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191.孤独の魔女と輝く道と汚れた結果


「なんだって!?どういうことだよ!そりゃ!」


「分かりません、けど 実際にそうでした、この目で 掲示板を確認しましたけど」


エリス達はそれから、朝早くにクリストキント劇場に戻り 朝…この目で見た事実をクンラートさんや他の劇団員達に伝える


皆 その事実に開いた口が塞がらず、信じられないと劇場を飛び出しその目で確認に行く者も何人も見られたが、残念ながら事実だ 覆りようがない


「そんな、ナリアに一票も入ってなかったって?」


「はい、一票も…」


マジかよ と冷や汗を流すクンラートさんは力なく近場の椅子に腰を落ち着ける


そうだ、エリスとナリアさんが見た事実とは、エイト・ソーサラーズ候補選の今日の投票結果だ、ナリアさんにただの一票すら入っていなかったんだ、他の候補者は少なからず票が入っていたのに ナリアさんだけが零だった…


「なんでだよ、あんなに…あんなに客入ってたのに、あんなに人気なのに…なんで」


これで、劇場に閑古鳥が鳴いてりゃ納得も行ったが…、エリスとクンラートさんは揃って昨日の売り上げを見る、少なく見積もっても数百人 ともすれば千人近い客が劇を見にきた筈だ、みんながみんな歓声をあげていた筈だ


なのにこれだ、一票も獲得出来なかったんだ…、これでは上位十五位なんか到底目指せっこない、勝負にすらなってないんだから


「まだ昨日の今日で投票が追いついてないのか?、いやでも一票も入ってないなんておかしいだろ…」


「はい、それに投票自体は少し前から開始していますし、ナリアさんが参戦することは一週間前から告知済みです、クリストキントとサトゥルナリアの名は有名ですし、少しくらい 入っていてもおかしくはないんですが…」


じゃあどうしてとクンラートさんが呟くが そう言われてもエリスには答えようがない、昨日きた客の誰も投票しないなんて どう考えてもおかしい…、けど 事実は事実であり…


「僕が、男だからかな」


「ナリアさん…」


ふと、エリスの背後で項垂れるナリアさんが呟く、力なく 己の性別を呪うように


「僕が男だから、人気はあっても誰も投票しないんじゃないかな、いくら女装が上手くても 本当の女性には敵いっこないし、ましてや この国一番の女優を決める場に僕が行っても、誰も見向きもしないよ」


「そ そんなことはありません!、劇とは表現です!現実は関係ありません!」


「でも事実はこうだ…、悔しいけど 、でも どっかでは分かってたかな」


女の格好した男なんて 気持ち悪いよねと目を伏せる…、そんな事ない そんな事断じてありません、エリスだって男の格好をしますし 性別がこうだから何かを縛られるなんてこと、あっていいはずがないんです


「…まだ、投票は始まったばかりです、みんなまだ貴方の魅力に気がついていないんです」


「そうだと、いいな」


ダメだな、こりゃ現実にどっか心を折られかけている…、このままじゃ候補選自体が辞めるとか言いかねない…、とエリスが危惧するなりナリアさんはいきなり歩き出し…


「どこへ行くんですか?」


「舞台裏、そろそろ公演の時間だ…準備しないと、僕に出来るのは演じる事だけだから」


その言葉はなんと力強いものか、折れかかってる?とんでもない、ナリアさんは全く折れていない、諦めるなんて言葉 微塵も浮かんでいない顔だ


御見逸れしたよ、エリスはサトゥルナリアという男の強さを見誤っていたようだ、彼はまだ諦めていない、なら 期日まで戦うだけだ…


「しかし…」


ナリアさんが舞台裏に消えたのを見て、口を開く しかしと


「それでもおかしいです、ナリアさんが男だったとしても スタートが遅れていたとしても、零は無いです おかしいです」


「ああ、そもそもナリアの存在が受け入れられて無いんなら、俺達は劇場を持つまで行ってない」


そうだ、この国は芸術の国 美しければ認められる、そしてナリアさんは認められている、エリス姫を演じると言えば無理だと返されはするが 女優を演じてる事そのものまでは否定されていない


なら、多少なりとも票が入っていてもおかしく無いんだが


「あー、ちょっといいですか?」


「ん?リーシャさん?」


ふと、リーシャさんがタバコの匂いを漂わせながらふらりと現れる、凄い気まずそうだな…、まぁあんな場面を見ればそうか


「すみません、票が入ってないの 私の所為かも」


「なんだと?」


リーシャさんがポツリと言うのだ、私の所為かも…と、どう言う意味だそりゃ


「いや、今やってるノクチュルヌの響光、ナリアちゃんは主演ってことになってますが、少ないんですよ 出番が」


「…確かに、そうだな…エイト・ソーサラーズとして売り出す割にゃ ナリアの今の出番は凄く少ない気がする」


クンラートさんと共に確かにと頷く、ナリアさんの今の役 ノクチュルヌ役は劇の最後、盛り上がりどころで歌を披露する、それだけだ


盛り上がりどころを担うとは言え あまりに少ない、セリフなんかも殆ど無い、むしろエリスの方が目立っている、そういう意味ではナリアさんの良さ自体はあまり活かせていないような気がする


