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お嬢様口調を心がけたんですが思いの外難しく、若干変に思われるかもしれません。
Q.じゃあなんでそんなキャラにしたんだ
A.ノリで
「へぇー、じゃあローリエのお父さんは騎士団の隊長さんで、オレガノさんのお父さんとは上司と部下の関係だったのね」
「ええ。ですから身分は違えど彼の妹とは昔からの仲なのですわ。あとついでにオレガノとも」
ローリエとオレガノの関係を楽しそうに聞くアニス。相手が女性なら簡単に打ち解けられるようだ。
「ふーん…貴族様でも平民の人と仲良くする人もいるのね」
「確かに貴族は総じて気位が高い傾向にありますが、そういう人ばかりじゃありませんわよ?
私の場合も父がそういうのを嫌う人でしたので身分の違いなど気にしませんし」
「それでオレガノさんが心配で選抜メンバーに立候補したんだよね?さっきもあんな怖そうな人達相手に1人で立ち向かうし」
「そ、そういうんじゃないですわ!こ、こんなやつのためなんかじゃ…!」
「かっこいいなぁー…私もローリエさんみたいになりたい!」
「べ、別に目標にするほどじゃありませんわよ…」
曇りのない眼で誉めちぎられてローリエの勢いが弱くなる。
ちなみにアニスよりローリエの方が年下らしい。
「へー、オレガノって妹いるんだ!」
「まあな」
変なところで反応を見せるクローブ。今日も絶好調なようだ。
情報交換を済ませた一行は、男性陣と女性陣に分かれて話が弾んでいるみたいだ。
「あ、じゃあ『紫電の光』の人たちは貴族さんなのかな?あんなだし…」
「あれはまた別物でしょ…」
「でも確かにあの傲慢な感じは貴族っぽいわねぇ」
「ふん!あれを貴族だなんて、冗談じゃありませんわ!貴族には傲慢な方もいらっしゃいますが、みな貴族としての誇りを忘れたりはしません!あんな自分から突っかかってくる輩など!」
「うんうん。なんか嫌な感じの人達だったよねー。だからそれに立ち向かうローリエさんはやっぱりすごいよ!私の憧れだよー…」
「あらあら、懐かれちゃったわねぇ」
「も、もうっ!だからやめなさいってば…とりあえず、さん付けはやめてください。私の方が年下なんだから」
「じゃあローリエちゃんで!」
「う、うん…」
ローリエは終始顔を真っ赤にさせて恥らっている。アニス、なかなかやる子かもしれない。
一方その頃オレガノ達は。
「そっかーオレガノも妹がいたのかー…どんな子なの?」
「とてもいい子だ。塔から帰ってくると凄く嬉しそうでよく身の回りの世話をしてくれる。この前だって一緒に買い物に行くだけなのにすご」
長くなりそうなので要約すると、『シナモン超可愛い』である。
いつもは口数がすくないオレガノだが妹のことになると饒舌になるようだ。
「…だからシナモンは健気で可愛い俺の自慢の妹だ」
「ふーん。でも世界で一番可愛いのは俺の妹だがな!」
「………聞き捨てならんな。俺の妹の方が可愛いに決まっているだろう」
「ああん?今何か言ったか?」
和気藹々と妹の話をしていたかと思うと急に険悪な雰囲気になる2人。
両者とも火花を散らすかのように睨み合っている。全く意味が分からない。
「あらあらまあ、仲がいいのねぇ」
「仲がいいって言うのかな、これ…?」
「ちょっと、あんたらなに喧嘩してんのよ…」
「まったく、どうせ妹のことで何かあったんでしょ?ほんと馬鹿なんだから…」
2人の様子がおかしいことに気付いた女性陣が間に割って入る。いや、割って入っていったのはサフランとローリエだけであとの2人は傍観に徹するみたいだ。
「あっ、サフラン聞いてくれよー。こいつサフランよりも可愛い子がいるって言うんだぜー?
しかもそれって自分の妹のことだってさ。片腹痛いよねー」
「あんたそれおもいっきり自分にも当てはまってるからね…」
「ローリエなら分かるだろう。どうだ、俺の妹の方が可愛いだろう?」
「はあ?俺の妹の方が可愛いっつってんだろ!」
「いい加減にしろっ!」
「「ふべっ!」」
馬鹿2人にグーで突っ込むサフラン。その頬が朱に染められているのはご愛嬌というところだろう。
「そうですわよ。あなた達、わけの分からないところで言い合うのはやめなさい!
サフランにはサフランのいいところがありますし、シナモンにはシナモンの魅力があるんです。
どちらがなんて論じること自体がおかしいですわよ!」
「だがな…」
「こいつが最初に難癖つけてきたのに…」
「ぐちぐち言わない!はい正座!」
「「はい」」
オレガノとクローブを正座させ説教を続けるサフランとローリエ。
彼女達は出会って間もないというのにここまで息のあった連携を取ることができたのは、馬鹿2人が馬鹿だったからに違いない。
2人のお陰でサフランとローリエに強い絆が結ばれたのも事実だろう。馬鹿も馬鹿にできないものである。
「うふふ、皆仲良くなって素敵ねぇ」
「2人とも残念過ぎです…」
対岸の火事とばかりに傍観を決め込むアニスとエシャロット。
クローブがすがるような目を向けているのは見なかったことにしたみたいだ。




