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守護獣な私と巫女と呼ばれる彼女と、のんびり過ごす獣愛物語。  作者: にゃんたるとうふ
お城の上で―――
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私は彼女へと、思いを馳せる

日差しが差し込み、私の眼を刺激して意識が覚醒してくる。


――もう朝か・・・


そう呟いて寝起きの重い頭を上げると、これでもかと輝く太陽が私を出迎えた。

その眩しさに目を細めながら忌々しげに太陽を見つめ続ける・・・あ、やっぱ無理だ・・・眼が痛い・・・あぅ。

眼を閉じて光を直視した時特有の残像が消えるまで俯いていると、自身の空腹を告げる音が耳に入った。


――お腹、空いたなぁ・・・


またも呟きながらゆっくりと目を開けてから、太陽が昇り始めたってことは食事はもう少し経ってからか・・・とボンヤリと考えた

二度寝しようかと腕を組み直してそう思った矢先、目の前の階段から誰かが上がってくる足音が聞こえたので視線を向ける。

姿を見せたのは十四歳ぐらいの小柄な少女、黒い髪を赤い紐で右側頭部に束ねていて瞳は黒に少し蒼を足した様な色。

顔は童顔で・・・というか幼いから仕方ないけど、年相応の可愛さを持ち合わせている。

服は真っ白に黄色のラインが入った・・・なんて言うのかな、ポンチョ?のような形状をしている。

足は裸足で夏とはいえ石畳は冷えるだろうから心配だなぁ・・・でも私の前だと靴は履いてはいけないらしい、別に私は気にしないのに。

などと色々考えながら少女を凝視していた為、かなり顔に怯えの色が出ているのが見て取れた・・・あぅ、怯えられると辛いよぅ・・・

とりあえず少女から視線を外して天井へと視線を向けた。

白一色の木材で作られた荘厳な造りの天井の四隅に、赤い水晶の付いた紐みたいな物がぶら下がっている。

それが風によって揺れ動くのを見ながら空腹を紛らわす・・・ことは出来ず無情にも空腹を知らせる音が鳴り響く。

音が鳴る度、少女は肩を震わせて恐る恐るこちらに視線を送っている・・・うぅ、申し訳ないです・・・でも君を食べたりしないからね?ほんとだよ?

ちなみに少女は私の身の回りの掃除をしてくれている、かなりビクビクしてるけど・・・いつもの彼女はどうしたんだろ?病気かな?だったらお見舞いに・・・あ、ダメだ・・・私が行ったら余計気を使わせちゃうか。

そう思っていると掃除を終えたらしい少女はおずおずと私の前にやって来て石畳に正座した。

「そ、それでは失礼致しました・・・っ」

深々とお辞儀をしてから私と視線が交わった瞬間、身体を大きく震わせておへその辺りを押さえながら少し瞳を潤ませていた。

そんな少女の頭を優しくポンポンと撫でたかったけど、私が身動ぎする度に身体をビクビクさせる少女にそんなことしたら確実に潤んだ瞳から涙が溢れだしそうなのでやめておいた。

本当は優しく抱きしめてあげたいけどなぁ・・・そんなことできるのは今の所、いつも掃除しに来てくれる彼女ぐらいなんだよなぁ・・・

少女は最初の重い足取りとは裏腹に軽い足取りで階段を駆け下りていった・・・いつものことながら、辛いよぅ・・・

もっと人と触れ合いたいよ・・・楽しく世間話でも他愛無いくだらない話がしたいよ・・・早く彼女に会いたいよ・・・

唯一私を見ても怯えず、逃げ出すことも泣き叫ぶこともせず、私に歩み寄ってくれたたった一人の人間。

彼女のことを思い出す度に体が熱を帯び、雄叫びを上げたい衝動に駆られてしまう。

彼女を失うと考えただけで総毛立って口の中がカラカラに乾き、全てがどうでもよく感じてしまう。

それだけ私は彼女を大切に思っているのだ、愛してると言ってもいい・・・言い過ぎかな?

何はともあれ彼女に会えない日など考えられないほど、彼女の存在は私の中で大きいのだ。


――朝食を運びに来なければ、彼女に会いに行こう


そう決意をして朝食が来るまで一眠りしようと身体を丸くする。

''三本の尻尾を掛け布団代わりに自身に乗せ、人など簡単に三枚に下ろせるであろう爪を体の中に戻し、銃弾すら弾く毛並みを元のふわふわな毛質に替え、喉まで開いた口と四つある紅眼,,を閉じて二度寝する体勢に入った。


そして寝息を立てだしたソレは―――かつてこの国を滅ぼしかけ、とある女性を護ると誓ったこの国の守護獣にして異形の大狼―――である。





ちなみに名前は''ソフィ,,です(とある女性命名)

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