「いや、つってもナリアの歌唱シーンは好評だ、出番の有無は票が入ってないのには関係ないだろ」


「そうですかね…、でも 今のままじゃ良くないと思うんですよ、私」


「まぁ…そうですね、ナリアさんを目立たせるなら ノクチュルヌの響光は適していないかも」


「はい、なので…作りました 新しい台本」


「え!?出来たんですか!?」


「はい、これです」


そう言いながらリーシャさんは取り出す、出来たというのだ 新しい台本が、かなり難儀していたようだが、やはりあのネタ探しが功を奏したか…


見てもらえます?といわれエリスは渡された台本をパラパラと捲りながら…思う


「いいと思います、話の流れは概ね」


「よかった…」


「でも…」


とページを捲る手を止めて、リーシャさんを見る でもと、その言葉は想定内らしく、リーシャさんはペンを乗せた耳をポリポリとかくと


「分かりますよ、言いたいこと」


「では言わせてもらいます、これ…何を見せたいから判然としません」


つまり、盛り上がりどころがないんだ、劇は観に来るもの ここが観たいから観に来る、そういう劇の方が強い、だがしかし これはそのテーマともいうべき一番の武器がない、内容は出来ているのにだ


言ってみれば全身鎧で包んで武装してるのに手ぶら、そんな感じだ、これじゃノクチュルヌ程のヒットは望めない


「ええ、どうにも 肝心な部分が決まらなくて、…ほら 劇のクライマックスの部分も空白でしょ?」


「え?、あ ほんとだ」


台本の数ページは空白になっている、つまり どう締めるか決めてないってことか…、一応主演はナリアさんってことになってはいるが、これじゃまだ公演には使えないな


「どうするつもりなんですか?」


「一応 このテーマの部分はナリアちゃんに決めてもらうつもりなんだ、けど それをナリアちゃんに聞いたんだけど」


「なんと言っていました?」


「もう少し考えさせてくれって」


「…そうですか」


これはあれだな、ナリアさん自身 迷っているんだな…


思い返すのはエフェリーネさんに劇を見せた時の彼女の言葉…、『貴方の演技は独り善がりだ』という、あの言葉…


結果としてあれから劇団は変わり クリストキントはヒットしたが、ナリアさんのその部分に関してはまだ未解決だ…、彼はまだ 独り善がりという言葉から抜け出せていない


けど、分からない…エリスにはナリアさんが独り善がりで演技しているようにはとても見えない、がしかし 彼はその言葉に思い当たる節があるようだった…だから、リーシャさんの言葉にも何も返せなかった


次のテーマを、決められなかった


「ナリアちゃんが答えを出すまで、この劇のラストは決まらない…新しい台本は完成しないよ」


「そうですね、…ここでナリアさんの意見を無視して無理矢理台本を完成させることもできますが、それでは意味はないでしょう…」


「そうだな、慌てた結果 ノクチュルヌ以下のものを出してちゃ意味がない…、ナリアを目立たせるだけじゃダメだ、それに肝心のナリア自身が迷ってたら 意味なんかない」


「…では、この一件 エリスに預からせてください」


そう言いながら台本をパタリと閉じて、胸を叩く


この一件、新しい台本もナリアさんも エリスに任せてくれと、エリスに何が出来るか分からない、けれど少なくとも寄り添うことは出来るはずだ


「いいのか?、エリスちゃん…」


「エリスはもう部外者ではありません、ナリアさんの夢を全力で応援すると決めました、だから 任せてください、ナリアさんの迷い、必ずや晴らしてみせます」


そうだ、台本とか関係なしにそもそも彼が迷ってるなら、せめてその手を取り 一緒に道を探してあげたい、飽くまで答えを見つけるのはナリアさんだが、それでもだ


「では、早速ナリアさんに聞いてきますね」


「ああ、すまん…頼んだ」


「頼まれたー!」


うっし!一丁やりますか!と気合を入れて舞台裏に向かったナリアさんを追う、クンラートさんの頼みを背に受けて、さぁ 行きますか!


