視聴覚室へ行く
「次は英語だけど、視聴覚室に行くんだよな?」
俺が話しかけると、彼女がうなずく。
「そう。行こう」
彼女がテキストとノートを持ち、先に進む。
俺も胸にテキストとノートを抱え、移動するのだが、
途中の階段であることに気づく。
「STOP!!」
思わず止めると、彼女が「え?」と振り向いてくる。
窓から差し込む光に照らされ、その美しさに、俺は顔を赤くし、階段を上り、教えてやる。
「あの、その、スカートが」
「スカート? 何かついてる?」
彼女は嫌そうな顔をして、スカートを見たり、裾を払ったりするが、別に何ともないと知ったのか、安堵する。
しかし彼女の横に立った俺は、口に手を当て、小さく注意する。
「これからはスカートのお尻の部分に手を当てて、上れ。その、ショーツが見えるか、見えないかなんだよ。かろうじて、太腿が見えたとしても、俺的には嫌だから」
俺の指摘に、彼女は初めて気づいたようで、長いまつ毛の瞼をぱちくりさせる。
急に恥ずかしくなったのか、彼女は顔を真っ赤にし、言う。
「その…教えてくれて、ありがとう」
「どういたしまして。行こう」
俺の柔らかな声につられ、彼女はスカートを押さえながら上っていく。
階段を全て上り終えると、皆が先生が来るのを待っていた。
「騒がしくしないの。今、開けるから!!」
先生がやって来て、視聴覚室の部屋が開く。
俺と彼女は皆に続き、指示を持つ。
先生は真正面のスクリーンがあるところに向かうと、
「好きな場所に座りなさい。今日は映画を見ようと思うので」
その言葉の後、キャーとか、やった、とか、皆、はしゃいだ声を出した。
俺と彼女も向かい合い、後ろ側の席に座る。
席は2人1組で、モニターが真ん中にあるのだった。
チキストなどを机の上に置くと、彼女がこっそり手を繋いでくる。
どうしたという意味で、手を擦ると、小声でそっと言われる。
「どこか抜けている私だけど、これからも気づいたら教えてね」
「おう。当たり前だろう? 俺が彼氏なんだし。気づいたら、直せばいいだけの話だ」
「うん。…映画が楽しみだね」
彼女が机に肘をつくと、室内が暗くなった。
彼女が手を離そうとするのを、俺は素早く止め、絡ませる。
彼女がこちらを見てきたが、俺は肘をつき、頬に手を当て、モニターを見つめる。
彼女はしばし見つめていたが、ぎゅっと握りしめてくると、一緒にモニターを見る。
「楽しみだね」
「そうだな」
俺がうなずくと、モニターに映画が流れ始める。
誰もが知っている名作で、俺も内容は覚えていたが、周りの暗さにわくわくしていた。
まるで映画館でデートしているみたいだ。
そう思い、1人で悦に入ると、モニターを眺めるのだった。




