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守護獣な私と巫女と呼ばれる彼女と、のんびり過ごす獣愛物語。  作者: にゃんたるとうふ
侍女と魔女の珍道中 ~鍵を求めて~
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次なる鍵の行方

バーディング国へと足を踏み入れた私たちは、特に山賊に襲われることなく町に辿り着く。

「何事もなく着けてよかったですね、ロズダさん」

私がそう口にすると、ロズダさんは頷いてから口を開く。

「そうですね、おそらくリザードマンが一斉に山賊を排除したのでしょう。あの時はこの国の守護獣がご乱心中でしたから」

たしかにそんなこともありましたね、守護獣の八岐大蛇さんがソフィ様に会いたいが為に国中を騒がせたんでしたっけ?

「さすがにまた同じことにはなっていないようですね、っとあれは・・・」

「? ロズダさん?・・・あっ、レッグさん!」

ロズダさんが向けた視線の先に私も顔を向けると、バーディング国の巫女・レッグさんがこちらに歩み寄ってくる姿があった。


「二人とも無事だったんだね、よかった・・・ラーナリア国の方角に光の柱が見えた時は何事かと思ったよ、おかげで八岐大蛇様が大騒ぎでね・・・ははっ、はぁ」

疲れた表情を浮かべながら乾いた笑いを漏らすレッグさんにどこか哀愁を感じながらも、私たちが訪れた理由を伝える。

「あっ、あとソフィ様とサナエ様も無事なので安心してください!それで私たちがここに来た理由なんですが、この国にいる多足的種族に会いに来たんです・・・知りませんか?」

私の言葉に少しだけ考えるように顎に手を当てていたレッグさんは、その姿勢のまま口を開く。

「僕の知る限りではこの国に多足的種族は・・・いや、かなり前に山の方で足が何本もある生物を見たという話を聞いたね。ただその生物は溶岩に潜っていったそうで、正体までは確認できなかったらしいよ」

あっちだよと口にしてレッグさんが指を差した方角へと顔を向けると、ちょうど山の山頂から溶岩が吹き出す瞬間が視界に入る。

「わぁ・・・とっても暑そうですね」

「とっても暑いですまないと思うよ?ロズダさんはともかく、ユキナさんが行くのはお勧めしないよ。っというか行かせないよ、普通の人間では耐えられないからね」

そう口にして胸の前で腕を交差させてバツ印を作るレッグさん、けど私が着るメイド服ならっ!そんな期待を込めた視線をロズダさんに向けると、申し訳無さそうに眉を下げた顔が目に入った。

「申し訳ありませんが、ユキナさんの期待には応えられません。ここならまだしも、溶岩の流れる場所ではさすがにその服の効果では防ぎきれませんね・・・最悪、その服もろともユキナさんがこんがり焼かれることになります」

「っ・・・でも私が行かないと、鍵を貰うことができませんっ!だからっ―――」

返された言葉に尚も食い下がる私に、ロズダさんは微笑みを浮かべながら私の唇に人差し指を当てる。

「なにも向かって行くばかりが正攻法とは限りません、今回の場合は特に・・・ですから、相手に出向いてもらいましょう」

私がその言葉に疑問符を浮かべていると、ロズダさんは唇に当てていた人差し指を離して・・・自分の唇に軽く当て、ってぇ!?

「なななっ、何してるんですか!?ロズダさんっ!?」

「あぁ、すみません。柔らかくて可愛らしい唇に触れたのでつい、これからはしないように気をつけますね?」

「べ、別にイヤだったわけではないので・・・今後もしてくれて、その・・・いいですよ?」

俯きがちにそう返してからチラッと視線を向けると、ニンマリと口元を緩ませたロズダさんの姿があった。

「かっ、揶揄(からか)ったんですね!?ロズダさん!」

「揶揄うなど人聞きの悪い、私はただ本音を口にしただけですよ。ユキナさんが可愛くて、唇が柔らかいのはこの身体が知っていますから」

「そういう恥ずかしいことを言わないでくださいっ、それなら私だって・・・!ロズダさんが胸を責められると弱いってことを知ってますからね!」

「あら、そんなことを言っていいんですか?また数日おあずけしてもいいんですよ?」

「そっ・・・れは困ります」

うぅ・・・ロズダさんを口で負かすのは無理な気がする、っというか私が弱すぎるのでは?あとロズダさんに弱点を作られてる気がします。


「・・・ほのぼのとした光景だね、僕もそういう相手を作ろうかな?」

ユキナとロズダのやり取りを眺めていたレッグは、ポツリと誰に告げるでもなく呟くのだった。



一通りロズダさんとのやり取りを終えた私は、レッグさんに目的の山の(ふもと)まで案内してもらい・・・ロズダさんだけが山の中へと進むこととなった。

「申し訳ない、けどすぐ戻ってくるから。絶対に山の中に入っちゃ駄目だよ、絶対にね・・・フリじゃないからね?」

ちなみにレッグさんは見回りの仕事があるそうで、終わり次第戻って来てくれるそうです・・・あとフリってなんでしょう?

「ロズダがいなくなった、今がチャーンスっ!」

「ひゃあっ!?メルティさん・・・!?」

ロズダさんが戻ってくるまで何をしてようかと考えていた矢先のメルティさんの登場に、驚きよりも安心感を抱いた私は積極的に話を振る。

「え・・・めっちゃ構ってくれる、天使?」

するとなぜか感動したような声色でそう呟くメルティさん、今までどんな扱いを受けてたんですか?

ちょっと怖いので聞きませんけど、ともかくこれからもいっぱいお話をしょう・・・そう心に決めたのでした。


そんな決意をしているとメルティさんが私の頬をプニプニと触り始め、話は前回の最後に繋がるのです・・・回想終了っ!


「って私の尊厳に関わることは今はいいとして、良くはないですけどっ・・・!それよりも目的の方には出会えましたか?」

私が渋々本題へと話題を戻すと、ロズダさんは一つ咳払いをしてから口を開く。

「まぁ、会えたといえば会えたのですが・・・少々厄介なことになったといいますか―――」

どこか歯切れの悪いロズダさんの言葉を遮るように、突然大きな音と共に目の前に土煙が舞い上がる。

「―――っと、もう追い付いてきたのですね」

「な、なにが・・・?――っ!?」

ロズダさんの冷静な言葉に聞き返そうと口を開いて言葉を発した瞬間、土煙を巻き上げた存在を確認して驚きのあまり動きを止める。


『――――っ―――』


土煙が晴れて姿を表したそれは、半透明な赤い液体を丸くしたような見た目のモノだった。

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