第9話 事件
それはこんなニュースだ。
ロキと優がチームを組んだ日の夜。
学園で五番目に強い少年が何者かに倒されたのだった。少年を発見したのは偶然通りかけた先生だったらしい。その日に学園の先生達で会議をして、次の日の正午に放送で全校に報告されたのだった。だが、襲われた少年には不思議な事があった。それは倒した相手が分からないことだった。
普通の生徒だったら学園の支配者の一人を倒したのだから奪ったバッジを付けて支配者の後を継ぐのだが、誰一人バッジを付けなかった。
教師も生徒達もこの事件のため、次の被害者が自分ではないかと恐れた。
ミカは一刻も早く犯人の生徒を探すため、この学園で信頼をしていて実力者を三人である、ロキとフーベンと学園で三番目に強い、金色の鬼とよばれる少女を手紙で呼んだ。
ロキが学園室に来ると、すでにミカと金髪の少女がいた。
金髪の少女の名前はクルミ・フール、ミカの血の繋がった妹だ。ロキと同じ年齢で、去年はロキとクルミは不吉の象徴とされた。
体格は、ミカとは違い、背も高く、胸も大きかった。
そして、力は学園で三番目に強く、周りから金髪の鬼と呼ばれていた。
「ロキちゃんも呼ばれていたのかよ」
クルミは純粋な笑顔で楽しそうにしていた。
「そうですわね、私はクルミが来ることが大体わかっていましたよ」
ロキも笑顔をしていた。
「あたいも予想はついてたよ、あたい一人なハズがないってことは」
ロキの言葉を聞き、慌てながらクルミも言った。
するとドアの方で大きな笑い声がした、ロキとクルミはドアの方を向いた。
そこにはフーベンが笑いながら立っていた。
「クルミもロキも楽しい劇をありがとう」
フーは笑顔でクルミとロキに言った。二人は顔を真っ赤にしていた。
「フーベンくんも来たことだし、話しを始めてもいいかな」
ミカは三人に聞こえる声で聞くと、クルミは言った。
「どうせ、シルクの馬鹿が誰かにやられた事件だろう。その事件の犯人を捜して欲しいんでしょう。この学校で信用が出来るのは三人だけだし」
「間違っているよ、私がこの学校で信用が出来る人物は君達を含める三人ともう一人いて合わせて四人もいるんだよ。それに、犯人も分かっているしね」
ミカの言葉にクルミは驚いた。クルミはてっきりこの事件の犯人を自分を含めた三人で見つけて捕まえることだと思っていたからだ。
「犯人は誰なんです。この学校でシルクを倒せる人間なんて数人しかいませんよ」
ロキはミカに聞いた。
「そのとおりだよ、ロキの言うとおり、この学校でシルクを倒せる人物なんて、私は特例を抜かせて、君達を含めてた六人しか知らない。実は私は君達以外三人が犯人じゃないかなと疑っているの、もしもその場合犯人の目的は最後の対抗戦だと思うのよ。だから、私は四つの対抗戦を中止にして、最後の対抗戦にしようと考えているのよ、私は君達三人に大会に勝利をしてもらいたいのよ。王の世界の勝利をね」
ミカは三人に真剣な口調で言った。その場の空気が全て変わった。
「あたいは賛成だね、一人で優勝してみせる」
クルミは自身満々に言った。
「私は反対かな。あの大会は七人チームの大会だよ、たぶん大会が目的なら犯人は七人だろうからね」
フーベンは慎重な意見を出した。
「私は賛成です。去年の私だったら反対をしていたでしょう、だが今の私には頼もしい仲間がいるから大丈夫です。私は彼と一緒なら優勝をしてみせます」
ロキは笑顔で言った。フーベンはロキの意見を聞くと「私もやってみたくなりました。賛成に変えます」と言った。
「ありがとう」
ミカは三人に頭を下げた。
次の日の朝、放送でミカは全校の生徒に宣言した。
「今年の竜の舞、神の謎、妖精の園、魔王の遊びを中止させてもらいます。そして、王の世界を開始させてもらいます。ルールは七人チームで神の謎と妖精の園と魔王の遊びが混ざった対抗戦です。全員参加で期間は来週から一年、チームは対抗戦が開始以降でも組めます。チームを組むには対抗戦開始直前に配られるブレスレット同士を合わせ、合言葉を言えば結べます。合言葉はチームごとに違います、一人の人は合言葉は無く、好きな人とチームを結んでください。チームを抜けるときはブレスレットのほうの腕を上げて解散と言うと抜けられます、その時は放送で皆さんに報告させていただきます。詳しいルールは開始直前に紙を渡しますので、それを見てください。それでは、皆さん頑張ってください。これにて、放送は終了させてもらいます」
放送は終わった。