表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
95/96

進級審査終着

 生徒の模範として廊下を走ってはいけないと頭の片隅にあるが、それどころではない。

 先程の爆発音は尋常ではなかった。

 怪我ができた程度で済んでいればいいが……

 辻基は、頭が混乱でどうにかなりそうなのを必死に理性で保ち全力疾走している。


(もう直ぐ、運動場!)


 運動場に続く下駄箱を越えると見慣れた景色が見えて来る。そう思っていた。


「なッ!?!?」


 辻基が見た景色。

 クレーターが幾つもでき、生い茂っていた木々は折られ、芝生は所々剥げ、学園の敷地を覆う壁は薙ぎ倒され海が一望出来る。

 能力を解除するまではこんなにも運動場は荒れていなかった。

 能力を解除して訓練所から運動場まではおよそ五分程。

 急いで来たのなら、それより早い。五分未満、たったそれだけの僅かな時間でここまでの惨劇へ変化した。


(し、信じられない!!!)


 もしもの為に学園襲撃を想定し、壁には防護魔術を重ね掛け展開出来る設計になっている。

 運動場も、外での訓練を想定され普通では壊れないように表面は砂だがその下は巨大な岩盤となっている筈だ。


(それなのに……!?)


 驚愕が拭えない。

 この学園がどれ程丈夫で、どれ程要塞化しているのかこの身を持って知っている。


 これがたった二人の生徒達がやってみせたのか……!!


(ッ……あの二人は!?)


 ここからでは見当たらない。

 重症だった場合、大変だ。急いで見つけ出せなくては……

 走り出し、隅々まで探す。


(いた!)


 探し出してから数分で見つかった。

 二人が倒れ伏せている。

 見ている範囲では致命傷と思われる怪我はしていない。その事に胸を撫で下ろした。


 このクレーター、ヒビが入り歪が広がり落ちたら一大事だと考え近寄る。

 そこで気付いた。


 白獅が息をしていない。


(急いで心肺蘇生を……!)


 何度も心臓マッサージと人工呼吸を繰り返し、どうにか息を吹き返した。

 息をしている事を確認して、直ぐ様もう一人の生徒に近づく。


(こっちは息もしている。服が所々焦げているのは雷の所為だろうが命に関わる一撃にはならなかったらしい。どれだけ丈夫なんだ……本来は違うんだが)


 安心を越え驚嘆する。

 人間誰しもが自然には敵わない。中でも水、風、炎、雷、その四つは魔術においても強力な一撃を放つ。所謂基本属性だ。

 魔力で覆っていようがそれを切り裂き人体にダメージを与え命に関わる。


(それに関わらずコイツは白獅の魔術を水で濡らされたが生きている。……凄いな)


 その後、保険医の先生が目を覚まし駆け付けてくれた。

 治療が行われ後遺症などは見られず後は時間が解決してくれると、それぞれ経過観察が行われている。



「学園長、以上が今回の進級審査の報告です」


「ご苦労様です」


 淡々と書類を纏めながら聞いている。


「あの、学園長」


「何でしょう」


「彼は凄いです」


「そうですね」


 学園で教師をしてきたが、ここまで”凄い”生徒は初めてだ。


 強いというよりは凄い、だ。

 強さというものも確かにあるが、人知を越え得体の知れないチカラはこの世の掟を変えた。

 能力魔術、科学では越えられない可能性を人類は見出し不可能を可能にしてきた。

 人知を超えまだ見ぬ力に無限の可能性。


 我々はそれを”進化の可能性”という。


 だが未だに地球の自然に抗い、それを越える力を発見も報告もされていない。


(彼は人類初の可能性なのかもしれない……!)


「彼は将来、国の為に何か偉業を成す筈です」


「偉業、ですか」


「そうです。その為にはFクラスには置いては勿体無いです」


「それではAクラスへと進級させましょう。その為の進級審査なんですし」


「いえ、それでもまだ足りないと私は考えています」


 走らせていたペンを置き、学園長は辻基を見詰める。

 自分の考えに賛同しないという事はそれ相応の考えがある、それを瞳に宿し訴えてくる。


「この際です。Aクラスの中でも限りなく選ばれた生徒達がより高みへと登れるようなクラスを設立を提示します」



「……」


 僕が目を覚ますと、見知らぬ天井だった。

 いや、知っている。確か保健室……だったかな。医療薬品の匂いがするのかと思ったけど、窓が開いているから比較的無臭だった。


(僕は、あの後……)


 白獅の雷撃魔術を水を被った上で直撃した。余程の事がない限りダメージを通さないように魔力で覆っていたが、流石に無茶だったらしい。

 その一撃は僕の心臓に届くと思っていた。


 しかし、僕の鼓動は鳴り続けている。

 それは僕が生きている証拠だ。


 僕が覚えている限り、僕は白獅に()()()()()()()

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