第15話 王
優とクルミはひとまずロキに報告をするために図書室に向かった。ロキはいつも図書室で一人本を読んでいるのだ。
どうも、七人の支配者と呼ばれている七人はそれぞれ気に入っている教室があってそこにいつもいるらしいのだ、そのため才能の集まりと呼ばれる五組でさえもそのクラスには絶対に近づかないのだ。
図書室に行くと、予想通りロキは一人で教室を独占をしながら本を読んでいた、どうも優達が教室に入ったのにも気がついてなかった。
「ロキさん、今いいですか」
優はロキに聞いたのだがロキはやはり本に集中をしてるらしく返事が返ってこない。
「ロキさん」
優は今度はロキの肩を叩きながら言った、するとロキはこちらに目を睨ましてきた。
「なんだ優さんじゃないの。どうしたの」
ロキは優の顔を見ると睨むのをやめて笑顔で微笑んだ。
「ロキさん僕の事をさん付けで呼ぶのをやめてくれる、さすがに年上にさん付けは恥ずかしいよ」
「それなら私の事もさん付けじゃなくて普通にロキって呼んでね」
優は顔を赤くした。
「さすがに恥ずかしいですから、ロキ先輩でもいいですか」
優は真っ赤な顔で言った、するとロキは少し不満な顔をしたがしょうがなさそうにしていた。
「今回はね、それでも許してあげる。それで優くんはどうしたのそこに高貴な金髪な鬼さんを連れて」
ロキは笑顔をしていたのだがその顔を見ていると少しだが怖かった。
「金髪の鬼って誰ですか」
優はおそるおそる聞いた。
「そこに立っているクルミのことだよ。クルミは私と同じでこの学校で七人の支配者って呼ばれているんだよ。その通称が金髪の魔女だよ。学園順位が第三位だっけ」
優は驚いたまさかクルミが七人の支配者の一人とは思っていなかったのだ、確かにクルミは強いと思ったのだが、まさか支配者の一人とは考えていなかった。そういえばクルミは六組のことや学園長の切り札の事を知っていたのも納得ができた。
一瞬空気が変わったのだが優は口に出した。
「じつはクルミをチームに入れたんです。どうしても僕はこの試合で誰にも怪我をさせたくないんです」
ロキは優の意見を聞いた、すると少し呆れた顔をしたがすぐに元に戻した。
「しょうがないなぁ、優くんが決めたんなら私は反対をしないよ。クルミなら他の生徒よりも信頼はできるしね」
ロキは実はクルミの事を気に入っているのだ。彼女らは去年似た環境だったのだ、クルミは学園長の妹としてこの学園に入学をした。秋の大会で彼女は優勝候補を叩きのめし優勝をした。だがその力を誰もが恐れた。彼女の仲間にも恐れられた。そして、彼女の周りから人はいなくなった。その光景はロキにそっくりだったのだ。
だが、ロキは静かにしていた生活をしていたが、クルミは逆に力を振るった、そしてお互い恐怖の対象にされていたのだ、だが彼女らはお互いを凄いと感じていた、そしてシンパシーを感じていたのだ。過去に力を使いきって次の試合に出られなくって周りから友達がいなくなった少女と過去に全力でやって優勝をしたのだが周りから友達がいなくなった少女、彼女らは違うように見えて実は一人で寂しかったのだ。
だからロキはクルミをチームに入れるのを許可をした。前のロキのように優に救われたのだようから。
ロキは優を凄いと感じた、それは力も知力も使わなく人の心に入りその人を救うのだから。そしてそういう人間は人の信頼を何よりも持っていて、人をまとめることができる、そういう人間を人はこういう、王。