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第24話 まったく、相変わらず師匠もお騒がせな人だな~

 そして、その中には呆然と立ったまま俺の手を見つめていたラングース先輩も混ざっていた。すると、ラングース先輩とその取り巻きの先輩達は、理事長と師匠を交互に見た後、驚いたまま俺の方へと視線を向けてくる。


「り、理事長があれほど親しくするロッソ・イゾットという男性……ま、まさか、彼は本当にあの『伝説の魔法使い』ロッソ・イゾットだというんですの……? それに、先ほど彼はあなたを弟子と呼んでいましたわ……ということは、彼が本物だとすれば、先ほどから彼と親しくしていたあなたは、あの『伝説の魔法使い』ロッソ・イゾットの弟子ということですの……?」

「え? いや、まあ……そういうことになるん……ですかね?」


 あの師匠が『伝説の魔法使い』とか言われても全然印象ないけど。いや、でもよく考えたらさっきのラングース先輩の魔法……あれが全力だったとしたら……はは、まさかな。


 とはいえ、もし、あのレベルの魔法しか使えなかったとしたら師匠の修行に付いていけるわけもないけど……そう考えると、もしかして師匠が『伝説の魔法使い』ってのはマジなのか?


 そんな風に俺が師匠の正体について考えていると、ふとラングース先輩はこめかみを抑える。


「そ、そんな……し、しかも、あの転校生はその伝説の魔法使いの娘……? あぁ……」

「ら、ラングース様!? お、お気を確かに!」


 そして、俺とミューイを交互に見た後、声を上げながらゆっくりと倒れ込んでしまい、それを取り巻きの方々が慌てて止めていた。……難儀な。


 ラングース先輩は大袈裟ではあるものの、実際周りに集まった生徒達は往々にしてそんな反応だった。俺がラングース先輩達に同情の念を抱いていると、そんな状況に構わず師匠がいつもの調子で声を投げ掛けて来る。


「おっと、そうだそうだ。おい、レクト、ミューイ。お前らにもう一つ言い忘れたことがあったのを忘れてたんだよ!」

「……もう今更、何聞いても驚かねぇよ。師匠が『伝説の魔法使い』とやらだった時点で、それ以上に驚くことなんて世の中に無いだろうしな……」

「だーはっはっは! 違ぇねえ! まあ、こっちはもう決定事項みたいなもんだし、別に大したこたぁねぇ。イサリナの嬢ちゃんとミューイのことだ」

「イサリナとミューイのこと?」

「そうよ。ってまあ、もうアンちゃんから話は行ってるか?」

「二人が知り合いだってんだろ? さっきイサリナがミューイをあだ名で呼んでたし、師匠と理事長見れば分かるよ……」

「ん? まあ、そいつは間違いないが……アンちゃん、『あのこと』はまだこいつらに話してないのか?」


 『あのこと』? 何のこっちゃ?

 俺とミューイが師匠の言葉に疑問を抱いて顔を見合わせていると、イサリナだけが顔を真っ赤にしてオドオドと動揺した様子を見せていた。


「あ……えっと……」

「イサリナ……? 何か知ってるの?」

「みゅ、ミューちゃんは聞いてないの……?」

「聞いてないって何のこと……?」


 動揺するイサリナに声を投げ掛けるミューイだったが、イサリナは何か言葉にし掛けつつも口を開くのを躊躇してしまっていた。……そういや、俺が師匠の弟子だってクラスで話した時もこんな感じだったような?


 そんな風に俺が疑問を抱いていると、自分の娘であるイサリナの方に視線を向けた後、理事長が師匠の方に視線を向けながら


「ああ、すまない、ロッくん。私もその件を彼に伝える為に後を追って来たのだ。すでにイサリナが伝えたものだと思って、あえて私からは伝えなかったのだが……私もついさっきイサリナから『まだあのことを話してない』と聞いたばかりでな。事が事だけに、私から言うよりもイサリナから言った方が良いのではないか、という親心だったのだが、娘も照れてしまっているようだ」

「お、お父様……そのように言われては余計に伝えにくいというか……」

「ん? ああ、それもそうか。悪かったな、イサリナ」


 実の父親にイサリナは顔を真っ赤にしながらそう返していた。いや、イサリナのあの動揺の仕方……非常に気になるんだが。一体、『あのこと』って何なんだ?


 俺が理事長達の話に付いて行けずに置いてきぼりをくらっていると、そんな俺の様子を察したのか、理事長が相変わらず堅物な表情で俺を見て来る。そして―とんでもないことを口にしてきた。


「何、大したことではない。ロッくんの娘であるミューイくん、そして私の娘であるイサリナ。君にはそのどちらと結婚してもらうかをこの学校生活で選んでもらおう、とそういう話に決まっていただけの話だ」

「な~んだ、そんなことですか。まあ、師匠が『伝説の魔法使い』って話に比べれば全然驚くような話じゃないですね」


 確かに大した話じゃないな、うん。俺がほっと胸を撫でおろしていると、師匠が俺の隣まで歩いてきてバンバンと背中を叩きながら豪快に笑い声を上げる。


「だろ~? まあ、もう決まってることだし、今更言っても仕方ないんだけどな!」

「まったく、相変わらず師匠もお騒がせな人だな~」

「悪い悪い、だーはっはっは!」

「あはは―」


 まあ、師匠が『伝説の魔法使い』って話も確かに驚いたけど、こっちはそれ程驚く話じゃないな。そっか~、ミューイかイサリナと俺が結婚―


「―って、何の話だよ!?」

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