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第27話 誰か助けてくれ…

「んで? どうなんだよ、レクト」

「どうってなんの話だよ?」


 ミューイから睨まれながらもピンピンしている師匠に疲れた俺が飲み物を傾けながらそう答えると、師匠はまたとんでもないことを聞いてきやがった。


「ああん? そりゃおめぇ、ミューイとイサリナの嬢ちゃん、それとあの偉そうなおめぇの先輩の嬢ちゃんの誰を嫁に取るかって話に決まってんだろ?」

「ぶふぅ!?」


 本当にまたとんでもないことを言われ、俺は口から飲み物を吹き出してしまう。すると、顔を真っ赤にしながら俺以上に慌てた様子でミューイとイサリナが師匠に抗議の声を向けていた。


「お、お父さん、何言ってるの!?」

「お、おじ様……あ、あの、ま、まだ心の準備が出来ていないので……そ、その……」

「そうだよ!? いくら昼間から酒飲んでるからって、さっきから変なことばっかり言うからミューイもイサリナも困ってるじゃねぇか!」

「あぁ? 変なことだあ? なあ、アンちゃん。今、俺なんか変なこと言ったか?」

「いや? ロッくんは先に説明した通り、レクトくんが誰と結婚するか聞いただけだ。特におかしなことは言ってないはずだが」


「だよな~」

「いや、それがおかしいって言ってるんですけど!? っていうか、理事長もなに平然と自分の娘を嫁に出すこと前提で話を進めてんスか!? あんたの大事な娘がどこの馬の骨とも知れない男に嫁ぐなんて理事長も嫌じゃないんですか!?」

「なに、君の人となりは少し話しているうちによく分かった。性格にも問題は見受けられないし、見どころもある。君になら娘を預けても良いと思っているよ」

「たった数時間のうちにどんだけ理事長の信頼を得てたんですか、俺!?」

「それに、それ以外にも君のことはよく聞いていたからな」


「え? 俺のことを……ですか? 一体、どうやって―」

「もちろん、ロッくんとの交換日記だ」

「でしょうねぇ!? このご時世に男同士で交換日記してるだけでもアレなのに、気付かないうちに俺のこと書かれてたとか、もうどう反応すりゃ良いか分からないですよ、俺!」

「あぁ? なんだ、おめぇも交換日記の中身を知りたかったのか? がはははっ! だったら、最初からそう言えば良いじゃねぇか! おめぇなら一緒に交換日記してやっても良いからよ! なあ、アンちゃん?」

「もちろんだ。交換日記を通じて、将来の父としてやり取りをしておくのも良いかもしれないな」

「そういうことじゃねえええええ!」


 そう叫ぶ俺を師匠と理事長が肩をすくめながら顔を見合わせていた。え? なに? その俺の方が変みたいな反応? とんでもないことを言ってるのは二人の方なんだけど?


 どうやら、ここに常識のある大人は居ないみたいだ。ミューイとイサリナは顔を真っ赤にして黙り込んでるし、誰か助けてくれ……。


 そう思いながら、俺は酒の勢いを強めた父親二人から現実逃避するように視線を天井へと向けたのだった―。

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