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守護獣な私と巫女と呼ばれる彼女と、のんびり過ごす獣愛物語。  作者: にゃんたるとうふ
灼熱の国で―――
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険しい山道の途中で、山賊とエンカウントした

次に目指す国は山々がそびえ立っており、険しい山道を歩くことになるのだった。

飛んでいけば楽なのでは?と私が提案をしたが、ロズダがその案はお勧めしないとのことだった。

「バーディング国の上空は基本的にワイバーンの群れが飛び回っているのです、ですからそれを一々対処するよりもこうやって地道に歩いた方が楽なのですよ」

さらに言えば、ワイバーンの強さはラーナリア国にいた頃に戦った竜の成体と同等らしい・・・あの竜、成体だったんだ。

「すぅ、すぅ・・・んん、そふぃ・・・」

朝まで励んだことで徹夜をしてしまったサナエは、おぶっている私の背中で穏やかな寝息と寝言を漏らしていた・・・可愛いっ!でも私のせいでゴメンね?

「ちなみに歩きだと二~三日はかかります」

「ならば私が獣状態に戻って、サナエとユキナを乗せていけばそれだけ早く着く。貴様は浮いてついてこい」

そう言って私が元に戻ろうとすることにロズダは再び待ったをかけた。

「お待ちください。エビルタイ国でのこともありますから、不用意に勇猛なお姿を見せるのはいけません。再び変な騒動が起こるかもしれません」

「んぐぐっ・・・!」

ロズダにそれっぽい正論を言われて反論できない・・・!こうなったらもう地道に歩いていくしかないか。

「ユキナは大丈夫?疲れてきたら遠慮なく言ってね、ロズダに背負わせるから」

「えっ!?あ、はいっ!私はまだまだ大丈夫ですっ!」

「私への配慮は無いのですね・・・それもまたそれで、んふぅっ!」

いつも通りのロズダを無視して、バーディング国を目指して緩やかに続く山道を歩きだした。



普通の人間であるユキナに配慮しながら少しづつ歩いていくこと数時間、朝から歩き続けていたので太陽が沈み始めていた。

そんなわけでそろそろ夕食にしようということになった、途中でユキナが作っておいてくれたサンドイッチはとても美味しかったから楽しみだなぁ。

「ここら辺で野宿かな、そういえば周りの気の葉っぱが散り始めてるね・・・気温も高くなってるみたい、ユキナはしっかり水分を取ってね」

私たちは少し山道をズレた所で焚火を起こすとユキナが料理の準備を始めた、私は背負っていたサナエを起こさないように下ろすと私の膝を枕代わりにして横にした。

「んふふっ・・・サナエの寝顔可愛い♪」

っていっても徹夜させちゃった私の責任なんだけどね・・・今度からはもう少し自重、できたらいいなぁ。

そう思いながら料理の下拵えをするユキナとその手伝いをするロズダを眺めながら、穏やかな寝息を漏らすサナエの髪を梳くように優しく撫でた。

「このままサナエの寝顔を見ながらゆっくりしたかったんだけどなぁ・・・」

そう呟いてから視線を背後に向けると、軽装の鎧を身に着けた五人の男が短剣などを手に持って下種な視線をこちらに向けている姿があった。

「別にゆっくりしてていいんだぜ?俺たちの慰み者になってる間、そんな余裕があったらなぁ」

リーダーと思われる男がそう口にすると、周りの男たちは大笑いをしながら下品な言葉を口々に喋っていた。

「さぁっ、来てるモン全部脱いで跪いてもらおうかぁ?そうすりゃあ命までは取らねぇよ、純潔は散るかもしれねぇけどなっ!ギャハハハハッ!」

私はゆっくりと眠るサナエの頭を地面に降ろすと、立ち上がって男たちと真正面で対峙した。

「お、なんだぁ?お前から相手してくれっ――――」

「うるさい」

手の爪を鋭くして軽く振るうと、よく喋っていた男の頭が吹き飛んだ。

「あまり近場で血生臭いことをしないほうがよろしいかと、サナエさんが起きてしまいますし・・・これからユキナさんが作ってくれるご飯が美味しくなくなってしまいますよ?」

「むっ、たしかに一理あるな。ならば他の男は全て向こうに吹き飛ばすか」

「おっ、お頭・・・!?うぁ、うわああぁぁぁぁっ!!」

爪に付いた血を手を振るって払うと爪を戻して拳を作り、男一人一人の腹部に叩き込んで遠くに打ち上げた。

「奪う気だったのなら奪われることがあることも覚えておけ、私は奪わす気は毛頭ないがな」

男全員を天高く打ち上げた後に首の無い男もぶん投げてから肩を回して振り返ると、ユキナは目をキラキラ輝かせてロズダは頬を朱に染めてウットリとした表情をしていた。

「ソフィ様・・・すごいです!やっぱり、とてもお強くてカッコイイです!」

「まぁ、アナタならあの程度の塵など一瞬でしょう・・・あぁ、とっても素敵ですぅ」

そんな二人に苦笑しながらサナエの様子を窺うと、起きている気配はなかったので一安心した。

サナエの安眠を邪魔していたら、あの男共ブッ飛ばすだけじゃ済まさなかったからねっ!


再びサナエの頭を私の膝に乗せて眺めること十数分、ユキナの作ってくれた料理が出来たようだったので泣く泣くサナエを起こす為に声を掛けた・・・できるなら、もう少し寝顔を眺めていたかった。

「サナエ。サナエ起きて、夕食の時間だよ」

「んんぅ・・・ソフィ?おはよぉ・・・」

寝惚けているサナエすんごく可愛いっ!そう考えながら身体を起こしたサナエを支えてあげた。

「ありがと、ソフィ」

「気にしないで、サナエ。はい、あーん」

「あーむっ♪んふふっ、おいひぃ♪」

ユキナの作ってくれた蟹のスープを食べさせてあげると、ふにゃっと嬉しそうに頬を緩ませた。

「・・・私が作ったんですけど」

「あの二人のアレはいつものことですから、気にしない方がいいのでは?」

「そうですけどぉ・・・」

何故か不貞腐れているユキナと気にせずスープを口に運ぶロズダが何か話してるけど、美味しそうに私が差し出すスプーンを咥えるサナエの可愛さに見惚れて耳に入ってこない・・・可愛いなぁ、食べちゃいたいくらいだよっ!


サナエの可愛さに胸を熱くした夕食を終えると、サナエは私の膝を枕にして眠りにつきユキナは渋々といった様子でロズダの膝を借りて眠りについた。

残った私とロズダは揺れる焚火の炎をぼんやりと静かに眺めていたが、ふとロズダが視線を夜空に向けたのでつられて私も見上げた。

「・・・アナタと初めてお会いしたのも、こんな満天の星空が広がる夜でしたね」

「そうだったか・・・?」

私的には全然記憶にないんだけど・・・そう思って口にすると、ロズダは微笑を浮かべた。

「あの頃のアナタは相当荒れていましたから、目先の獲物しか興味がなかったのでは?まぁ、それだけ目先の獲物(わたし)を見てくれていたということでしょうけど・・・んんっ」

(さか)るな、馬鹿者がっ。いやしかし、そうか・・・あの頃から貴様を見る機会が増えたのか、失態だな」

昔の私は何をやってるんだよ、チッ!そんな内心が表に出てしまったようで口から舌打ちが漏れてしまった、それと同時にロズダが身体を跳ねらせて痙攣していた。

「・・・貴様」

「んはぁ・・・不意打ちは、反則ですぅ・・・♡」

ビクンビクンしているロズダを無視して、私は空が白み始めるまで眺め続けるのでした。

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