第9話 とりあえず、職員室に来てくれる?
そんな空気の中、さらにレフィリー先生は真剣な表情で言葉を続けていく。
「でも、しばらくは私達が周囲を監視しておくから心配しないで。寮の方にも理事長が施した魔法が掛かっているし、外部からの攻撃はないと思って安心してくれて良いわ。まったく、入学式初日からこんなことになるなんて……」
いや、ほんとすいません、うちの師匠のせいで。
今すぐに師匠に謝らせたいところだが、残念ながら俺にはあの師匠を従わせられるほどの度胸はない。それはミューイに任せよう、うん。だって、師匠強いんだもん。
とにかく、この件は後で姉弟子にも話すとして、今は知らないフリをしてやり過ごさないと……。
「長くなったわね。とりあえず、今日はこの後に資料をいくつか渡して解散するから。明日からは誇り高い『ドゥーン魔法学校』の生徒として、厳しい勉強に取り組んでもらうわ。良いわね?」
うへぇ……厳しい勉強とか勘弁して欲しい。
そんな俺の心境をよそに、レフィリー先生から学校の資料を渡され、間もなく解散の合図がされた。
◇
「―疲れた」
色々あったものの、どうにか入学初日を終えることが出来た。ホームルームを終え、真っ先に机に突っ伏しながら俺はそう口にするのが精一杯だった。
生徒に登録されてないとか疑われるわ、魔物が結界にぶつかるわ、隣の女子が理事長の娘だわ……怒涛の出来事が連続して続き過ぎてマジで疲れたよ。
俺が師匠のことを恨むようにそう声を上げると、隣に居たイサリナが何やら口を開こうとしていることに気付く。しかし、そんな中、レフィリー先生が俺のところまで歩いてくると、厳しめな様子で声を掛けて来た。
「レクト・ユーフィーンくん……だったわよね?」
「あ、はい、そうですけど……」
何? やっぱ俺、入学届受理されてなかったの?
いや、でも、さっき資料ちゃんと渡されてたし……。
そうして、真剣な表情で俺に迫るレフィリー先生に怯んでいると、レフィリー先生は何やら頭を抱えるような様子で声を上げた。
「ごめんなさい、ちゃんとあなたの入学届けは出されていたわ。だから、明日から普通に登校して来て良いから」
「よ、良かった……」
心臓に悪いよ、ほんと……。
そんな俺の反応を見た後、レフィリー先生は困惑した表情を見せながら、俺にあることを告げて来た。それは―
「それで悪いんだけど、とりあえず職員室に来てくれる?」
「…………はい?」
―入学初日から職員室に連行されるという、不良生徒まっしぐらなものだった。




