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守護獣な私と巫女と呼ばれる彼女と、のんびり過ごす獣愛物語。  作者: にゃんたるとうふ
灼熱の国で―――
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この国の守護獣はもうダメかもしれんね・・・うん、知ってた

ロズダの馬鹿に無理やり服を着せられることが決定した後、ユキナの用意してくれた朝食を食べ終えて四人でゆっくりしていた。

「そういえば・・・ソフィ様、神殿で一体何をしていたのですか?私たちは慌てた様子のレッグさんに案内されてこの宿に来たので、神殿に行ってないのですが・・・」

「私たちが近付いても神殿に入れてもらえませんでしたからね」

ユキナとロズダの質問に、私は神殿内で起こったことを思い出した・・・うーん、事実をそのまま言うわけにはいかないし・・・ぼかして言わないと、サナエの機嫌を損ねるのもイヤだからね。

「えぇっと・・・昔話に花を咲かせたり、昔よくヤッた事をして汗を流したりしたかな?」

「アナタと八岐大蛇はたしか知り合いでしたね、そんなに長い時間一緒に居たのですか?」

ロズダの問いに私は考えてから返事をした。

「それほど長い時ではないな、せいぜい数か月ぐらいだな」

私がそう言うと、サナエが軽くガッツポーズをしていた・・・確かにサナエの方がやーちゃんより一緒に居る時間長いからね、でも別にこれからも一緒に居るんだから気にすることないと思うけど。

「私もそれぐらいアナタのお側にいますけど」

「貴様の場合は押し掛けてきているだけだろうが、はっきり言って迷惑だったぞ」

私がそう切り捨てると「んあぁっ!」と叫んで身体を仰け反らせながら倒れた、そんな変態(ロズダ)は無視してサナエとユキナと話をしていると部屋の扉がノックされた。

「私が出ますね、はーいっ!」

扉へと駆けていったユキナの後ろ姿を眺めながら扉の先の訪問者を確認すると、この国の巫女・レッグが困った表情で立っていた。

「レッグさん?どうかしたんですか・・・?」

「実は八岐大蛇様が、ソフィさんはまだ来ないのかと騒いでいてね・・・お手数をかけるが神殿まで足を運んでいただきたいのだが・・・」

やーちゃん・・・そういえば昔から結構横暴だったり我が儘だったなぁ、そう思いながら困り顔のレッグに了承の返事をしてから宿を後にした。




神殿前に着くと、数人のリザードマンが慌ただしくあっちこっち走り回っていた。

「彼らは一体何してるの?」

「付近の山賊を撃退するために働いてくれているのさ、かくいう僕もこれから出立するからここまでしか付き添うことができないんだけど・・・八岐大蛇様をよろしくお願いするよ、ソフィさんならあの方を殴って止めても構わないから」

それは構った方がいいのでは・・・?そう口にする前にレッグは駆け出していった。

「とりあえず入ろうか?サナエとユキナは私の側にいてね、何があるか分からないから」

「・・・私は?」

そう呟くロズダを無視して神殿へと足を踏み入れた、そもそも貴様は何があっても死なないだろ。


「ソフィーーーーっ!!」

「――ふんっ!」

入って早々跳び付いてきたやーちゃんに肘打ちをおみまいして叩き落とした、地面に落ちたやーちゃんは「へぶっ・・・!」という声を漏らしたがすぐに顔を上げた。

「何をするのじゃっ!せっかくの再会だというのに・・・!」

「まだ二日しか経ってないし、一日中相手にしたんだからいいでしょ?それより騒がしくして他の人に迷惑を掛けない!私がこの国を出るとどうなることやら・・・」

神殿内の広場の奥にある椅子の前まで来た私がそう言うとサナエたちが頷き、椅子に座ったやーちゃんは首を傾げながら口を開いた。

「? ソフィはずっとこの国で暮らすんじゃろ?もう住居の建設を依頼したぞ!」

何故そんな結論になったの!?そんな話一回もしてないよね!?これだからやーちゃんは・・・!

「暮らしません。私はサナエたちと他の国を旅するの、それに一応帰る国だってあるし・・・」

「なんじゃとっ!!?そんな話聞いてないのじゃ!いったいどこの国じゃ!!」

そう叫んで椅子から飛び降りて、って近いし圧がすごいからちょっと離れてっ!!そう言うと渋々といった様子で後ろに下がって椅子に座り直した、これ国の名前言ったら滅ぼしに行かない?大丈夫かな・・・?

「私は今ラーナリア国っていうところで守護獣してるの、それでこっちが巫女のサナエ。それでこっちがサナエの侍女のユキナ、あと変態」

「ラーナリア国・・・?ちょっと待つのじゃ、ふむふむっ・・・」

どうやら場所が分からないので地図で確認しているようだった、確認を終えたやーちゃんは地図を置くと口を開いた。

「随分な場所にある小国じゃな、近くにあるのが帝国とは・・・ソフィ、よく無事じゃったな」

「無事じゃないからここに居るんだけどね、寝床にしてたお城の頂上が吹き飛ばされたんだし・・・あの聖剣使いめ・・・」

あの男を思い出してむかむかしている私の言葉を聞いて気の毒そうにしていたやーちゃんだったが、最後の呟きが聞こえたのか目を大きく見開いた。

「聖剣使いじゃと・・・?」

「本当に驚くよね、聖剣なんて数えるほどしかないのにその使い手が現れたんだからさ」

聖剣や魔剣って世界に数本しかないらしいからそりゃ驚くよね、そう思っているとどうやらやーちゃんは違うところに驚いたようだった。

「そこではないのじゃが・・・それに聖剣はそう珍しい物ではないぞ?この国にも現れたのじゃからな」

やーちゃんの言葉を聞いては私は驚いたが、エビルタイ国でも魔剣使いが現れたらしいし聞いた話ほど珍しくないのかな?

「っというよりじゃな・・・魔剣や聖剣の出所は帝国のようなのじゃ、侵入してきた聖剣使いに聞いたらそう答えた『帝国で聖剣を受け取った、そして神の意志を感じて守護獣を狙った』とな」

神の意思・・・つまり、帝国は各国の守護獣を狙っていると?そう尋ねるとやーちゃんは小さく頷いた。

「恐らく、じゃがな・・・捕らえていた使い手が死んでしまっておるから確認しようがないがな、まさか頭を打ち付けて自殺するとは思ってなかった」

口封じか・・・その帝国とやらは随分とキナ臭い所みたいだね、ってラーナリア国に聖剣使いが来たってことはつまり・・・

「旅に出てこの国で暮らさぬのは残念じゃが、十分に気を付けることじゃ。おそらく国を訪れた時点で、ソフィも帝国に狙われておるじゃろうからな」

ウルメの件もあるからね、サナエの側を離れないようにしないと。

「・・・しょうがない、今夜はレッグに相手してもらうとするか」

頑張れ、レッグ・・・死ぬことはないと思うけど、数日動けなくなるだろうけど頑張れっ!

私は心の中でレッグに合掌しながら、やーちゃんに別れの挨拶をして宿屋へと戻ったのでした。

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