この国の守護獣も友達だった件について
喜々とした様子のリザードマンに検問所を通された私たちは、少し整備された山道を歩くこと数分・・・開かれた門を通って街の中に入ると、凄まじい熱気と真っ直ぐ先に行ったところにある噴水から溶岩が噴き出ているのを目にした。
「そりゃあ、灼熱地獄って言われるよね・・・サナエは本当に大丈夫?」
「少し汗ばむくらいだけど、過ごせないってわけじゃないから大丈夫だよ。心配してくれてありがとね、ソフィ」
微笑みを浮かべるサナエを思わず抱き締めてしまった、けど暑いだろうからすぐ離さないと・・・?
「サナエ?」
「やぁ・・・もう少し、抱き締めて?」
離そうとしていた腕はさらに力を込めてサナエを抱き締めていた、サナエの可愛さには勝てなかったよ・・・
「お二人とも、目的を忘れていませんか?この国の巫女に会って守護獣に会うのでしょう?」
「そうです!サナエ様は早くソフィ様から離れてくださいっ!羨ましいです!!」
「ユキナさん、本音が出てしまっていますよ?私はどちらかというとそのまま圧死させられたいものです・・・んはぁっ!」
サナエを抱き締めている間に周りがカオスな状況になってる・・・私は渋々サナエを離すと、周りを見回して目的の人物を探した。
ってよく見たら広場を抜けたさらに奥にある階段を上った先の神殿前で仁王立ちしてる、アレがこの国の巫女?
神殿に続く階段を上ってすぐに赤い鱗を纏ったこの国の巫女であるリザードマンは、少し身を低くすると私の顔を覗き込んだ。
「君があの方が言っていた大狼様かな?僕はこの国で巫女をしているレッグという者だ、君が来てくれて本当に感謝している。いや本当に、あの方の突然の申し出に街の中はてんてこまいでね・・・おかげで山賊の対処も遅れてしまっているんだ、道中怖い目に遭ったのではないか?本当に申し訳ない」
そう言って頭を下げたレッグに頭を上げるように言うと、私たちが無傷なことを伝えた。
「そうか、こちらとしてはおもてなしをする前にお願いを聞いてもらう立場なので心苦しくはあるが・・・あの方・八岐大蛇様に会ってもらえると助かる」
「え・・・八岐大蛇がこの国の守護獣なの?」
まさかまた守護獣が知り合いだったなんて思わなかったよ・・・しかもやーちゃんかぁ、何も起きなければいいなぁ。
レッグの話によると、やーちゃんは今苛立ちで気が立っているということなので私一人で会いに行くことになった。
やーちゃんが寝床にしている神殿は地上部分が客人と応対する場で、地下がやーちゃんの個人的な空間らしい。
広場になっている地上部分の奥には玉座のようなイスが置かれており、その後ろに地下へと続く階段がついている。
その階段を下りて地下へと足を踏み入れると、八つの首を放り投げるようにして寝そべるやーちゃんの姿があった。
「よっと」
階段から飛び降りて床に着地すると、その音で目を覚ましたのか身動ぎを一つして―――
ズガァァンッ!!
八本あるうちの一本の尻尾を打ち付けてきた、たしかに苛立ってるみたいだ・・・私じゃなかったら死んでるよ?っと。
尻尾を避けて跳躍した私は、着地すると同時に獣状態に戻りやーちゃんに声を掛けた。
――随分な挨拶ではないか、礼儀がなっていないぞ?やーちゃん
私の声に八つの首全てを反応させたやーちゃんは、それぞれで色の違う全ての瞳を一気に見開いて私の方へと視線を向けた。
そして私の姿を確認すると、寝そべっていた姿勢から素早く起き上がってその勢いのままこちらに跳躍してきた。
『大狼~~っ!!どれだけ再会を待ち望んだことかあぁぁぁッ!!』
いや私の倍以上の図体で跳びつこうとしないでっ!?そう思いながら押し潰される前に素早く移動して難を逃れた。
私が避けたことでモロに壁に激突したやーちゃんだったが、傷付いたのは壁の方だけだった。
『何故避けるのじゃ、大狼!?妾と愛し合った日々を忘れたというのか!?』
――それとこれとは話が別だと思うなぁ!私とやーちゃんの体格差を見て!何か思うことがあるでしょっ!?
私がそう訴えかけるように大声に大声で返すと、やーちゃんは何かを考えるように八つの首で話し合いをして・・・ハッとして何かに気付いた様子でこちらに振り向いて口を開いた。
『わかったのじゃ!妾の方が大きい、即ち!大狼を組み伏せて一方的にヤリやすいということじゃなっ!!』
――~~~っ、バカッ!!
そうだった!やーちゃんはこういう娘だった!脳内ピンクの変態さんだったっ!!
私が内心で頭を抱えていると、やーちゃんはジリジリとゆっくり距離を詰めてきていた。
『はぁ、大狼!昔のように愛し合おう、交尾しよう!番のように甘く蕩けるように、交わり合うまでまぐわおうっ!』
――・・・それでこの国の騒動を治めるのなら、少しだけなら相手するよ?あと今の私はソフィっていう名前があるから
『そうなのかっ!ならばソフィ、レッグに念話を飛ばしておくから早くヤルのじゃっ!』
そう言いながら一つの首が天井を向いて何かをして、他の六つの首が私の身体を絡め取って引き寄せた。
この際さっさと終わらせて早くサナエの元に戻ろう、そう考えていると天井を向いていた首が出入り口の方を向いた。
『これでよしっと。これで妾とソフィは明日までこの部屋から出ることはできぬぞ?妾以外の雌に現を抜かしていた罪、その身体に刻み付けてやるのじゃ』
あ・・・これアカンやつや、っていうか一日サナエと会えないなんてヤダーーっ!!・・・あっ。




