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守護獣な私と巫女と呼ばれる彼女と、のんびり過ごす獣愛物語。  作者: にゃんたるとうふ
海の国で―――
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新たな国に来たけど、何やら様子が変?

再生の魔女・ロズダの拠点で手にいれた地図を見ながら私の背に乗って方角を指示してくれるサナエの助けもあり、陽が沈み切る前に国境近くの門へと辿り着いた。

「潮風の匂いと生臭い匂いが混じって変な感じ・・・うぇ」

「ソフィ、大丈夫?私の匂いを嗅いで紛らわせていいんだよ?むしろそうしてくれた方がソフィをもっと近くで感じられるからいいんだけど」

「アナタはあの見た目ですが狼でしたね、なら嗅覚が優れている分辛いのでしょう」

「守護獣様、大丈夫ですか!?」

私の右隣で私の腕に絡まるようにして腕を組むサナエ、左隣ではユキナが心配そうに眉を下げていた。

後ろでは冷静に分析するロズダ、何にやけてんだぶん殴るぞっ!

そんなふうに考えているといつの間にか門を潜ったのか、賑やかな街並みと港に向けて緩やかな坂になっている為水平線が一望できた。

さらに夕日も相まって海が輝きを放っているように見えて、とても綺麗な光景だった。

「・・・でも匂いがダメェ」

「今日は宿を取って休みましょう、どのみち今の時間から空いているのは酒場ぐらいですからね」

ロズダの提案に癪だけど賛同して宿を取って休むことにした、私とサナエの二人部屋とユキナとロズダの二人部屋である。

異論は認めないっ!!


取った部屋へと入った瞬間、サナエに身体を引っ張られてベッドへと押し倒された。

「ソフィ、ソフィ、ソフィ・・・我慢できないの、疼いて疼いてしょうがないの・・・だから、ね?しよ・・・?」

熱にうなされているように頬を上気させたサナエは、息を荒くしながら自らの服に手をかけてそう声を漏らした。

「うん、おいで・・・サナエ」

両腕を広げて微笑みを浮かべてそう言うと、サナエは待てを解かれた犬のように貪るように自分の唇と私の唇を重ねた。

「んっ、ちゅぅ・・・ちゅぱ、んんっ・・・」

それからサナエが満足するまで口づけをしてから、抱き締め合いながら次の朝を迎えた。




次の日、多少鼻が慣れてきたけどまだ本調子ではないなぁ・・・そんなことを考えながらユキナとロズダと合流してから市場を見て回ることになった。

「そうそう、アナタに一つ言っておくことがあったんです」

そう言って私の耳元に口を寄せてきたロズダを睨みつけながら、次の言葉を待った。

「昨日は、お楽しみで―――」

「死ね」

顎に裏拳がクリーンヒットしたロズダは後ろに大きく仰け反った、周りに人が居るから頭を吹き飛ばすことはできなかった・・・無念。


昨日は気分が悪くてよく見てなかったけど、この国の人たちって魚人だったんだ・・・顔が魚だったり下半身が魚だったり、あとは人に鱗とヒレが付いたような人までいる。

「それにしてもなんか、活気がない?」

歩いている人や市場で働いている人は皆が皆雰囲気が暗い、その影響か他に観光客らしき人影が一切ない。

「ロズダは何か知らないの?」

「アナタが名前をお呼びに・・・!?あぁ、滾ってしまいますぅ・・・!」

いや早く答えろよ、身悶えしてないで・・・変な注目集めてるだろうがっ!

「――っと、ふぅ・・・申し訳ありませんが私にもわかりません、ここ数年はアナタのことばかりで他の国には訪れていませんから」

「使えない奴だ」

私がそう吐き捨てるように言って視線を外すと「くふぅっ!」と嬌声が聞こえてきたけど聞こえないことにした。

「守護獣様!私が市場の人に聞いてきましょうか?」

「――っん?うん、じゃあそうしてもらおうかな」

パァッと顔を綻ばせたユキナは身近な所の市場の人へと話しかけに行った。

それを見届けるとロズダが悶えることを終えたらしく、話しかけてきたのでそちらに視線を向けた。

「アナタも気付きましたか、先程の反応・・・」

「あぁ、''守護獣,,という単語に随分と反応していたな。この国にも守護獣というものがいるのか?」

そう私が尋ねるとロズダは少し驚いた様子で目を見開いていた、なんなの?

「大なり小なり、どの国にも守護獣というものは存在するんだよ?私の国はソフィだったの」

「そうなの?」

私の腕に抱き着いていたサナエの言葉に驚いて思わず聞き返すと、微笑みと共に大きく頷いて返してくれた。

「サナエは可愛いなぁ、ってそうじゃなくて・・・つまりこの国では何かが起こってるってことか」

「そのようですね、ユキナさんが戻ってくれば色々とわかるのでは?ほら、戻ってきたようですよ」

ロズダの向ける視線の方へと顔を向けると、ユキナが小走りでこちらに駆け寄ってくる姿が見えた。

「守護獣様!どうやらこの国の漁業は全滅だそうですっ!」

大声でとんでもないことを口走ったユキナに、私たち三人はポカンとするのでした。

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