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第31話 理事長の娘姉妹②

「それにしても、ミューイ。さっき師匠が何か言い掛けてたみたいだけど、俺がなんだって?」

「……何でもない」

「いや、何でもないって……」

「別に何でも良いでしょ。それより、レアリアさん、こんにちは」

「ええ、こんにちは、ミューイ。半年ぶりくらいね」


 レアリア先輩は赤くしていた顔を戻しながらそう言うと、ミューイも笑顔を返す。イサリナの時もそうだけど、ミューイってこんな風に笑うんだな。


 そんな風に俺が感心している中、ミューイはレアリア先輩とイサリナと楽しそうに話に興じていた。


「うん。ただ、私も生徒会に立候補するつもりだから、もし入れたら一緒に仕事ができるよ」

「え? それは嬉しいわ。イサリナも入る予定だから、もし生徒会に入れたら楽しくなりそうね」

「はい! ミューちゃん、一緒によろしくね」

「うん、よろしく」

「あ、でも、生徒会に関係なく同じ学校に通うようになったんだし、ミューイもいつでも遊びに誘ってくれて良いからね」

「そっか。うん、分かった」


 なるほど……何というか、ミューイもイサリナと同じで、レアリア先輩に憧れてる感じがするな。レアリア先輩と話す時の笑顔が何というか柔らかいから分かる。


 そんな三人に微笑ましくなっていると、ふとレアリア先輩がミューイに恥ずかしそうに声を向けていた。


「ところで……その、そっちの人がミューイと一緒に修行してたレクトさん?」

「え? あ、うん。そうだよ」

「そうなのね……あの、レクトさん。さっきイサリナから私が倒れた時にここまで運んできてくれたって聞いたんですけど……」

「え? あ、はい。悪いかなとは思ったんですけど、さすがにあのまま寝かせておくにはいきませんでしたし、あ、でも、嫌な思いをさせたらすいませんでした」

「あ、いえ、そういうわけではなくて……その……重かったりしなかったかな、と……」

「全然そんなことありませんでしたよ? むしろ、軽くて驚きましたから」

「そ、そうでしたか……あ、すいません。お礼を言い忘れていました。ありがとうございます」

「いえいえ、万が一怪我なんてさせたら大変ですから」


 主に俺が理事長達に何をされるか分からないという意味で、だが。

 そんな俺を何やら見えてくるミューイ達に首を傾げていると、いつの間にかミューイの水魔法から抜け出した師匠が声を返してくる。


「しっかし、レアリアの嬢ちゃんとも仲良くなってるたぁ、おめぇが人付き合いに積極的で安心したぜ」

「うわ、もう復帰したのかよ、師匠……」

「ああん? あれくらいでダウンしてたら、俺はうちのもんにとっくに殺されてるっての。がははははっ!」

「……否定できないところが悲しいな。ところで、師匠。なんで、顧問なんて引き受けたんだよ? そもそも、学校に行くことにすら反対してたのに……」

「そらお前、ミューイが心配だからに決まってるだろうが。可愛い娘が上京するなんざ、親として居ても立っても居られねぇからな。おっと、もちろん、おめぇのことも一応心配してるんだぜ?」

「いや別に、そんな取って付けて言われても……」

「だが、ロッくんにこの話を持ち掛けて承諾してくれたのは本当に助かった。何せ、大陸一と名高いあのロッソ・イゾットが顧問となるのだ。生徒達の士気を高めるのは間違いないだろう」

「よせやい、アンちゃん。そんことを言ったら俺と同じくらい有名なアンちゃんの学校だってことで大陸中から生徒が集まってるんじゃねぇか。そんなアンちゃんの面子を潰さねぇよう、俺もしっかりと顧問ってのをやらせてもらうぜ」

「ふっ……やはり、ロッくんは優しいな」

「な~に言ってるんだ、うちの娘を学校に入れさせてくれたアンちゃんほどじゃねぇよ」

「いや、ロッくんほどでは―」

「いやいや、アンちゃんほどじゃ―」

「……あの~、すんません。話を続けてもらって良いっすかね?」


 謎の譲り合いをし始める大人二人のやり取りに、俺がため息を吐きながらそう言うと、娘達も苦笑いで同意したのだった。

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