七話
「えっ」
普通に水憐の上に右手が載ってしまった。
水憐の頬がみるみる内に赤くなる。
助けを求めるように、玖瑠葉の方を見る。
羨ましそうにこちらを見ていた。
だが、僕と視線が合うとまた、何か連絡を始めた。
ここは手を離すべきか。本当にシステムの故障じゃない事を知るために、別の場所を触るか。
いや、待てよ。ここは恥ずかしがっているんだから触るのやめてあげるか。
うっん。何で恥ずかしがっているんだ。
こんな表情無かったはずだぞ。
「第五軍から報告、島陰を北部の北端に移動したところ発見したそうです」
「水憐、第六軍を使用し偵察を」
「…はっ!!それと」
「なに?」
「第七軍からの報告で、水中の植生が少し変化していたようです」
これは此処だけのイベントなのか?
頭の隅が凄い警鐘が鳴っている。
異世界に跳ばされたのでは無いかと。
「本当、閣下も無謀なことしますね。こんな小数の新兵で制圧作戦を展開するなんて」
「閣下に無礼だぞ、雛鬼。多分ここの領地は棄てる予定だったんだよ」
有角科の長官の言っている事は最もである。
今まで一度も島に跳ばされたことは無いのだから。
「長官として、今回はどう思いますか?」
美しい顔を少し歪めた後。
「成るようになるさ」
楽天的な答えでした。
副官の軽鬼科の少年。改め雛鬼は今日も歴史にを作ろうと頑張っています。