第3話 儀式
「やっぱり、そうなんですか」
優はもともとの世界で漫画やゲームなどを沢山やっていたので予想はしていたが実際に自分自身に起こってみると信じられなかった。だが優はなによりもここが異世界であったことが嬉しかったのだ。
「うん、そうだと思うよ。それで、優くんは元の世界に戻りたいかな。戻りたいなら私が協力をしてあげるよ」
ミカは優が本当に元の世界に帰りたいなら協力をしようと考えていたのだ、異世界の人間を見るのも初めてで本当は帰って欲しくはないが、優は別の世界の人間だ。彼が帰りたいのなら協力をして当然なのだ。
「別に僕は戻りたくはありません」
優は暗い顔をしながら言った。優は現実の世界では落ちこぼれだったからだ、みんなからバカ呼ばわりをされイジメにあっていて、親からは何も期待されず。元の世界の何もかも絶望していたからだ。そして不登校になったのだ。
優は本やゲームに出てくるような主人公でもなければ、誰もが恐れる悪役でもないのだ。だから、これは奇跡なんだと思った、優に神がくれた最後の奇跡なのだ。だから優は元の世界には絶対に帰りたくないのだ。
それを見たエリはなにかを察したのだがそれに気がつかないフリをして、笑顔をで優に聞いた。
「それなら、この学校に入学でもしてみないかな」
それは優にこの聖流学園に入学をしないかということだった。もしも優が元の世界が嫌いで戻りたくないならこっちの世界で暮らすということだ、そうなるとこっちの生活に慣れないといけないからだ。学園に入ればこっちの生活にも少しは慣れるだろう。
「いいんですか、僕が入学しても」
優は笑顔になった。そして、ミカは話しを続けた。
「良いに決まっているよ。なぜなら、異世界からのお客さんなんだし。でも一つだけルールに従ってもらうよ」
「何ですか。ルールって」
優はルールと聞いて少し怯えながらミカにルールのことを聞いた。
「たいしたことではないよ」
優は少し安心をした。
「実はね、この学園では契約者などを育てているんだよ。だからこれから君には契約を結んでほしいんだよ」
優はミカの契約という言葉に驚いた。優の世界では契約なんて本やゲームなどにしか出てこない架空の物だったからだ。
「契約ってなんですか」
「契約を知らないの? もしかしてそっちの世界には契約を結ばないの?」
ミカの質問に優は首を立てに振った。
「はい、一応言葉はあったけど存在はしていませんでした」
優はミカに答えた、ミカは驚いたが顔に出さないように耐えた。
「それなら、簡単に説明をするね。契約はね、いろいろな世界の者と契約を結ぶことなんだよ。たとえばね、普通の動物、神話に出てくるような動物、神々、悪魔、天使。あと魔王とも契約を結んだ人がいたね。どうする契約を結びこの学園に入学をする?」
ミカは優に契約について大雑把に説明をして、優に何かと契約をさせ、入学の意識があるのかを聞いた。
優は嬉しかった、まさか自分が本やゲームのキャラクターみたいな展開になったことが。
「はい、僕はこの学園に入学をしたいです。元の世界では僕は落ちこぼれで誰に対しても期待をされませんでした、なのでこの世界に来て僕は嬉しかったんです。人に優しくされて、人に名前で呼んでもらったことが、僕はこの世界を好きになりました。だから僕はこの世界で過ごしたいんです、だから入学を希望します」
優はミカに自分の思いを伝えた。するとミカは優に優しそうな顔をした。
(きっと、この子は元の世界でも何かに耐えたんだろう。それなら、私が道を開いてあげたい)
ミカはそんなことを考えていた。
「それじゃあ、契約の準備をしてくるね。優くんは何と契約を結ぶんだろうね。それじゃ隣の部屋で準備をしてくるね」
ミカはそう言うと隣の部屋に入っていた。
それから十分後、「優くん支度が終わったよ、こっちの部屋に来て」というミカの大きな声で隣の部屋から優に向かって言ってきた。
優が部屋に入った。すると、その部屋の真ん中に巨大な魔方陣があった。
「始めるからこっちに来て」
「わかりました」
優は魔方陣の所に歩いていった。魔方陣の近くに行くと先程までと空気が違うように思えた。
「まずは、魔方陣の中に入って真ん中で手をおいてね」
優は魔方陣に入り真ん中で手を置くとミカが呪文を唱えた。
「この人物に合う者よ、契約をするために出てくれ。そして、契約を結んでくれ」
すると、周りに凄い風が吹いた。
風が止むと優の目の前に銀色の髪をした美しい少女が立っていた。少女は身長が優より高く、目がきついのだが純粋そうな感じがした。
「おまえがあたしを呼んだのか」
銀色の髪をした美少女が優に笑顔で問いかけた。