…………………………………………………


「ナリア…さ〜ん?」


まだ朝早く、誰もいない舞台裏にひょっこり顔を出して ナリアさんを探せば、彼はすぐに見つかった


ノクチュルヌのドレスを身に纏い、姿見の前で己の姿をじっと観ている


「…ナリアさん」


「………………」


ナリアさんはエリスの呼びかけにも答えず、静かに己の胸に手を当てると…


「ぁーーーーーー……」


歌い出した、歌詞なき歌を 詩なき唄を、声を振り絞るように、まるで出来のいいバイオリンのような歌声は劇場内に響く、これはナリアさんがアドリブで入れているノクチュルヌの歌だ


悲恋の嘆き姫エリスのジャンルは歌劇ということもあり、彼が独学で磨いた歌唱、それは既に一級のものであると エリスは素人ながらに思う


「ぁーーーーーー…ぁぁーーーーー」


ただ、いつもと違うのは その歌声に、ナリアさんの感情が乗っているような気がするところだ


ナリアさんは舞台上では自己を出さない、故に 舞台上ではないここでの歌は、ノクチュルヌの歌ではなく サトゥルナリア自身の歌と言ってもいいんだ


「ぁーーー……ふぅ」


そして、歌い終わり 疲れたように手をぶらりと垂らす、姿見に写った顔は相変わらず晴れない、歌同様 悲しそうだ


「いい歌ですね、ナリアさん」


「…そうかな、個人的には…ちょっとブレてた気がするかな」


そうか?、そうは感じなかったが…、いや 己を観て己の中を見るからこそ、歌のブレを直に感じるのだろう、そして 歌のブレはそのまま心の歪みに直結する…


「僕ね、舞台に出てる時は…努めて役になりきるようにしてるんだ、けどさ どうしても過るんだよね、周りの目が何を考えているか…」


そう 一人で呟きながらナリアさんは鏡を触る、己の顔を…鏡越しに


「女の格好をして女を演じる、奇異の目で見られてもおかしくないよ…、そんなのは分かってるんだ、演じることは出来ても成る事は出来ないってね」


「………………」


「僕は女性になりたいわけじゃないのは確かだよ、けど 憧れたんだ、あんな風になりたいって、それさえ望む事も…おかしい事なのかな」


エリスには答えを返せない、安易に答えてはいけない事だから


ここで分かるなんて言おうものならそれは嘘になる、彼に嘘はつきたくない、けどなんて言ったらいいんだ


ここでエリスがナリアさんの心を動かすほどの百点の答えを返せたとしても、世情は変わらない、彼を奇異の視線で見る人間はいなくならないし、彼はその視線を受け 再び思い悩む


「…ずっと、エフェリーネさんの言葉が頭の中で引っかかるんだ、独り善がりの演技だって…その言葉が、言われて思わずゲゲッ!って思ったね、だって正解なんだもん」


「正解?…」


「うん、僕は独り善がりの演技をしていた、舞台が好きだ 演技が好きだ、ここにある全てが好きで、観客席にいるみんなにこの好きを分けてあげたいと思ってる、だからこそ …なんていうのかな、違和感…っていうのかな そういうのを感じて欲しくいんだよね」


「違和感なんて感じませんよ」


「ありがとう、でも僕が思ってしまうんだ…、僕自身の性別と 僕が演じている役との乖離を、男の僕が演じることへの申し訳なさっていうのかな…、なるべく気にしないようにしてるけど 観客席の目を見るとどうしても意識してしまう、だから 僕は観客から目を逸らし僕を納得させる為に完璧な演技を演じようとしていた、それがきっと 独り善がりなんだ」


ナリアさんは周りの目を気にして そんなものを振り払う為に自分自身を納得させる演技を心掛けていた、しかし そうして生まれる演技は観客の方を向いていない


今みたいに鏡に向かって演じているに過ぎない、観客が見ているのは鏡越しのナリアさんの姿、ナリアさんの目は常に鏡に 自分に向けられているんだ


それが、独り善がりなんだ


「でも、難しいよ…、みんなの方を向いた瞬間 僕を否定される、そんな景色を幻視する限り、向けないよ…観客席の方なんか」


怖くて…と鏡に手を突く彼の背中は震えているようにも見える、悲しみか 己への怒りか、ここからでは顔が見えない


「ナリアさん、でも…ナリアさんの演技はそれでも素晴らしいです」


「エリスさん…」


「ナリアさん自身が自分に納得しなくても、みんなナリアさんを認めています…、だから」


と そこまで伝えた瞬間 ナリアさんがくるりとこちらを向いて


「うん、ありがとう エリスさんの言いたい事はわかるよ、エリスさんは本当に優しいね」


「…………」


ニコッと微笑みを見せるナリアさんを見て、口が動かなくなる…、役者だな 本当に演技が上手いよ、貴方は


「慰めに来てくれたんだよね、大丈夫 僕へこたれないよ!、確かに票は入ってないかもしれない、けど そこを疑問に思ったり憤りを感じるのは違う、入ってないなら入れさせる!それが僕に出来ることさ!」


