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1・プロローグ

 入学式を終え、俺はシャワー室を探していた。


「ここか……」


 広大な校舎を歩き回って、やっと辿り着いたオアシス。


 うん、きっとここだ。

 扉の上に『シャワー室』というプレートが貼られているし。

 水道代節約のために、自室のシャワーを浴びられていなかったこともある。

 俺は急いで、汗を流したいと思い扉を開いた。


 ――だからだろう。


 別の場所に貼られている『女子専用』というプレートに気付かなかったのは、


「なっ……」


 扉を開けると、そこには下着姿の女がいた。


 身長は低いものの、突き出ているおヒップ、慎ましいながらも膨らんでいるバスト

 水を弾くような白肌の隆起が女であることを主張していた。

 純白のブラジャ―――そしてパンツであった。

 彼女は顔だけをこちらに向けて、動きを止める。


 ――美少女だ。


 少し幼いかもしれないが、大きい瞳に整った顔のパーツ。

 ツインテールの髪型も彼女の幼さを強調している。



 …………。



 時間が止まっているようであった。


 睨み合い、牽制しあった結果。

 先に根負けして口を開いたのは俺の方であった。


「おっと、悪いな。でもいるなら、入ってる、って言わねえとダメだぞ。ノックしていない? それは言い訳だ。魔術師なら扉の先も見通さねえとな」


 これぞ『こっちが悪いのに、相手に罪を擦り付けて有耶無耶にする』戦法だ!

 ピンチの後にピンチ有り、の人生を送ってきたからこそ口が動く。

 呆気に取られている女を見て、勝利を確信する。


「じゃあ……着替え終わったら、まだ呼んでくれ」


 そう言って、ゆっくりと扉を閉めていく。

 これで一件――、



「キャー! 変態ぃぃいいいー!」



 ――落着といくわけなかった。

 これが慌ただしい魔術学園生活の始まりの鐘となった。

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