。


「テメェが俺に指図するんじゃねえよ。それよりテメェら何こんなところで遊んでるんだよ、ガイアの街に行く予定だろお前ら、早いところアルトルートの奴ぶっ殺してあの街取ってこい、さもなきゃ全員クビだからな」


「えぇ…」


あまりの暴君ぶりにヴェルトは肩を落とす。傍若無人にも程がある、目の前に山賊と疑わしい者がいるのにそれよりも先に目先の利益に食いつき他には目もくれない。こんなのがトップになった時点で真方教会に未来はない…のかもしれないと思わせるくらいにクルスの言動は酷い。


「クルにゃ〜ん!どこ行ったのぉ〜!」


「おぉ!オフィーリア!見てくれ!ヒンメルフェルトの遺品だ!苦労の甲斐あってようやく手に入れたぞ!」


(お前なんにもしてねぇじゃん…)


奥の部屋からやってきたオフィーリアとイチャつくクルスを見ていると心底呆れてくる。こんなのを頭に添えてて大丈夫か?なんて疑う者は一人もおらず、寧ろメーティスを筆頭にクルスの命令を聞いてガイアの街への侵攻計画を進める。


「では、ヴェルト…そろそろ我々も行きますよ」


「あー…ガイアの街にだっけ?」


「ええ、散々貴方が引き伸ばした所為で予定が遅れているのです。どの道今日出立の予定だったでしょう」


「…わかったよ、取り敢えずお前らだけ先行ってろよ」


「貴方も向かうんです!」


「俺なら後から向かっても追いつける、それともここで俺と押し問答して時間を無駄にするか?ますます予定が遅れると思うが…」


「ッ…!クソオヤジ」


「まだおじさんって歳でもない…いやもうそんな歳か」


メーティスは捨て台詞をその場に残して兵士を連れて神殿から出て行ってしまう。このまま編成した軍隊を連れてガイアの街に攻め込むのだろう。クサンテはとしてはあまりガイアの街に手を出したくないのだが…。


すると、ヴェルトがチラリとこちらに気がついて寄ってきて。


「すんませんクサンテさん、新米の俺が場を乱して」


「え?ああいいのよ、お陰で助かったし…いやまぁ最後には台無しになったけどさ」


ヴェルトは俺に対してはペコペコと頭を下げてくる。それがなんでかは分からないが…本人曰く『自分よりベテランだから』だそうだ。まぁその辺はよく分からないけども最近じゃ若手から『老害』だの『日和見主義』だと言われて馬鹿にされてるおじさん的には凄い嬉しいからいいんだけどね。


「…クサンテさん」


「ん?なにかねヴェルト君」


「先輩こき使うような真似して申し訳ないんですけど、メーティスについて行ってアイツが暴走しないか見張っててくれませんかね。アイツはちょっと軍人として盲目過ぎる」


「ああなるほどね、別にいいけど…あの子はこんなおじさんの言うこと聞いてくれるとは思えないけどね」


メーティスは所謂最近頭角を表した新世代組だ。先代教皇アデマールの時代を知らない世代だ、故にこそ今の教会の在り方を受け入れている。そう言う世代からはアデマール世代のクサンテは疎まれているんだ。


特にメーティスなんかはその新世代の頭目みたいな奴だ。過激も極まるし何より言うことを聞かない。ああいう後輩に囲まれるくらいならとっとと神聖軍なんか辞めときゃよかったよ。


「それで?ヴェルト君はどうすんの?ガイアの街の侵攻…気は進まんだろうけど流石にこれを無視しちゃ神聖軍に居られなくなるよ」


「それは分かってます、後から追いつくのは本当です。けど…どうにもこうにも、目を離せない奴らが現れたもんで、アイツらをもう少し見張ってから行きます」


そう言ってヴェルトが見遣るのは、神殿を後にするオセ達の背中。どうやらクサンテが思う以上にヴェルトはあの三人を怪しんでいるようだ。いや…これは警戒か。


「あいよ、分かった。じゃあ後からちゃんと追っかけて来なさいよ、おじさん一人にゃ荷が重い仕事だからね」


「はい、ありがとうございます」


深く頭を下げるヴェルトを見ていると、思う。こいつはまだ神聖軍に入って数年の若手だ。年齢はともかくとして若手の部類だ。


だが…、ヴェルトは自身の素性を一切明かさないがクサンテは彼がただの浪人だとは思っていない。


「…最後に一つだけ聞いていい?」


「え?なんですか?」


「君さ、何者なの?冒険者でもなさそうだし…かと言ってマレウス王国軍でもない、まさか他国騎士?スパイとかじゃないよね」


「まさか…」


「なら、神聖軍に入ってからずっと何を嗅ぎ回ってるんだい?」


「………別に何も」


「…そっか、ごめんね変なこと聞いて」


嘘が下手だ、ヴェルト…お前は神を崇めるような殊勝な奴じゃない。そんなお前が神聖軍に入る意味が分からない。とするとだ…何か目的があるんだろう?


軽く謝罪を入れ、彼に背を向けメーティスを追う…フリをして吹き出す噴水の水を鏡に背後のヴェルトを見れば。


「………………」


険しい顔で、ヴェルトが何処かを見ている…その視線の先には。


『よかったねぇクルにゃん!』


『ああ!これでレナトゥスにやっかみを入れなくて済むぜ…!』


「………ッ」


クルス様とオフィーリア夫人だ…。一体何を思って二人を眺めているのか。変な気を起こさなきゃいいけれど…。


「はぁ、なんでこんな厄介なことになっちまったかなぁ…」


ぼやきながら頭を掻く、次から次へと事態は悪い方向に進んでいる気がする。こんな厄介事が起こるならもう二、三十年早くにしてくれないかな。こんな定年間近のおっちゃんじゃあ何も出来ませんよ。


それとも神よ、貴方は望んでいるのですか?…今の俺が、一人の教徒として信仰を示す、その時を。


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