表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
守護獣な私と巫女と呼ばれる彼女と、のんびり過ごす獣愛物語。  作者: にゃんたるとうふ
自然の国と獣の国で―――
41/108

魔女の密会と獣の国の観光と、次の目的地

まだ陽が昇ることのない丑三つ時、ソフィたちが眠る宿屋の一階では二つの影が並び立つようにして向かい合っていた。

「メリアスとは、名前をいじったにしては簡単では?知り合いに会ったらすぐに見破られますよ''アメスリ,,」

一つの影であるロズダがそう言うともう一つの影の形が変わっていき、頭にあった熊の耳と尾てい骨辺りからぴょこっと出ていた尻尾が消えて身長も少し低くなった。

「魔女の知り合いと会うことなんてそうそうないわよ、貴女みたいに一つの国に居座らない奴以外にはね・・・ロズダ」

視線を交わしていた二人はどっちからともつかずに笑みを浮かべた。

「そもそもロズダ・・・国を離れていいの?お婆様が怒ってるんじゃない?」

「・・・さぁ、どうでしょう?」

アメスリの問いにロズダはそっと視線を逸らしてそう答えた、ロズダの反応にアメスリはため息を漏らした。

「はぁ・・・貴女も子供じゃないんだから、あまり我が儘言うとお婆様が心配するわよ?ただでさえ貴女は特別なんだから」

「私は別になりたくて特別になったわけではないので・・・」

不貞腐れたようにそう言うロズダに、アメスリは再びため息を吐いた。

「私のことはいいんですよ、それよりもアメスリはこの国に住んでいたのですね。あと、リーファス国で巫女をしているルルイに予言をしたそうですが?」

ロズダが露骨に話を変えたことに呆れた視線を向けるアメスリだったが、特に言及はせずにロズダの問いに答えた。

「まぁ、この国では占いをしているからそれの延長みたいなものよ。すごく落ち込んで相談に来たからすこーしだけ力を使っただけ、貴女たちが来ることは分かっていたもの」

少し得意げにそう口にするアメスリに、ロズダは薄く微笑んだ。

「アハハッ、さすがは『予言の魔女』といったところでしょうか?」

「そんな大層なものじゃないのにね、ただちょっと先の未来が見えるだけなのに」

それは十分に大層なものだとロズダは思ったが口にはしなかった、他の魔女も個性的な者が多いからである。

「それに大層なものって言ったら、ロズダの方が十分上を行くと思うけど?」

「私はただの魔女ですよ?再生の魔女とは呼ばれていますが」

「死なないのは魔女全員なんだから、その呼び名はおかしいと思うんだけどね。単純に他の魔女を知らない者が付けたからなんだろうけど、貴女本来の力はもっとすごいでしょうに」

アメスリがそう言うとロズダは口元に人差し指を当てた、それを見てアメスリは肩を竦めた。

「まぁ、言いたくないのならいいけどね。その内使わないといけない場面が来るわよ」

「それは''予言,,ですか?」

ロズダがそう尋ねると、アメスリは顎に手を当ててからウィンクをして踵を返した。

「さぁ?その時が来ればイヤでも分かるわよ。あっ、そろそろ部屋に戻った方がいいわよ?同室の女の子が目を覚ましそうだから」

アメスリがそう言うと、腑に落ちない顔をしながらもロズダは部屋を後にした。

「貴女も丸くなったわね、それだけのものがあの大狼にあるのかしら?なんにしても、あの子たちと敵対した日には・・・想像もしたくないわね」

窓から視線を外したアメスリは、テーブルの上に置かれた適温になったお茶を手に取ると口をつけて微笑を浮かべた。




密会が行われた夜が明けて陽が昇り始めた頃、ソフィたちの休む宿屋に突撃するような勢いでロイが扉を開けて中に飛び込んできた。

「おはよおございまッス!!メリアスさんはいるッスか?」

そう叫ぶような大声を出したことで近くの部屋の扉が開き、中から少し眠たげなメリアスがゆっくりと顔を出した。

「あらっ、ロイ・・・こんな早朝から何かあったの?それとも二階のお客さんに用事かしら?」

「はいッス!ソフィさんたちにこの国の案内をする約束をしていたんッスけど、昨日は子供たちを任せてルルイの元に行ってたのでお礼と謝りたくて来たッス!もちろん今日は案内をするつもりッスよ!」

相変わらず朝でも元気だなぁと思いながら、もう少しここで待つように伝えてからお茶を入れる為に台所に移動した。

もちろんロイは待っていることができずにソフィとサナエの部屋に突撃したことで、ソフィに拳骨を食らうのだが・・・一階に下りると全員分のお茶を用意したメリアスが苦笑を浮かべて待っていた。


「次やったら拳骨じゃ済まさないからね?」

「はいッス・・・肝に銘じておくッス」

これはまたやらかすなとソフィは考えたが、口を酸っぱくして言い聞かせても無理そうだと諦めた。

「それで今日こそは案内してくれるの?」

「あっ、はいッス!子供たちも他の友達に任せたので大丈夫でッス、それじゃあ早速行きましょうッス!」

勢い良く立ち上がったロイはメリアスに肩を掴まれてすぐに座らされた、ロイは不思議そうに見上げてメリアスに問いかけた。

「? メリアス、どうしたッスか?」

「ロイ以外はまだ起きてきたばかりなんだから、せめて手元のお茶を飲み終えてからね」

静かにそう諭されたロイは、それもそうッスねと口にして手元のお茶を一気に飲もうとして熱さに悶えていた。

ロイのお茶だけ湯気が立っていたことにロイ以外の全員が気付いたが、メリアスの気遣いに感謝してゆっくりとお茶を楽しんだ。




ほぼ同時にお茶を飲み終えた私たちは、最後まで熱さと戦っていたロイに続いて国を回ることになった。

「案内とは言ったッスけど、はっきり言って名所らしい所ってないんッスよね・・・狩場はまわってもしょうがないッスし、あとはリーファス国と同じで自然があるだけッスから・・・」

「えぇ・・・」

歩き始めて数歩で目的を失った私たちは、獣人の子供たちの元へと向かうのでした。




「そういえば、次の目的地はもう決めたのですか?」

ロズダがふと口にした言葉に、私は頷きで返してから口を開いた。

「あぁ、決めているぞ。ここから北西に進んだ先にある『ローレンワイス国』だ」

「・・・へっ?」

私の発した言葉に、ロズダはポカンと口を開けて呆然としていた。

書きためが無くなったので一旦打ち止めです、またたまったら投稿します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