「そう…ですね」


「そうそう、…あれ? その台本」


「え?、ああ リーシャさんから預かってきました」


エリスの手の中にある台本、タイトル未定のそれを見てふむ と顎に手を当てると


「ああ、リーシャさんから聞かれたんだよね…次の演劇のテーマとジャンルを決めてくれって、けどごめんね…まだ決まってないんだ」


まだ考え中なんだ と手を合わせて謝る彼の顔は、いつも通りに見える、見えるだけだ



「もう少し、考えさせて?」


「はい、大丈夫です ゆっくり考えてください」


「ありがと、よーし!今日の公演も頑張ろー!」


よしよし とガッツポーズをしながら次の公演頑張るぞと準備をしに何処かへと去っていくその背中にかける言葉が見つからず、ナリアさんを制止しようと出された指と言葉が行き場を失いエリスの前でくるくる回る


「はぁ…」


何が力になるだ、何にも出来てないじゃないか…


ナリアさんが抱えている悩みは聞けた、性別とか格好の事とかは多分 彼自身の答えがある、そこには踏み込まなくていいだろう


しかし、問題はそれ故に彼自身が役を演じながらも観客と距離を置いてしまってる事だろう、確かにナリアさんの演技は完璧だ 己を騙すに足るものだ、けど それが観客に向けられてないんじゃ魅力は半減もいいところだ


…なんとかして、ナリアさんのその悩みを解決してあげたいが、悔しいかな エリスはどこまで行っても演技に関しては初心者だ…


彼の視界を晴らす事が出来るのは、きっと 彼以上に演技に真摯な人間だけ、…もし ここにハーメアがいて、ハーメアが生きていたら 何か為になる事が言えたのかな


…かあさま、エリスは今になって 貴方と無性に話がしたくてたまりませんよ、エリスを捨てて 彼処に置いていった事はまだ気にしてますけど、それでも…エリスは、…


「エリス?」


「あぇ?、師匠?」


「どうしたんだ、そんなところで突っ立って、そろそろ開演だろ?」


ふと、後ろから師匠に声をかけられ間抜けな声をあげる、その手には例の刃煌の剣が抱えられており…、ああ、昨日は寝ずに読んでくれていたのか


「いえ、…師匠はどうです?進捗の方は」


「ああ、この本はまだ途中までしか読んでない…、だが色々思い出した事がある」


「ほう、思い出した事ですか」


ルナアール…プロキオン様に施された弱体化の陣により失った記憶が、本という呼び水を得て蘇りつつあるというのだ、それはいい 十分な進捗だ


師匠の記憶は蘇らせる事が出来る、その前例が出来たという成果だけでも十分なものだ


「それで、何を思い出したんですか?」


「うむ、刃煌の剣という単語についてだ、刃煌の剣とは即ち スバル・サクラの事だ」


「え?、それってどういう意味ですか?」


「スバル・サクラが戦場で馳せた二つ名が刃煌…、現れれば剣の煌めきしか見せず 見たその時には死ぬか叫び声を上げて逃げているかのどちらかと言われていてな」


え?、そんな怖い人なの?、なんかこう…嘆き姫の内容的に薄幸の美男子ってイメージだったんだけど、ガンガン剣振り回してバンバン人殺して回る人だったんだ


嘆き姫は飽くまでフィクションって事か、実在する人物はちょっとアレってのはよくある話だ


「それじゃあ、その本はスバル・サクラの本なんですか?」


「違う、いや内容自体は初めて見たのだが…、小さなお話の集合体とでも言おうか、この一冊に何百もの物語が分けて記されているのだ、謂わばプロキオンの欲張りセットだ」


へぇ、面白そうだな ルナアール関係なしに読んでみたい、けど出来ればその本を手に取りたくないって気持ちもある、だって国宝だし コーヒーとか零したらそのまま絞首台行きだし


っていうか、スバル・サクラの異名が使われてるのに 内容は全然関係ないのか、なんか歪だな


「今のところその話の群に一貫性はないように思える、がしかし…これは恐らくプロキオンがなんらかの意図を持って書き出した本であることは間違いない」


「なんでそんな言い切れるんですか?」


「作風が違いすぎる、奴は騎士や儚い恋物語が好きだ、がこの本には騎士も恋も登場しない、時に平和な農夫の話であったり 時に剣呑な傭兵の話であったり、血生臭い復讐劇であったり…どれもプロキオンが書いたとは思えない物ばかりだ、きっと 何か…あったのだと思う」


作家には癖がある、どうやったって好き嫌いは出る プロキオン様の場合騎士の恋物語が好きなのだろう、がしかし この本にはそれが収録されていない


まだ全部読んでないから 後の方に書かれるかもしれないし、単純に新しい方向性を模索していただけの可能性もあるが、プロキオン様と親友とも言える仲にある師匠には分かるのだろう


