第6話 ロキと代表戦
「契約を結んだのか?」
エリは優に歩きながらそんな事を聞いた。
別に優は隠すことないので、エリに話すことにした。
「はい。昨日結びました」
優の言葉にエリは笑顔になった。実はエリは優がちゃんと契約を結び、この学園に入学を出来るか心配だったのだ、学園長に話して入学は出来ると確信をしていたが契約を結べるのかが一番心配だったのだ。契約を結べる人間はこの世界でも珍しいのだ。
そして今、優の口で契約を結んだと聞かされて本当に安心をしたのだった。
「君は契約についてちゃんと知っているよね」
エリの言葉に優は頬を赤らめた。
「実は何もしらないんです、ミカ学園長からは特になにも教えられなかったから」
エリは優の言葉に驚いた契約のことを全然知らないということを。
「それなら私がおしえてあげるよ」
エリは優が契約の事を知らないと聞いて心配をした。だから、自分が優に契約についてを教えてあげろうと思いそう口にした。
優は契約の全く知らなかったのでエリが教えてくれることに感謝した。
「お願いします」
優はエリに食いつくようにそう言った。
「契約とはその契約を結んでくれた者の力を貸してくれることなんだ。たとえば、私の力はこの棒だ。これは、如意棒といって自由に長さを変えられるんだ。力を借りるときは契約者通しがお互いのことを認めないとだせないからな。それに、他の生徒には契約者のことは言わないほうがいいからな。契約を結んでくれた者のことをパートナという」
優はエリが口にした如意棒という単語に驚いた。
驚くのも当然だ、如意棒とは優の世界の有名な猿が持っていた武器の名前だ。その猿は岩から生まれて、自分のことを斉天大聖と名乗り天界に喧嘩を売って、山に封印された。その後に三蔵法師というお坊さんのお供として天竺という場所に経典を取りに旅に出て、仏になった猿のことだ。その猿の名前は孫悟空だ。その孫悟空が持っていた棒を異世界で聞くなんて。
「如意棒。エリのパートナは孫悟空なの」
優がそうエリに聞くとエリは驚いていたような顔をした。
「そうだけど。なんで、君は知っているのかな。孫悟空なんてどこの文献にも載ってない名前だ」
エリは孫悟空と契約を結んだときにいろいろな文献を調べたが何一つとして孫悟空について出てこなかった。つまりこの世界の人は孫悟空のことを知らないということだ、それはこの世界の人が自分のパートナーである孫悟空の弱点を発見できないということだ。
それなのになぜか、優が孫悟空の事を知っているのかが凄く気になった。
「偶然だよ、僕の家にまつわる昔話に如意棒という武器が出てきたんだよ。それを持っていたのが孫悟空だったんだよ」
優は自分が異世界から来たことを隠し、ウソをついた。
エリは優が何かを隠していると思ったがとりあえず何も気がつかなかったように「なるほどな」と頷いた。
しばらく、エリと優が校舎の中を歩いていると正面から黒髪の少女が近づいてきた。
少女は凄い美人だが雰囲気が怖かった、身長はエリと同じぐらいだが、バストはエリよりも小さい。服装は魔女のような服装をしているのだ。
少女はエリに話しかけてきた。
「エリさんじゃないですか、ここで何をしていたのですか。そのおかたはどちら様ですか」
「ロキさん。こちらは新入生の白石優で案内をしていたんです」
エリはいつもと違う口調で話した。
「そうでしたか、この学園を楽しんでね。それじゃあ、私は失礼させてもらうわね」
ロキは別方向に歩いていった。
優はエリにロキのことを聞こうとするとエリは震えていた。
「どうしたのエリ」
「なんでもないさ」
エリは小さい声でそう言った。
やはりエリは変だった、さっきのロキという少女に会ってから様子が変になった。
「エリに聞きたいんだけど、さっきの少女は誰なの」
優がエリに聞くとエリは話してくれた。
「ロキさんは私の一つ上の先輩でこの学校で七番目に強い人だよ。だがいつも代表戦は不真面目だけどね。本当の実力の彼女を倒すことができるのは、この学園でも二人だけらしいよ。それでみんなから通称、漆黒の魔女と呼ばれている。この学校で信用が出来るのは彼女とこの学園で四番目に強い、竜の姫だけだよ。それでも、私はどちらも信用は出来ないけどね。両方ともチームは作ったことはないよ」
「そうなんだ」
優は頷いた。そして、エリにずっと疑問を聞いてみた。
「代表戦とチームってなに」
「代表戦はね、この学校で行われる四回の契約者の大会だよ、チームはこの四回でチームを結ぶ人のこと。ちなみに最初の対決は二人以下のチームを結んで戦闘を行う、竜の舞。二つ目は三人以下のチームで行うこの学園を全てを使う謎解きゲーム、神の謎。三つ目は四人以下のチームで行う巨大な迷路でゴールまでを見つける、妖精の園。最後は五人以下のチームで行う戦闘、魔王の遊びだよ。チームを組み間違えると死ぬよ。ここだけの話しだけど代表戦にはもう一つあるらしいよ、その大会は四つの大会がやらない年に行うらしいよ。私もよくはしらないけど」
エリは優に真剣に言った。
それから優とエリが歩いていると、なにかをエリは思いだして言った。
「ごめんね、私はこれから用事があるから。失礼をするよ」
エリは優と逆方向に向かった。