A6の道
イモタルは帰り道、とても考え込んでいる様子だった。
家に着くと、扉を開けてすぐに寝室へ向かう。
イモタルは自分のノート棚の前に立ち、ざっと目を通すと、一冊のノートを指先で取り出した。
そのノートを手に取り、埃を払うと表紙に浮かび上がった文字は――
「6A号線の犠牲者」。
イモタルはそれを開き、中に記された犠牲者たちの記録を読む。
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1ページ目
1908年 ― 犠牲者:キリダ・ハト、賢者。遺体は何度も刺され、粉々にされた。
2ページ目
1905年 ― 犠牲者:マクタ・ユアミ、明術師。遺体は分断され、バラバラにされた。
3ページ目
1786年 ― 犠牲者:イタ・ノラト、明術師。遺体は失われ、血だけが残った。
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イモタルはすぐにノートを閉じ、大きくため息をつく。
しばらく沈黙の後、イモタルは呟く。
「あまりにも才能がありすぎて、死ぬべきではなかった…」
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その日の夕方、イモタルは川辺に出て、一人で物思いにふけっていた。
そこへイジフトが現れ、イモタルの隣に腰を下ろす。
イジフト:
「そんなに心配することはないさ」
笑みを浮かべて続ける。
「ただの任務にすぎない」
イモタルはため息をつく。
「あなたは物事を単純に考えすぎ…そんな甘いものじゃないわ」
イジフトはイモタルにアイスを差し出す。
イモタル:
「え? なにこれ、私はこんなもの好きじゃないのに」
イジフト:
「食べてみろよ。冷たくて気分が楽になるから、さっきの話なんて忘れちまえ」
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翌日――
イモタルが本を読んでいると、
「コン、コン」と扉を叩く音がした。
イモタルが扉を開けると、そこにはイジフト、アト、ヒユタが立っていた。
イジフト:
「ちょっと一緒に来いよ」
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道を歩きながら、四人は冗談を言い合い、笑い声が絶えなかった。
しかし、イモタルの心はどこか重かった。
学校に着くと、イジフトは笑って手を振る。
「心配しなくていい、俺たちは大丈夫だ」
イモタルは立ち止まり、三人が校舎に入っていく姿をじっと見つめた。
心の中で呟く。
「こんな腐りきったシステムなのに、どうして彼らはそこに居場所を求めるのか…」
そして師フリーの言葉を思い出す。
『それが、お前が生きる意味になるのだ』
イモタルは深くため息をつく。
「はぁ…最近の私はおかしい。なんだか妙に…おかしい」