プロキオン様が何かをしようとしていた事が、きっとエリスが速読しただけでは分からなかった、師匠にお願いして正解でしたね


「分かりました、では引き続きお願いしますね」


「ああ、それでエリス そっちはどうだ?、エイト・ソーサラーズの件 上手く行ってるか?」


「…いいえ、いきなり躓きました、オマケにエリスには何にも出来ないですし…、エリス不安になってきましたよ」


「フッ、エイト・ソーサラーズ そしてエリス姫はサトゥルナリアの夢なのだろう?、容易く叶う夢など無い、悩み 足掻き 踠き 転げ回って…それでも進みたい 諦められないものが夢なのだ、それを応援するならお前も気を入れろ、簡単な道のりでないのは最初から分かっていただろう」


それは…確かにそうだ、簡単じゃないことはわかってた、だからナリアさんに覚悟を問うたのだ、そこでエリスが先に挫けてどうする、ナリアさんが覚悟を決めているなら エリスも弱音を吐くわけにはいかないな


「ありがとうございます、師匠」


「いやいい、お前も頑張れよ」


「はいっ!」


んじゃあなと手を軽くあげる師匠を最敬礼で見送り、顔を上げる時計を確認すると もう公演は目の前だった


色々気なる事 聞きたい事はあるが、まずはやることやってからだ、取り敢えず今日の公演を終わらせて また手応えを確認しよう、どうやったら票が入るのか それを考えるのだ


すっかり公演ムードになり始めた劇場内で エリスは衣装へ着替え朝の公演へと望むのであった…


……………………………………………………


そんでもって時計の針はぐるりと一周し折角出てきたお日様が地平線ゴーホームする頃、一日の公演を終え エリスは一息つく、やっぱり公演が始まってしまうと一日それにかかりきりになってしまうな


結局エリスはナリアさんとあれ以上話す事は出来ず一日を終えてしまった、まぁいい 彼もあんまりかかわって欲しくなさそうだし、今はそってしておこう、あんまり時間的な余裕はないがな



「ふぅー」


今日の公演ももう終わり、一日の疲れを癒すため水を飲みながらタオルで汗を拭く、一日4回 ヴェンデルさんとガチンコ勝負するのは疲れる、エリスでこんなに疲れるんだ ヴェンデルさんもキツかろう、出来れば早く新しい劇に移行したいが…


「今日の劇も面白かったよねぇー」


「私達ってば旅劇団時代からのファンだからねぇ、クリストキントが大きくなってくれて私も鼻が高いよ」


「む…」


ふと、舞台裏を抜け適当にぶらつこうと劇場内を歩いていると 最後の公演を見て満足して帰るお客さんの会話が聞こえてくる、嬉しいことに今回の劇も満足してくれたようだ


チラリ と壁に隠れつつ話しているお客さんを見る、女性客二人…あの人達の顔には覚えがある、確か昨日も見に来ていたはずだ、何度も見に来てくれるとは有難い



…やはり、ノクチュルヌの響光は多少ブームは落ち着いたが、それでもまだ人気だ、今日も盛況だったし…、いくらナリアさんの演技に問題があろうとも お客様は満足している、筈なのになぁ


なんで票が入らないんだろう…と一人悩んでいると


「私ね、サトゥルナリア様のこと応援してるんだ、確かに彼は男だけど 役者として素晴らしいし、だからエイト・ソーサラーズ候補選もサトゥルナリア様に投票したの、貴女は?」


「私も私も、ナリアには夢見の魔女リゲル様が似合うと思うなぁ、だから是非ともソーサラーズの座を射止めて…」


「は?、サトゥルナリア様でしょ?馴れ馴れしくない?…、あんたまさか…」



「えぇ!?!?」


その会話を聞き思わず声を上げ姿を見せてしまう、奇声をあげ姿を見せたエリスを目の前の女性はなんぞやと目を見開き、…そしてエリスの顔を見るなり


「は ハルトムート役の!」


「エリス様よ!エリス様!」


「あ、ちょっ!?」


寄ってきた 駆けつけてきた、凄まじい速度だ エリスがなんの反応も出来ない速度で肉薄し、ファンです応援してますと手を握ったりサインをねだられる、は 初めての経験だ…嬉しいな


って そうじゃないそうじゃない!、さっきこの人達なんて言った?、ナリアさんに投票したって?


