第22話 マキ
優が図書館で本を探している頃、アルカディアにマキが到着した。マキはひとまず宿屋に部屋を借りてその部屋の中に入った。
「この国は思ったよりもヤバイな」
マキは部屋に入りそうそうにそんなことを呟いた。マキがそう呟いたのには理由がある、実はマキがこの国に入ってから学園の生徒に出会ったのだ、しかもそれは優勝候補のミカだったのだ。向こうにこちらの事は気がつかれなかったが、それでもこの町に優勝候補が一人いるのだ。
「とりあえず、白石優を探さないと」
マキは優を探すために宿屋から出ると目の前をアキラに良く似た男が通った、マキはその男を追いかけた。すると男は国の外に出て行った、マキも後ろから付いて行った。
それから五分ぐらい歩くと男はその場に止まった、そして後ろを向いたのだがそこは霧の中だからマキの姿は見えないはずだった。
「俺の後ろについて来ているんだろう、ナンバーのマキ殿」
男はマキに向かって言ったのだ、霧で周りが見えないのにもかかわらずだ。マキはその男をアキラだと確信した。マキは急いで一本の光る槍を取り出した。
「俺みたいな弱い人間に護世八方天の最強の武神の槍を出すとは、少しは手加減をして欲しいもんだけどな」
アキラはそんなことを言っているが顔は笑っていた。
「この槍ぐらいで何を言っているんだ、原始の魔王よ」
その言葉をスタートに戦いが始まった。
マキは槍、アキラは一本の剣で勝負した。
アキラとマキはお互いの技と技をぶつけあわせたのだがお互いびくりとも動かなかった。マキは何度も槍でアキラを狙ったのだが全てアキラに塞がれた。
マキは自分の考えが甘かったと思った、自分の武器だったらアキラでも倒せると考えていたからだ。だが、結果は相討ちだった。
しかもアキラの方は全然力を入れってなかったことにマキは気がついている、アキラはマキに本気を一切出していないのだ。
マキはアキラから一度離れた。アキラには今までの攻撃は効かない、マキは攻撃を変えることにした。そして、マキは自分の持っている槍をアキラに向けるとマキの雰囲気が先程とは明らかに違い、濃厚な殺気を放っていた。
「これで、おしまいにさせてもらいます。原始の魔王よ」
マキはアキラに向かって槍を放った、先程よりも威力は別格で槍を放った所の周りがまるで隕石でも落下でもしたように地面が抉られて、砂煙が巻き上げていた。
実はマキの契約をしているのは護世八方天の帝釈天という神で、別名をインドラという。そしてマキが貰った恩恵がこの槍なのだ、その槍はインドラの槍という別名を持った武器なのだ。この槍にはこんな逸話が残っているのだ。この槍を持った者はどんな戦いにも勝利をすると言われているのだ。もちろん、例外もある。絶対神には聞かないからだ。だが、絶対神では無いがその槍を使った帝釈天ども敵わなかった存在が二人いる、一人目は平天大聖で、二人目は斉天大聖なのだ。
その槍がアキラに向かって放たれたのだ、マキはアキラでもこの一撃は敵わないと思った。マキは勝利を確信して、アルカディアに帰ろうとすると後ろから何か声がした。
「ふっ、さすがインドラの槍だな。だが、俺には効かないかな」
そこにはアキラは槍を片手で持っていた、アキラは地面を抉るような一撃に耐えていたのだ。
「これで、終わりかな。マキよ。俺は用事があるのでここで失礼しさせてもらうぜ」
アキラはそう言うと、マキに槍を返して目の前から消えた。
マキは槍を消すと、自分の最後の一撃がアキラに一切効かなかった事に絶望した。
マキの最後の一撃はアキラに油断をしてたわけでは無いのだ、むしろ逆で凄く警戒して放ったマキの全力の一撃だったのだ。
だが、アキラにはかすり傷ぐらいしか与えられなかったのだ。
マキはひとまずアルカディアに戻ることにして、アルカディアの方に向かって歩いていった。
だが、このときマキもアキラも予想が出来ない様な事が裏で起こりかけていたのだ。原因はマキとアキラの勝負で放ったマキの全力の一撃だったのだ。