第21話 調べごと
優が図書館に着くと驚いた、思っていたよりも本が多かったからだ。優はひとまず司書に歴史の本の場所を聞いてその場所に行くとたくさんの本が置いてあった。優は「すごい本の量」と独り言を呟いた。
とりあえず目当ての本の場所が分からないので受付の人に聞くことにした。受付に行くと三箇所あって、一箇所が全く並んでいなかった。優は一番空いている受付に行く傷だらけの戦士のような男がいた。
「すいませんが本の場所を教えて欲しいんですけど」
優は恐る恐る聞くと男は笑顔で答えた。
「はい、どんな本ですか」
「歴史や伝承の本ですね」
「それなら、六番の番号の所ですね」
「ありがとうございました」
「いいんですよ。それが私の仕事ですから」
男は見た目と違い丁寧に接待をしてくれた。優は人は見た目で判断をしてはいけないと思いながら教えてもらった番号の所まで向かった。
ちなみにこの世界の文字は僕たちの世界のひらがなに似ていたので覚えるのはそんなに難しくなかった。
優が六番の番号の所まで行くと、とりあえず近くにあった本を取って開いたのだが、その本を少し読んでみると、その本には欲しかった情報は無かった。それから優は本を取っては戻しを繰り返していたが二十五冊目に取って読んだ本に英雄の事が書かれていた。
その本は、先程のお話しが丸ごと入っていて、その解釈が入っていた。
解釈にはこう書かれていた。
なぜ、七つの国が出来たのかというと。それはこの世界を救った七人の英雄をそれぞれ称えるために国民が七つの国を作ったということらしいのだ、その英雄達のその後が何も書かれていなかった。
優は考えた。
この話には先程の物語とは明らかな矛盾があるのだ。それは、先程の話だと、七人の英雄がそれぞれ国を作り、王を決めたのだ。だか文献に書かれていたのは、英雄を称える為に国民が国を作ったということだ。
王の遺産とは多分、その矛盾と英雄が関係をしているのでは無いか、それは、きっと書かれていない物語の部分になにか意味があるのではないかと思った。
そしてら優は抜けている物語を探して始めた。
そのあと優は一時間ほど図書館にいたのだが、それ以上の情報は発見がなかったので、図書館を出て噴水の所に戻るとクルミがいた。
「クルミもう大丈夫なの」
優が心配そうにしているとクルミが肩を叩いた。
「あたいはもう平気さ、運が良かったよ」
クルミはそんなことを笑いながら言っていた、優はクルミの様子を見て安心した。
「優、あたしと少しだけ付き合ってくれない」
クルミはそう言うと顔を少し赤くして恥ずかしそうにしていた。
「いいよ、僕もクルミと一緒にいたかったしね」
優は返事を聞いてクルミは笑顔で微笑んだ、それを見た優は心を高めた。
優とクルミが歩いていると、周りから優達の事を言っている声が聞こえた。優が恥ずかしそうにしていると、クルミから「平気だよ」という声が聞こえた。
二人が歩いていると時計塔が見えた、時計塔に近づくと思ったより巨大だった。
「実はこの時計塔はアルカディアの名物なんだよ。綺麗だよね」
優はクルミの言葉を聞きながら時計塔を見ていた。優は「たしかに綺麗だね」と呟いた。それを聞いたクルミは笑顔で時計塔を優と二人で見た。
「じゃあ、そろそろ戻ろうか。噴水の所まで競争だ」
クルミはそう言うと走り出した。優もため息を少し付いてクルミの後を走って追いかけた。
噴水の所に着くと、クルミはもちろんのことロキも一緒にいた。
「優くんはなんか情報見つかったの」
ロキは優が図書館でなにか見つけたのか聞いたが優は少し落ち込んだ。それを見ていたロキは優が探している物が載っている本が見つからなかったことに気がついた。
三人はそれから宿に戻っていた。