「エリス様エリス様!私!あの!ずっとファンで」


「あ ありがとうございます、それよりも さっき言ってた ナリアさん…サトゥルナリアに投票したって…」


「はい、昨日ですけれど 私達二人共サトゥルナリア様に投票しましたよ、私達サトゥルナリア様にソーサラーズになってほしいですから」


「そう言ってくれると嬉しいです、その 今日出た投票結果って…見ましたか?」


「そういえば見てないなぁ、私達今日一日この劇場にいたので」


どんだけ好きなんだ、いや こういう人が居てくれるのは本当に有難い上にとても嬉しい、当人達が軽く伝える応援の一言で エリス達表現する側は無限に頑張れる、なんて素人ながらに思…う…って!、違う!


投票したのか!、しかしそれを確認していないという事はあの結果も知らないと…、おかしい どう考えてもおかしい、だってナリアさんの票数はゼロだ、ただ最下位なだけなら納得のしようもある


がしかし、現実はこれ!、この人達の入れた票はどこへ言ってしまったんだ


「えっと、サトゥルナリア様の投票…芳しくないんですか?」


「え…ええ、まぁ…芳しくないと言うか、一つも入ってませんでした」


「あれ?、おかしいな 確かに昨日投票したのに、もしかして何か間違えてたかな」


「でも投票したの私達だけじゃないでしょ?、他にも沢山の人が投票してた筈だけど…、まぁいいや 今日もう一度投票に行こうよ」


「ありがとうございます…ではエリスはこれで」


確認する必要がある、また明日 この人達が投票してくれるなら少なくとも明日の票数は2以上であるのは確実、…そこで何が起こったか確認して


「あの!エリスさん!」


「っ…、なんですか?」


ふと、呼び止められてまだ何かあるのかと振り返れば、ズイと色紙を手渡され


「サイン…してください」


「……いいですよ」


エリスのなんかでいいのかな…


………………………………………………………………


後日、日を改め 朝日が昇ると共にエリスは白い息を吐きながら雪の街を走る


「はっ…はっ…はっ!」


向かうのは広場 目的は投票の張り出される掲示板、毎日朝に最新の結果が張り出される と言う事は、昨日の彼女達の投票は間違いなく反映されている、ゼロではない筈 ゼロではなくなっている筈!


祈りながら走る、頼む 何かの間違いか手違いであってくれ、昨日 彼女達との会話の最中脳裏に過った一つの予想、それが間違っていることをひたすらに望む


「っ…!また人混み、ええい 邪魔な!」


当然のように出来ている掲示板周りの人混みを跳躍一つで飛び越え掲示板の目前に降り立ち、一番最初に目を向けるのは掲示板の端 昨日ナリアさんの名前が書かれていた位置!


そこになければそれで良いと思っていたが…、残念ながら相変わらずそこにはナリアさんの名前がある…そして


「ぐっ!…やはり…!!!」


そこに書かれた文字を見て 掲示板を殴りつける…、やはり… やはり!


『サトゥルナリア・ルシエンテス 得票数《零》』


「変わっていない!、昨日と…同じ!!」


噛み締める 己の歯が砕けんばかりに、昨日の彼女達が嘘をついていたとは考え辛い、しかし ナリアさんには票が入っていない、それはつまり


「やられたんだ…やられていたんだ…!!!」


見上げる、ナリアさんとは全く逆の掲示板の頂点に書かれ文字 、ランキング一位に居座るコルネリアさんの名と 昨日の数倍近くに膨れ上がった得票数を見て嫌でも察する


やられていたんだ、不正を…こんなことするやつ 一人しかいない、エリス達に クリストキントに サトゥルナリアに目をつけ 恨みを抱くただ一人の人間!


「やってくれましたね、マルフレッド…!!」


真偽は分からない、どうやってかは分からない、だが 今エリスの中に一つの仮説が生まれた


マルフレッドめ、この候補選でナリアさんの夢を叩き潰すつもりなんだ…!!


これがお前の、復讐か!!!


…………………………………………………………………………


ここは王都 アルシャラの一等地に建つエトワール随一の大劇場…、名を イオフィエル大劇場 本部、エトワール中に劇場を乱立させるイオフィエル大劇団の本部であり 大酒商家のマルフレッドの活動拠点である


派手好きな富豪と知られるマルフレッドが王都に据える本部だ、その絢爛さはミハイル劇場にも迫り 壁に飾られた絵画一つ一つの美しさとそれぞれに値札が付いていると言う浅ましさが両立するこの空間は今 喧騒に包まれている


「おい!急げ!、次の公演が迫ってるんだぞ!、早くセットの用意を!」


「無茶ですよこんな短いスパンで連続公演なんて!、聞いたこともないです!」


「準備する時間だって無い…、それに 役者のみんなももうヘトヘトで」


「そんなこと言ったって…仕方ないだろ、今は大切な時期なんだ!これを逃したらマルフレッドさんがなんと言うか!」


セットや小道具を抱えたイオフィエル劇団員が汗水流して弱音を吐きながら廊下を走る、今 イオフィエル大劇団は転機を迎えている、劇団のスター コルネリアがエイト・ソーサラーズ候補選に参加しているのだ


