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守護獣な私と巫女と呼ばれる彼女と、のんびり過ごす獣愛物語。  作者: にゃんたるとうふ
お城の上で―――
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私が就寝した後、一悶着があったみたい

夕食後、片付けは他の子たちに任せて彼女は私の方に駆け寄ってきた。

「片づけは雌ども(みんな)に任せたから今日はこのまま一緒に寝ようね?ソフィも嬉しいでしょ?嬉しいよね?」

たしかに嬉しいっ!・・・けど、他の子たちの不安そうな視線が気になるなぁ・・・あ、今朝見た子もいるけど顔が凄く引き攣っている。

悪いことしたなぁ・・・と考えていると、彼女が目の前まで来ていて私の足を掴んでいた。

「他の子を見ないで他の子を見ないで他の子を見ないで・・・」

何やら呟いている彼女を見つめていると、私の視線に気づいたようで顔を上げて私に満面の笑みを浮かべていた・・・可愛いなぁと思いながら頬擦りすると、さらに笑顔を花のように満開に咲かせて私の首元辺りに抱き着いてきた。

体毛越しに彼女の体温を感じられて、鼻を動かすと匂いも堪能できて私は幸せです!

そう私が思っている間に、他の子たちは片づけを済ませて戻っていった。


さて、彼女と二人っきりになったわけだけど・・・

「ん~、ソフィ~♪それでねそれでね?その時の相手の顔ったらも~・・・どうしたのソフィ?はっ!もしかしてつまらなかった!?ごめんねこんな話して次はもっと面白い話をするから嫌わないで!あなたに嫌われたら私は生きていけないのっ!だから―――」


――サナエ落ち着いて、つまらなくもないし嫌いにもなってないから安心して・・・私はサナエを何よりも好きだし、愛しているから


私がそう言って顔を舐めると絶望に染まっていた顔が安堵の色で染まっていった、そして頬を赤く染めて微笑んでいた・・・やっぱりサナエには笑顔が似合うよ、うん可愛い!


サナエの笑顔を眺めながら話を聞いていると、辺りが暗くなっていることに気づいた・・・もう夕食を食べてから数時間が経ってたんだぁ、そう思って欠伸を噛み殺しているとサナエが私の頬を引っ張った。

「ソフィ、もしかして眠たいの?それならもう寝ようか、ソフィの尻尾貸してくれる?」

両手を広げて待ち構えていたので尻尾一本をサナエに掛けてあげると、目一杯抱き締めてくれたのでサナエの体に巻き付けてあげた。


――こうすれば寒くないよね。キツくない?サナエ


「大丈夫だよ、ソフィ。むしろ私的には、もっと強く抱きしめてくれても構わないんだけど・・・身体にあなたの物っていう証として消えない痕を残してくれてもいいのにぃ」

サナエの綺麗な肌に傷を付けるなんてそんなことできるわけないよ!サナエにはいつまでも可愛くて綺麗で愛らしいままで居てほしいんだからっ!

そんな不貞腐れたように頬を膨らませながら言ってもしないからね?・・・うん、しないよ?シナイシナイ。


――さて私はもう眠るから、サナエも一緒に寝よ?


「むぅ・・・はぐらかされた気がするけど、まぁいいか・・・おやすみソフィ、明日も明後日もそれ以降もずっと一緒に居ようね?」

そんな当たり前のことを言って私の鼻先にキスをして尻尾に潜っていったサナエに興奮を覚えながらも、頭を切り替えて眠りにつくのである・・・明日にこの興奮はぶつけようかなぁ、明日がタノシミダナァ。




















ソフィが寝静まってから数刻が経った丑三つ時―――暗闇が広がる空に一際黒い影が一つ現れた。

その影は空からソフィの眠るお城の頂上を眺め、彼女を視界に捉えると恍惚とした表情を浮かべた。

「アハハッ!御方の寝顔はいつ見ても可愛らしい、私の使い魔を撃ち抜いた時に見せた強者の顔も()いけれど・・・それにしても、あの人間(アレ)は邪魔ですね。消せば彼女は私を殺しに来てくれるでしょうか?アハハハッ!それも重畳(ちょうじょう)、実に好いっ!彼女に''毎回,,殺されるのは心地がいいもの・・・あぁっ、思い出したら少し身震いしてしまいましたぁ。危うく達してしまう所でした・・・アハハハハッ」

自身の肩を抱いて笑いを上げる黒い影、それは数刻前に単眼のカラスをソフィに送り込んだ張本人である。

彼女は『再生の魔女』あらゆる手段を用いて殺しても再生を繰り返す化け物である。

容姿は、地に着くほど長い黒髪を三つ編みにしていて黒い瞳、顔は少し幼さが残っているが身長は百七十近くあり、胸も大きめである。

全身黒い服で覆っており、時たま覗く肌はシミの一つない白い肌である。

「しかしこれ以上近づくと彼女の嗅覚に捉えられてしまいますからここまでに―――」


刹那―――一閃の光が魔女の腕を通り過ぎ、それにより光を受けた腕は宙を舞った。


「ずいぶんなご挨拶だな、小娘・・・そんなに死にたいのですか?」

魔女の視線の先、お城の頂上の塀の上に立った少女―――サナエはかざしていた手を下ろすと、反対側の腕を上げて指を鳴らした。

「『始祖の地脈』」

サナエがそう呟くと、彼女の周りに光の束が現れ・・・四方へと飛んだかと思えば急旋回をして魔女へと向かう。

魔女はそれを見ても微動だにせず、ただただそこに浮遊していた。

幾多の光が魔女の身体を射貫こうと、魔女は動かずにじっと彼女を見据えていた。

「アハハッ!こんなもの?それとも小手調べですか?・・・まぁいい、そんなに死にたいなら殺して―――っ」

身体に空いた無数の穴が塞がったと同時に彼女の首を落とすために動こうとして、伸ばした腕を咄嗟に引っ込めた。

「罠、小細工、いや・・・結界か、それもかなり強力なものですね・・・なるほど侵入者用のものか、だが私の使い魔は通れたということは動物には効かないということ?なんにせよ私が通るには骨が折れそうです、文字通りに。砕かれるなら御方がいいですね・・・それにソフィが起きてしまうかもしれませんからね」

そう言って後ろに下がった魔女を見つめる彼女は、魔女に対して人差し指と親指を向けた。

「『始祖の空想』」

そう呟くと同時に向けていた指同士をくっつけると魔女の左右に光の壁が現れ、魔女がそれを認識したと同時に―――挟み潰した。

壁の隙間から多量の血液が溢れ出て街を朱く染めていく、彼女が向けていた指を弾くと光の壁は町の外へと移動していった。

「私以外が彼女を名前で呼ぶな、ソフィは私だけのものだ・・・誰にも渡さない、魔女にも悪魔にも天使にも神でさえも私からソフィを奪おうとするのなら―――――殺してやる」

そう吐き捨ててから踵を返して彼女の尻尾に(くる)まるのだった。
















朝起きると街が騒がしかったので何事かと下を見てみると、街の家々に赤い染みが出来ていた・・・この臭いは血?しかもこの臭いは・・・アイツか、まさか夜に来てたのか・・・でも何で血まみれになったんだろ?

疑問に感じながらも、目を覚ましたサナエの方が大事なのでそれ以上考えることはなかった。


寝惚け眼のサナエ可愛いっ!好きっ!!

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