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お兄ちゃんあれ何?

作者: 平城心の鹿
掲載日:2026/08/25

 ぐぅ。ぎゅるる。

 今日はお父さんとお母さんは用事で家にいない。僕とお兄ちゃんと2人きり。


「お腹減った。」


 僕がそう言うと、お兄ちゃんは呆れた。


「引き出しにラーメンあるんだから、それでどうにかしたら?」


「ないよ。」


「は?あるだろ。よく見たら?」


 そう言われてもないよ。引き出し全開にしたけど、あるのはインスタント味噌汁くらいしかない。こんなので、育ち盛りの僕の腹を満たせるわけない。


「米は?」


「ないよ。あるわけないでしょ。」


 そう言われて、お兄ちゃんは額に手を押し付けた。


「じゃあどうすんの?」


 お兄ちゃんが鞄をゴソゴソしてる。覗きに行ったら「覗くな。」と言われた。


「何してるのお兄ちゃん。」


 訊いた瞬間、お兄ちゃんはずいっと何かを出してきた。財布?


「買いに行くぞ。お小遣いはある。」


 鍵締め確認して、いつものスーパーに行く。


「そういえば、ウィンナーと卵あったっけ?」


「……ついでに買っとくか。」


「いらっしゃいませー。」


「思ったより、レジとか空いてるね。」


「さっさとラーメン選ぼうぜ。」


 カップ麺が陳列されている棚に行くと、灰色の人間がいた。服とか髪色が灰色、じゃなくて、肌の色も全部灰色。


「お、お兄ちゃ─」


 口を人差し指で閉じさせられた。


「とりあえず、味、どれがいい?」


 お兄ちゃんがカップ麺を指さす。


「僕、はぁ、えっと、魚介のこれがいい。」


 そう言うと、お兄ちゃんは乱暴にそのラーメンを2つ掴んでレジの方に走った。


「お兄ちゃん速くない!?」


 セルフレジの前に立つと、ぎょっとした。


「現金対応してない……!?」


 後ろを振り返ると、なぜか全部のレジが休止中でセルフレジしか動いてない。どうするの、どうするのと震えてると、お兄ちゃんはスマホを取り出した。セルフレジを操作して、ラーメンのバーコードをスキャンする。


「ありがとうございましたー。」


 と、女性の機械音声がする。袋にカップ麵を入れていると、横に既にさっきの灰色の人間がいた。でも、様子がおかしい。セルフレジの前でカップ麵を抱えて、画面の前でフリーズしてる。じぃっと見てると、お兄ちゃんに引きずられそうになる。

 灰色の人間がこっちを見た。近づいてきて、初めてめちゃくちゃ怖くなった。


「あの……どうやって使うんですかこれ。」


 え?お兄ちゃんも突然のことにびっくりしたみたいだった。


「え、ええっと、スマホとかICカードってありますか?」


 僕がそう訊くと、首を傾げてしまった。


「知らないみたい……?」


 お兄ちゃんが僕の前に出て、灰色の人間からカップ麵を雑に奪って、バーコードをスキャンした。それからスマホで支払った。灰色の人間はポツンとセルフレジの前で立っていた。

 入口を出た瞬間、また機械音声が聞こえた。

 

「ありがとうございましたー。」


 家に帰って、僕はお兄ちゃんと買ってきたラーメンを食べてた。


「あれ、何だろうね。」


「わかんない。」


「何か怖かったけど、変だったね。」


「うん。」


 ラーメンをずずずと啜りながら食べてると、お母さんとお父さんが帰ってきた。


「おかえりー。」


「ただいま。」


 僕は気になってたことを訊いた。


「ねえ、スーパーで灰色の人間見たんだけど。」


 そう言うと、へぇと特段興味なさそうにお母さんが返事した。


「あれ何?」


 お兄ちゃんが訊くと、お母さんが答えた。


「うん?あれはお母さんもよくわかんないけど、お父さんのお母さんが言うには、時々人間の食べてるものに興味持って、スーパージャックして食べようとする、お茶目な変なのらしいわ。」


「何それ怖い。」


「でも、何もしないし、セルフレジで困惑してるだけなのよね。現金が使えないと困るみたい。スーパージャックしちゃうと、店員さんもいないらしいし。」


 あれからもう一回スーパーに行く用事があったけど、桃色の髪の毛の警察官になぜか灰色の人間は首根っこ掴まれてた。

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