その為 マルフレッドはいつも以上のハードスケジュールをこの劇団に課しており、普段から殆ど休みも無く働かされていたと言うのに、今は寝る時間さえない程だ


それもこれもコルネリアをエイト・ソーサラーズにする為、この劇団からエイト・ソーサラーズが出ればそれだけで莫大な利益が出る、コルネリアの商品的価値は跳ね上がるからチケット代をふっかけても見に来る人間は後を絶たなくなる


その上 王室とも繋がりが生まれる、お金大好きだマルフレッドにとってはいいことづくめ、まぁ 彼にはそれ以外にも狙いがあるようだが、劇団員にそれを気にしている余裕はない


…そして、当のコルネリアと言えば…




「マルフレッド!マルフレッド!いるんでしょう!」


怒りの足音を響かせ、劇場の最奥にある支配人室の扉を叩き、返事もなく扉を開ける


扉を開けたのはコルネリアだ、いつもクールで何事にも動じず風のように全てを受け流す彼女が、その顔を激怒に染め上げ 鬼のような形相でマルフレッドの居る支配人室に怒鳴り込んだのだ


「マルフレッド!、…用があるわ!」


「…ワシにはない、58…59…60…」


しかし、怒鳴り込まれた側であるマルフレッドは、支配人室の豪奢な机に着き、上に並べた金貨の枚数を一枚一枚 ニタニタと笑いながら数えているのだ、その様を見て コルネリアの怒りはさらに燃え上がり


「金勘定なんて後にして!」


「うるさい、ワシは忙しいのだ、61…62…63」


マルフレッドに詰め寄り その机をドンと殴りつけるが、マルフレッドは動じることなく 金貨の山から一枚一枚丁寧にその数を数え続けるばかり、微塵もコルネリアに視線を向けることもなく その意識の全ては目の前の富に向けられている


「どれだけ金が好きなの…、貴方にとってはそれが全てなの!?」


「その通りだ…、64…65…66…」


「っ…!!」


はたき出す、怒りを込めてマルフレッドの目の前の金貨の山を腕で払い退ければ、金貨はジャラジャラと音を立てて支配人室の床に転がる


「こちらを見なさい、マルフレッド!」


「ええい!貴様!何をする!」


「それはこちらのセリフよ!!!」


目を剥き激怒し ようやくコルネリアの方を見たマルフレッドに対し、それを上回る程の剣幕で怒鳴りつける


コルネリアは普段 マルフレッドに努めて従順であろうと心に誓っている、彼は金にがめつく お世辞にも良い人間とは言えないし劇団員だって奴隷のように扱う、けど それでもコルネリアにとっては立つ舞台を与えてくれる人間だ


役者は舞台がなければ無力だ、そういう意味ではマルフレッドには少なからず恩義を感じていた、しかし…しかし、此度の一件はそんな恩義すら吹き飛ばすほどに彼女の逆鱗に触れた


「貴方!何したの!」


「はぁ?、何とは?」


「とぼけないでよ!、候補選の得票数よ!、あからさまに私の物だけ異様に多いじゃない!、エフェリーネや現エイト・ソーサラーズの得票数を遥かに超える程に…、あんな得票数 今までの候補選で出た事ないわ!貴方が何かしたんでしょう!!」


青筋を立て牙を剥きながら怒鳴る、理由は単純 今行われているエイト・ソーサラーズ候補選の投票結果だ、明らかにコルネリアの票数だけ多いのだ


それがただ多いだけならいい、だが多すぎる 不自然なまでに多すぎる、かつてエフェリーネが叩き出した歴代トップの得票数を三倍ほど上回っているのだ


どう考えたっておかしい、コルネリアは自分の実力と人気に自信を持っている、がしかし あれ程の票数を得るほどととはとても思えない、この男が 何かをしたのだ


「不正をしたわね!、マルフレッド!」


「不正だと?、何をバカな…、したに決まってるだろう、馬鹿者め」


「なっ!…貴方!本気で言ってるの!」


もはや怒りを越して呆れと鳥肌が浮かんでくる、不正をしたかと問い詰めれば、言い訳をするでも誤魔化すでもなく、さも当然のように した と答えるのだ、この男は…何も思ってないのか、神聖なエイト・ソーサラーズ候補選を…なんだと思ってるんだ


「ワシがこの手で集計係を買収して、他の候補者の票を全てお前の物に書き換えているのだ…、エフェリーネを始めとする有力候補から名無しの女優から数割の票をな、それに あの忌々しいサトゥルナリアのものは全てお前に入るようになっている、ふははは! こうすれば他の候補者は絶対にお前を抜けん!、サトゥルナリアのくだらん夢は終わるだ!、一挙両得!これぞ商人の在り方!、ガハハハ候補選は頂きだ!」


