第10話 情報
放送がながれた三日後の朝のことだった、優はエリに校舎の奥の部屋に呼ばれた。部屋の中に入ると黒髪の少年と青髪の少女が椅子に腰を掛けていた。
「トルチェ、君の言うとおり白石優を連れてきたぞ」
エリがそう言うと青髪の少女が立ち上がりこっちのほうにきた。少女はエリより少し背が低いのだが雰囲気が凄かった。
「君が白石くんだね、ボクは白石くんと同じ一年のリカ・トルチェだよ。白石くんをボクのチームに誘いたくてね、エリくんにこの部屋に呼んでもらったんだよ」
リカは少し笑いながら優に挨拶をしたのだが、その顔はなぜか裏がありそうな感じがした。
「そうです。僕が白石優です」
優は警戒しながらリカと黒髪の少年に挨拶をした。すると黒髪の少年は立ち上がり部屋から出て行った。
「今のはアキラくんだよ、白石くんと同じでチームに誘っていたんだけど。どうやらダメみたいだね。それで、白石くんはボクとエリちゃんのチームに入らないかね。でもチームに入って欲しいのは白石くん一人だけだから、漆黒の少女には抜けてもらえるかな」
「僕は入りません」
優はリカに向かって言った、するとリカはさらに笑顔になった。
「そう言うと思ったよ。ボクはもう白石くんを誘わないよ。なぜなら、白石くんのチームと本気で戦ってみたくなっちゃったからね」
リカの言葉にエリは本気で驚いた、なぜならリカはエリが優の話を話してから絶対にチームに入れてみせると言っていたからだ、それなのにリカは優の一言を聞くとあっさりと納得をしたからだ。
「それじゃあ、僕は帰ってもいいですか。今日はこれから用事があるので」
「いいけど、もう一つ良いことを教えてあげるよ。ここ最近、五組の校舎の屋上で人がいるらしいよ。それもここの生徒ではないらしいよ」
リカは優にそんな噂を話した。優はそれが平天が言ってた彼女の義妹の一人かもしれないと思った。
「ありがとう、トルチェ」
「いいよこんな事。ボクは強い白石くんと戦ってみたいんだよ」
リカは最後の方を強調するように言った。
「じゃあ、さようなら」
優は部屋から出ると平天が立っていた。
「優これから屋上に行くんだろ」
平天は優に聞いた、すると優は首を縦に振った。
「あたしもいくぜ」
優と平天は屋上に向かった。
そのころ部屋では、
「なんで、白石優をチームに入れなかったんだね」
エリは先程の疑問を聞いた、質問中もずっとリカは笑顔でいた。
「なぜって、ボクは元々断られるのを予想していたよ。それでもボクは一度誘ってみた、もしかしたら承諾をしてくれるかもしれないからね、でも白石くんは断ってくれた。ボクは嬉しかった、予想通りの子でね。そして、ボクは絶対に彼と戦ってみたいと思った」
リカは笑顔だが真剣な声で言ってきた。エリはリカの真剣な声にただ頷いた。
「もう一つ聞いてもいいかな」
「なんだい、なんでも答えてみせるよ」
「なぜ、先程の噂を教えた」
エリは不思議そうに聞いた。
「そんなの、決まっているよ。白石くんが屋上にいるあの王と契約を結んだら戦いが面白くなるよね」
リカは終始笑顔で話していた。