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第18話 良かったらどうぞ

 突然、声を上げたミューイとイサリナに驚いて振り返りつつも、その呼び合った一人である姉弟子、ミューイへと視線を向ける。そして、普段から父親と違ってキリッとした雰囲気しか醸し出していないミューイを見ながら俺はあまりにもイメージ違いなその呼び方を口にした。


「え、何? ミューちゃん?」

「……っ!」


 俺がそう口にした途端、顔を真っ赤にしてしまうミューイ。

 え? 何? やっぱり二人とも知り合いなの? いや、でも考えてみたら理事長と師匠が旧知の仲とか言ってたもんな……ん? 待てよ? それだと本当に師匠が大陸一の魔法使いとかいう話にならないか?


「ははは……いやいや、まさか、そんな―」


 あり得ない可能性が頭にチラついて苦笑いを浮かべるしかなかった俺だが、そんな俺に追い打ちを掛けるかのように今度はイサリナが困惑した声を投げ掛けてきた。


「やっぱり、レクトさんはミューちゃんと一緒にこの学校に来ていたんですね……。お父様から話はありましたが、本当に……それにしても、彼女はラングース・ジュリスさん……ですよね? 学校一のエリートである『ジュリス家』の方と何をなされていたんですか?」

「いやぁ、何をしたというか……空腹のあまりやらかしてしまった、と言いますか……」

「はい……?」


 そんな俺の返答に再び疑問を抱くイサリナだったが、そんなイサリナを遮るようにラングース先輩達が裏返るような声を投げ掛けてきた。


「い、今ので私を助けた、などと考えないでもらいたいですわね! 『制裁』はまだ終わっておりませんことよ!? す、すぐにあなたを―あ、あら?」


 しかし、大口を叩いたものの、どうやら腰を抜かしてしまったのは本当らしく、立ち上がろうとしても力が入らないのか、何度も腰を地面に打ち付けてしまうラングース先輩。


 この大衆の中、そんな姿を見せるなんて屈辱以外の何物でもない。もちろん、ラングース先輩がそれに傷付かないわけもなく、さっき以上に顔を真っ赤にしながら俺を睨み付けてきた。


「な、何を見ているんですの!? こ、この私を笑っているつもり!?」

「いや、そんなつもりはまったく無いんですけど……」

「嘘をおっしゃい! そう言って、心の中で高貴な私の失敗を笑っているんでしょう!? そうに違いないわ!」

「なんて酷い……」

「助けてくれたのは演技だったのかしら……」


 ラングース先輩に続いて取り巻きの二人からもそんな風な声が上がる。いや別に、そんなつもりはマジでないんだけど……。


 とはいえ、目の前で困っている人間を無視するつもりはない。俺はラングース先輩と取り巻きの二人のところまで歩いていくと、その手を差し伸べた。


「良かったらどうぞ」

「は、はい……?」

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