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守護獣な私と巫女と呼ばれる彼女と、のんびり過ごす獣愛物語。  作者: にゃんたるとうふ
お城の上で―――
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私の身体は自由自在なのだっ

その日、街はいつもより活気と喜色に満ちていた。

国全体は断崖絶壁に囲われていて、出入りする為の通り道は一か所の大穴しかない。

そんな街の中心には、王族が住まう石造りの仰々しいお城がそびえている。

その頂上には大きい広間になっていて中心には屋根が備え付けられており、そこにはこの国を護る守護獣『ソフィ』が祀られている。

しかしその全容はお城に住まう王族と使用人、そして守護獣の想い人しか知る者はいない。

そのため、街で彼女の姿を見た者は限りなく少なく名前など知りもしないだろう。

「今日はお城の方が静かだねぇ、何かあったのかい?」

「なんでも守護獣様がいないって話だよ、国の外からも獣が来ないから今日はみんな生き生きしてるのさ」

姿形を知らない街の者たちだが、王族やお城から飛び立つ黒い影を見た者の反応で守護獣は恐ろしいものだという噂が流れていた。

「外もそうだが中も中で気が気じゃないからなぁ・・・巫女様がいるだけで俺はいいと思うけどな、可愛いし気が利くしよ・・・いっそ俺のもんにしたいくらいだ」

「夢語ってんじゃないぞ、それに巫女様は守護獣様を鎮める為に身体張ってくださってるんだぞ」

巫女様は嫌々ながら守護獣に仕えている、そんな噂も流れているのだが・・・真実は真逆なのだが、それを知る者はこの街にはいなかった。

「あんな(ケダモノ)どうだっていいだろ、殺すことしかできねぇって聞いたぜ?」

「あんまそういうこと大きな声で言うんじゃないよ!誰に聞かれてるかも分からないんだよっ!?」

「そんなビビるこたぁないだろうよ、別に間近で聞かれてるわけじゃあるまいし・・・」

守護獣様を貶すと祟られる、という噂を信じる者がそう言うともう一人は気にした様子もなく話を続けようとした。

「何の話をしているのですか?」

数人が集まって話をしていると、一際澄んだ鈴の音のような声が集まっている者たちの鼓膜を揺らして一瞬の静寂を作った。

声が聞こえた方へと視線を向けると、そこには二人の少女が立っていた。

一人はニコヤカな笑みを浮かべながら声を掛けた少女、もう一人は大人しい印象を受ける顔立ちをした少女で隣の少女の様子に首を傾げていた。

「噂をすればってやつだな、巫女様どうかされたんですか?守護獣がいないから暇ってんなら俺と一緒に――」

「お前懲りないなぁ・・・この前断られたってのに、っておや?ソフィア様じゃないですか!いつお帰りに?」

「あ――「先ほど国に着いたのです、休暇が取れたので戻ってきたそうですよ?三日は滞在するそうです」・・・ん」

ソフィアと呼ばれた少女が口を開く前に、隣の巫女様ことサナエが経緯を説明した。

彼女が説明したことで、ソフィアは開いた口をパクパクさせてから口を閉じた。

「そいつぁいい!じゃあソフィア様も一緒にどうですか?お互いの親睦を深めるって意味で――」

「いや。サナエと過ごすからいい」

冷たく言い放たれた一言に誘いをかけた男は凍りつき、周りの人々はだろうなという顔で眺めていた。

ソフィアはサナエの手を握って足早に歩き去っていった。

それを呆然とした面持ちで見送った男の肩に手が置かれ、男が振り向くと可愛そうな者を見る目を向けた男の友人が立っていた。

男はその後、友人たちにからかわれるのだった。















サナエの手を握って移動した先は死角となっている建物の間。

そこで手を離すとフッと息を吐いて後ろのサナエに向き直ると、顔が目の前にあってドキッとした・・・とりあえずキスしておこう。

そっとサナエの頬に手を当てて触れ合うだけの口付けを交わすと、サナエは恥ずかしそうに頬を赤く染めながらも微笑みを浮かべていた。

「ぁんっ♡・・・もうソフィ、そういうのは部屋に戻ってから・・・ね?」

「部屋に戻ったらいいんだ、サナエはエッチな()だね?」

「そういうソフィだって朝は激しかったもん、おあいこだよ」

頬を膨らませて不貞腐れるサナエ、そんな顔も可愛いなぁ・・・早く部屋に戻ろうかな、サナエをもっと愛でたいしさっきみたいにサナエが言い寄られるのはキニイラナイ・・・

「サナエ、早く部屋に戻ろう?早く早くっ」

駄々っ子のようにサナエの服を掴んで引っ張る私を見て微笑ましそうに笑顔を浮かべるサナエ、でもまだ戻らないんだろうなぁ・・・あいさつまわり?っていうのをするらしいから。

「もう少ししたら帰ろう、ね?ほらっ、早く行って済ませちゃお」

そう言って私の手を引いていくサナエに渋々ついて行くのでした、とりあえずサナエを口説こうとする者は始末してもいいかな?いいよね?うんっ!そうしよー・・・としたらサナエに怒られた、シュン・・・


あっ!ちなみに今の私の容姿は、腰まで伸びた銀髪に片目が隠れるくらい長い前髪と赤い瞳、大きすぎず小さすぎない胸の膨らみと引き締まった腰と肉付きのいいお尻、服装はサナエと(おんな)じ物を着ている。

身長はサナエと一緒である・・・全部サナエの好みなんだけどね。

この人間の姿の時は『ソフィア』と呼ばれて、サナエと並んで歩けるし街にも出られるからいいよねぇ。

サナエが言うにはソフィアは他の街に仕事で行っている設定ならしく、たまにこうして帰ってきたという設定で街を歩き回ったりしている。

私としてはサナエとデートできるから嬉しさ爆発だけどねっ!ただサナエが言い寄られてるのを見るとムッとしてしまうね、仕方ないね。


「ソフィ?どうかしたの?もしかして何か嫌な事があったの?私何かしちゃったかな?だとしたらごめんね、私が出来ることなら何でもするから、だからおねがいっ!嫌わないで!貴女に嫌われたら生きていけないの・・・だからぁ・・・」

「? どうしたのサナエ?そんな有り得ないこと口にするなんて・・・わかった!そんな考えが浮かばないようにその身体に教えてあげた方がいいよね?大丈夫安心して、痛いことなんて何もないから・・・でも達しすぎて倒れちゃうかもだけど仕方ないよね?サナエがおかしいこと言うんだもん」

光の消えた潤んだ瞳で(すが)るように言ってきたサナエの肩を抱き寄せて、そんなことはあり得ないということの意味とそんなことを考えたオシオキも兼ねて耳元でそう告げると・・・

「っ!・・・うんっ、いっっっっっぱいしてね?ソフィ!」

頬を朱に染めて満面の笑みを浮かべたサナエは、私に強く抱き着いて頬にキスをしてくれた・・・そんなことされると我慢ができなくなっちゃうよぉ。


そんなわけで、挨拶回りをすぐに終わらせて部屋に超特急で戻ったけどねっ!サナエの蕩けた顔は最高でした!!

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