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5・わたしの盾になりなさい

 学園センターに行くために、俺は路面電車を利用している。

 電車の窓から外を見ると、高層ビルが建ち並んでいる。

 その洗練された街並みはとても魔術の街だとは思えない。


 電車に揺られて、十五分程で目的地であるターミナル《センター前》に辿り着く。

 俺は電子マネーを使い電車から降りる。

 学園センターは赤煉瓦造りの建物で、一つ飛び抜けて細長い時計塔がよく目立つ。

 ターミナルが学校の敷地内に造られていることから、如何に魔術学園が重要な存在であることが分かるだろう。


 それにしても眠い……朝だからなのか、眠気で頭が重くなっているように感じた。

 他の生徒達に混じって、俺は自分の教室へと歩いていた。


『知ってる……あいつが……』

『あれが……とてもそうには見えないな』


 ……何だろう。

 やたら周囲からの視線を感じる。


 もしかしてモテ期なのか?

 散髪するのが面倒臭くて、伸ばしている前髪が目にかかり、憂鬱な俳優を思わせると専らの自分発信の噂なのだ。

 出来れば、声をかけられるなら巨乳で優しそうな長身お姉さんが良いな。職業がシスターならなお良し。


 なんてことを眠気で霧がかかったような頭で考えていると、



「ちょっと待ちなさいよ!」



 と目の前にツインテールの女が立ち塞がった。


「うぃーす」


 悪いが、貧乳のチビには興味ないんだ。

 俺は片手を挙げて、女の横を通り過ぎようとすると、


「ちょ、ちょっと! 何で無視するのよ!」


 肩を掴まれて、無理矢理体が停止してしまう。


「……えーっと、迷子かな? 迷子だったら、教員室まで案内してあげるわよ」

「自分で言うのも何だけど、こんな堂々とした迷子いないわよ」

「それじゃあ、俺のファンとか? 差し入れは食べ物だけに限るよ。人形とかは栄養に変えられないから、止めて欲しい」

「あんたみたいな間抜け面! ファンなんて出来ないわよ」


 頭二つ分くらい低い位置から、ツッコミを入れる女。

 何かこいつ、やけに親しげだな。


「もしかして、知り合いか何かですかね? 俺、君に話しかけられる覚えはないんだけど」

「…………」


 ジト目になってこちらを見てくる女。


「あんた、もしかして覚えてないの?」

「何がだ?」

「わたしのことよ! 桜乱華玲菜! 昨日、死闘を演じたじゃない!」


 ――ああ。


 桜乱華の家名を聞いて、やっと思い出せた。


 昨日、こいつの怒りを買って無理矢理決闘を申し込まれたんだっけ。

 こいつは《四大財閥フォースサミット》の一人、桜乱華の天才であってその魔術の腕前は一年生離れしていた。


 しかし俺は魔術師にとっての《天敵》。

 聖剣を振るい、見事女――レイナに勝利したんだっけな。


「まあ、記憶喪失になるのも無理ない話かもしれないわね。あれだけの死闘だったんだからね」

「楽勝だったように思えるが?」

「――ギリギリだったじゃない! 実力の半分も出せていないんだからね」

「実力を出させなかった訳だから、余計にダメじゃないか」

「んー、も〜う。何よ」


 ポコポコと俺の胸を叩いてくるレイナ。

 レイナと戦ったのは昨日のことであるが、既に忘れてしまう程の出来事だったのでただただ目の前の状況に戸惑っていた。


「ふう。まあ良いわ」


 レイナは俺から離れ、改めて腰を手に当てこう言い放った。



「あんた。わたしの盾になりなさい!」

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