「何…言ってるの、貴方は!、そんなあからさまなの直ぐにバレるに決まってる!、いえ…もしかしたらもうバレてるかも」


「馬鹿者め、不正とはバレても問題にならなければ良いのだ、言ったろう 集計係も裁定役も全て買収済み 告発されても表には出んし、この日のために各地の有力者や商会のトップと関係を結んでおいたのだ、矮小な市民ごときが抗議しようとも 直ぐにもみ消せるわ」


「なんてことを…!」


マルフレッドは全てこの日のために動いていたのだ、態々役を富豪達に金で売って、関係を結んでいたのは この一件を恙無く進めるため、全力で往々と不正をするため…、そんなことの為に 私の劇を汚していたのか…!


「コルネリアよ、落ち着け…これは全てお前の為なのだ」


「私の為、ですって?」


「お前が言ったではないか、エイト・ソーサラーズになりたいと エリス姫を演じたいと、ワシもそれには賛同する、ワシの利益にも繋がるからな」


利益利益 この男はそればかりだ、けど それは今に始まった事ではない


確かに私はマルフレッドの下に着くとき、言った…エリス姫になりたいと、でも不正なんかしてなりたいとは微塵も思わない


「私の実力を 疑っているの?、私なら不正なんかしなくても実力で勝ち取れる、不正なんかして手に入れた汚れた地位なんて私は…」


「甘いぞ!、汚れていようとも地位は地位!、手に入れさえすれば良いのだ!、いつまでも劇の中のような譫言を吐かすな!」


「汚れていては意味がないの!、栄光ある地位だからこそ 皆努力を重ねるの!、真っ向から戦い 打ち破るからこそ意味があるの、地位とは その道程にこそ輝きが宿るものなのだから!」


「道程だと!、はっ!何をバカな、結果が全てだ!」


結果だけでは物事は語れない、確かに道程が素晴らしくとも結果を残せなければそれは自己満足に終わる、だが いくら結果が良くともその道程が穢れきっていては その結果に価値はない、価値なき結果などに意味はない、結果だけで物事を語る事ほど浅ましいことは無い


「…どうして、そこまでして…」


「どうして?言ったろう 利益があるからだ、お前をエリス姫にすれば 悲恋の嘆き姫エリスの上演権を王室から強奪することも出来る、世界最高の劇を独占出来る!そうなった時の利益は計り知れん…ぐふふ、そうすれば 彼の方に支払う金だって…」


狂気に満ちた蛙のように笑うマルフレッドは椅子から転げ落ちるように地面の金貨を拾い始める、金だ 金がいるとマルフレッドは金貨を搔き集める…


この人がここまで利益を追い求めおかしくなったのは 例の人物と関わりを持ってからだ、マルフレッドは奴を異様に恐れている…、私はよく分からないけれど 彼のような人間は良く知り得ているらしい、奴の恐ろしさ 悍ましさを


「そうだ…金だ、金がいるんだ 、ワシはこんなところでは終われん、コルネリア!つべこべ言わず早く舞台に立て!金を稼いで来い!、奴が…妹がどうなってもいいのか!」


「くっ…」


奴とは、妹とは ユリアのことだ、マルフレッドが私の動きを縛る為に監禁している妹のことだ、それがどうなってもいいのかと…、もし私がこの場でマルフレッドの糾弾を続ければ 彼は私の妹をどう扱うか 分からない


「分かったわ…、舞台には立つ…、けど不正は…」


「知らん!、貴様には何が何でもエリス姫になってもらう!、貴様がどう思おうがな!、話は終わりだ!、早く出て行け!」


「っ…」


その勢いに気圧され、コルネリアが逆らえない物を脅すにかけられ…仕方なくコルネリアは撤退する、支配人室の扉を閉め、その向こうで 彼女は一人…蹲る


「うっ…うう、ゲホッ…ゲホッ」


涙を流し咳き込む、自分の役者としてのプライドと夢を全て否定された気分だ、自分の役者としての目標であるエイト・ソーサラーズに不正をしてなるなんて、他の誰でもなく己が一番許せない


例え エイト・ソーサラーズとして 煌びやかな舞台に立っても、一生私は後ろ指を指されて生きていくことになる、それは役を授かる魔女様達にも申し訳がない…役者としてお詫びのしようもない程に、申し訳がない


「っ…マル…フレッド、ゴホッ…」


しかし、彼女は折れない ここで折れるよくな人間が 実力でここまで登ってこれはしない、もはやマルフレッドへの恩義はない、私は誰よりも演劇に真摯でありたい 演じる役に誰よりも真剣でありたい、それを汚し 否定するなら


彼はもう…、恩人ではなく 私の敵なんだ…!



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