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守護獣な私と巫女と呼ばれる彼女と、のんびり過ごす獣愛物語。  作者: にゃんたるとうふ
海の国で―――
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海の国の観光と乙女の秘密

宿屋に戻ってきた私たちはゆっくりと身体を休めて、次の日の朝から市場を見て回ることにした。

市場や街の中は昨日と比べると打って変わって賑やかになり、活きの良い海産物が所狭しと並んでいた。

「色々な物が売っていますね・・・蟹に海老に貝、さすがに魚類はないみたいですね」

それはさすがにね・・・魚頭の人もいるぐらいだし、そこは配慮されてるんじゃないかな?

「それにしても・・・周りから聞こえてくる噂はどうにかならないかなぁ」

「''この国を救う為に現れた神の使者、守護獣であるリヴァイアサンに活を入れに現れた,,かぁ・・・でも悪い方への噂じゃなくてよかったね、ソフィを悪いふうに言われたらガマンデキナカッタカラ・・・ふふっ」

私の右腕にギュッと抱き着いたサナエがそう言って私の心配をしてくれるから嬉しいなぁ。

私の肩に乗っているサナエの頭に頬擦りすると、サナエはくすぐったそうにしながらも受け入れてくれた・・・サナエは今日も可愛いねっ!

「それでこれからどうするのですか?あんな大騒ぎを起こしては、長く居続けるのは難しいですよ」

ロズダの言った通り噂が流れた当初に、というか今この国にいる観光客って私たちだけだから色々と絡まれそうだよね。

「とりあえずこの国に留まってはいられないから、近くの国に移動しようか」

「となると、次は・・・少し内陸の方へと行くことになるかもね、後で地図を確認しないと」

サナエが次の国の正確な位置を確認してから出発するってことは、急がなくても明日の朝にこの国を出ればいいか。

「行く場所が決まったのなら次は買い出しですね!ここに来るまではすぐだったので料理を振る舞えませんでしたが、次こそは守護獣様に喜んでもらえるように頑張りますっ!」

ユキナが気合を入れるようにそう声をあげたのは良いけど、守護獣という単語でまた視線を集めてるから注意しておこう。

「うん、とりあえず私を守護獣様って呼ぶのをやめようか。別に私のことは名前で呼んでいいんだよ?サナエも、いいよね?」

そう尋ねるとサナエは頬を膨らませて不機嫌そうにしていたが、ジッと見つめ続けると渋々といった様子で頷いてくれた。

「・・・今夜は、昨日よりも愛してね?」

私にしか聞こえないように小声で呟いたサナエに、私は満面の笑みを浮かべて頷いて小さく呟いた・・・その顔がトロトロになるまでしてあげる、ってね。

「サナエも了承してくれたからこれからは名前で呼んでね?ユキナ」

「は、はいっ!守護っ――ソフィ様!」

何故か頬を朱に染めたユキナは、とても晴れやかな笑みを浮かべて返事をしてくれた。

「あのぅ・・・私もアナタのことを名前で呼んでも?」

私の後ろでそう言いながらおずおずと手を上げるロズダ。

「貴様は駄目だ、恥を知れ」

私がそう言い切ると「くぅんっ!」という声をあげながら身を震わせていた・・・しまった、逆にご褒美をあげたみたいになっている。

そう思って今後のロズダの対処をどうするかで頭を捻っていると、食材を前にして生き生きとするユキナに先導されながら市場を練り歩いたのだった。



ユキナが気に入った海産物を財布(ロズダ)を使って買い、ホクホク顔のユキナを連れてそろそろ市場を離れようとしたところに大きな声を掛けられたので足を止めた。

「ソフィさーん!サナエさーん!ユキナさんにロズダさーんっ!」

少し離れた所から駆け寄ってくるウルメの姿を確認した私たちはそちらに足を向けた。

「ウルメ、どうかしたの?」

「いえっ!リン様のお仕事が一段落したので皆さんの様子を見に来たんです!・・・あとリン様がぐったりしてしまったので休憩も兼ねてです」

最初に会った時から時たま垣間見えてたけど、すごく元気な娘だなぁ・・・リンちゃんが元気になったから、さらに増しましになってるみたいだけど。

あと心なしか昨日よりも肌がつやつやしている気がする、呪いが解けたから?だけじゃない気がするけど。

「それで皆さんはすぐに旅立つ予定なのですか?私はもっと一緒に居たいですけど・・・」

「明日の朝にはこの国を出るつもりだよ、色々お騒がせしちゃったからね」

私がそう言うとウルメは大きく首を横に振ってから口を開いた。

「そんなことありませんです!ソフィさんが居て下さったからこそ、リン様を救うことができたのです!本当にありがとうございましたですっ!それにサナエさんからの助言もとても役に立ったです、おかげでとても気持ち良かったです!」

そっか、そう言ってもらえると何より―――ちょっと待って?今気持ち良かったって言った?・・・うん?サナエと何の話をしていたの?

「そう、それはよかった。また何かあったら新しいことを教えるね」

「はい!ぜひっ!」

私がリンちゃんを引っ張り出している時に何の話をしてたの?ナニの話をしていたの?ウルメってたしか十三歳だよね?だ、大丈夫かなぁ・・・もしかしてリンちゃんがぐったりしてるのって、あっ(察し)。


その後小声でナニかの話をしたことで頬を朱に染めながら「はぅぅっ・・・」と恥ずかしげ声を漏らしながらも、どこかヤル気に満ちたウルメとそんな彼女を応援するサナエの姿があった。

「こ、これで頑張れますです!サナエさん、ありがとうございましたです!皆さんも良い旅を、ですっ!」

話しを終えたウルメはとてもキラキラとした笑顔を携えて、灯台の方へと手を大きく振りながら走り去っていった・・・リンちゃん、身体持つのかなぁ・・・

「・・・何の話をしてたの、サナエ?」

小さく胸の前で手を振るサナエに(ある程度察しはついているけど)そう聞くと、口元に人差し指を当ててニッコリと微笑みながら口を開いた。

「乙女の秘密、だよ?だからソフィにも教えてあーげない」

そう言ってワンピースを翻して宿屋へと戻っていくサナエの後を、ユキナとロズダと一緒に追いかけるのでした・・・くそぅ、可愛すぎるっ!

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