思ったよりも早い再会と、少し変わった関係性?
「ソフィ様、サナエ様!遅くなってすみませんっ、ロズダさんへのお説教が長く―――」
私たちの名を呼びながら部屋を訪れたユキナは、弁明を口にしていたが中を確認すると動きを止めた。
「? あ、ユキナ。おかえり、もう戻ってきたんだ」
「んゅ・・・?そふぃ、どうかしたのぉ?」
私が身体を起こしたことで隣で寝ていたサナエも目を覚まして扉の方を確認し、ユキナに気付くと特に気にした様子もなく再び私に抱き着きながら眠る体制に入る。
「―――お二人が、盛って・・・ない!?」
言い方が気になるけど、たしかに情事の現場を見られなかったのは初かな?
・・・まぁ、やり終えて休んでただけなんだけど。
「ユキナこそ、ロズダのことはいいの?」
「・・・はっ!?えっと、ロズダさんですか?はいっ、ちゃんとお説教――こほんっ!お話したので大丈夫です!少し長引いてしまいましたけど、すでにご飯を温めてもらってるので召し上がってくださいっ!」
そうなんだ、ならすぐに行こうか・・・あれ?
「サナエ?ご飯が呼んでるよー?」
「んっ、ふぁ・・・すぅ・・・」
抱き着いたまま微動だにしないサナエの頬をつついて声をかけると、薄っすらと目を開けてこちらへと視線を向けてから微笑み・・・そして再び目を閉じて穏やかな寝息を漏らす。
「色々あって疲れてたんだろうね、このまま寝かせてあげようか」
そう口にしてからサナエをベッドに・・・寝かせられないっ!?私から離れたくないとばかりに力強く抱き着いて引き剥がせないし離したくないので、このままの状態でご飯を食べることにしよう。
「むぅ、まぁいいですけど・・・ロズダさんにお願いすれば、させてくれるかな?」
ユキナは私の提案を渋々といった様子で受け入れ、小さくそう呟きながら先に部屋を後にする。
「私たちも行かないとね、よっと」
私に抱き着いて離れないサナエを抱きかかえて、ユキナの後ろに続くように部屋を後にした。
「ロズダさん、お待たせしまっ・・・」
言葉を途切れさせたユキナに首を傾げながらも続いて部屋に入った私は、中にいる存在を見てきゅっと眉を寄せる。
「ユキナさん、全然待ってはいませんよ。そのお二人を呼ぶのに時間がかかるのは分かっていますから・・・あと彼女を招いたのは私ではないので、そんな目で見ないでもらえますか?」
「ロズダがいる所に私がいるのは当然のことだよっ!ロズダの側にいたいから、わざわざラーナリア国近くにある妖精の森を選んで暮らしてたくらいだからね!」
ロズダの隣に座ってそう口にする見覚えのない肩口で切り揃えられた黒髪と碧色の瞳をした魔女、っと思っていたら声を聞いたらあの妖精の姿をしていた魔女か・・・いや、なぜいる。
「ロズダさん?お説教が足りなかったんですか?どうしてその魔女が貴女の側にいるんですか、すぐに離れてくださいっ」
無表情で淡々と告げるユキナを横目で確認した私は、特に何も言わずに空いていたソファに腰を下ろす・・・しかしこのメルティという魔女、どこかで見たことある顔をしてるような?
「とっ、とりあえずこの方たちが来ましたから先にご飯を食べましょう?また冷めてしまってはいけませんから、ねっ?」
「・・・まぁ、いいです。それじゃあ失礼しますね?んしょっと」
私に救援を求める視線を向けていたロズダを無視すると、悲壮感と喜びの混じった表情を浮かべつつもユキナからのお説教を先延ばしにしていた・・・たぶん部屋に戻ったらだな。
「あぁぁーーっ!?どうしてユキナがロズダの足の上に座ってるの!?そこは私の特等席なのにぃ!」
「そんなことはないのですが?そもそも貴女をここに座らせたことは一度もっ―――ですからユキナさん?そんな目で私を見るのはやめてもらえませんか?」
妖精の姿をしていた魔女・・・たしかメルティだったっけ?の言葉を聞いて凄まじい速さで首を動かして感情のない瞳でロズダを見上げるユキナ、それを受けたロズダは多少の焦りと共に弁解を口にする。
「メルティとは昔からなにかと会う機会がありまして、彼女の妹と話している時はいつも乱入してくるのです」
「だってだってぇ・・・!私のロズダが取られないか心配だったんだもんっ!」
メルティの言葉に「貴女のモノではないので」と軽くあしらってからユキナの瞳を見つめ返すロズダ、少しばかり真剣な眼差しに私は内心で感心した・・・アイツあんな顔できるのか、身悶えするばかりの変態だと思ってたよ。
「あぁ・・・!何故か今罵倒された気がっ、くぅ・・・!」
真面目な場面でもそれはかかさないのか、コイツ・・・っというか、なぜわかる。
「ロズダさん?」
「あっ・・・あぁ、すみません。つい、いつもの癖で・・・とにかくですね、私はメルティとは特別な関係でもなんでもなく、同じ魔女仲間というだけです。私の特別はユキナさんで、崇拝しているのがあの方です」
私、ロズダに崇拝されてたの?初耳なんだが・・・ってまだ私のこと考えてたのか、その感情全てをユキナ一人に向けろよっ!
「・・・本当ですか?本当ならキスしてっ――んちゅっ」
ユキナが言い切る前にその口を自身の唇で塞いだロズダは、啄むようなキスを数回繰り返してから顔を離した・・・なんか親鳥が雛に餌を与えているみたいな体勢だな。
「ちゅるっ・・・これでいいんですか?ユキナさん・・・あら」
舌舐めずりしてからそう口にしたロズダは、見下ろす先にあるユキナの顔を見て声を漏らす。
「ふぇ・・・?ぁっ、そそっ・・・そうでふねっ――じゃなくて、ですねっ!こ、今回はこれで許してあげますっ!感謝してくださいね・・・!」
バッと顔を逸らしたユキナは噛みながらもそう口にし、それを聞いたロズダは口角を上げつつ口を開く・・・悪い顔してるな、アイツ。
「そうですか?まだ足りないと、顔に書いているようですが・・・ユキナさんがそう言うなら、これ以上はしなくて良さそうですね」
「え―――あっ、うぅ・・・別にロズダさんが誠意を示すためにもっとしても、いいんですよ?」
見事ロズダの罠に嵌まったユキナはそう口にしてしまい、悪い笑みを浮かべるロズダに再び口付けをされることとなった。
「・・・まぁ、別にいいか。ユキナも幸せそうだし、あとのことは二人がどうにか対処するでしょ」
そう呟いた私は寝息を漏らすサナエを抱き締めながら、ユキナが作ってくれた料理を頬張りながら事の成り行きを見守るのだった。




