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決着

 こっちの方が動きやすい。

 広々として障害物も存在しない。学園から丸見えなのは少々難点だが、それは闘いにおいてどうでもいい事だ。


「そろそろ起きろよ、ダメージなんて殆ど無いだろ」


「……」


 アレが作用するのもさせるのももう少し後だ。

 審査も先生が能力を使って見ているはず、だからその心配も要らない。


 ……中々起きない。いつまで寝っ転がっているつもり


「っ」


 一刻、また一刻と魔力が膨れ上がる。

 さっきとは比較にならない程に膨れ上がり、学園全体を包み込む。


(これが全力か、俺より多いヤツは初めて見た)


 普段隠しているが、俺だってそれなりにある。が、アイツは桁が違う。

 大気が、地面が振動する。あまりの魔力量に空間が耐え切れていない。これじゃ教室で授業している生徒や先生の大半は失神しているかもしれない。


「ここもダメか、でもなー……」


 ここでダメなら他の人に配慮のしようがない。

 どうしようかと頭を悩ませながら白獅を見ていると、突然白獅の姿が消える。

 強化魔術による超スピード、目で追えることは可能だ。


 白獅の脚による攻撃を同じ脚で迎え撃つ。

 しかし、そこで白獅の攻撃は収まらない。一撃、二撃三撃四撃……と連撃を仕掛けてくる。

 捌けない事は無いが、威力は炎弾の比ではない。コレを槍で受けていれば間違いなく折れている。

 脚も素の状態だったら骨が折られているだろう。だがそこは魔術でカバー出来ているから問題無い。

 問題は、尋常じゃない魔力の方だ。長時間この中にいたら体中に直ぐに魔力が流れ込んで来る。


(自身の魔力は他人とは反発し合い、全身に回れば毒となる)


 そうなる前にこれから出るか、倒さないと。


「【展開】」


 その一言を合図に魔術陣が広がる。


「【重力力場】」


 ズシリと体が重くなる。血の巡りも魔力の巡りも悪い。

 重力、ならこの魔術陣が広がった範囲が過剰に重力がかかっているのだろう。

 押しつぶそうと下へと引きずり込むようだ。

 動けない事はないがかなり動きに制限される。脳が反応できても身体が追い付かない。


 だから、感覚を引き上げ第六感を底上げして動きを読む!



「!」


 重力下に置いても俺の動きについてくるか。相当体に負荷がかかっている筈なんだがな。

 術者は術にかからないが、コイツは違う。


(一々イラつく……)


 早く、堕ちろ。



「【展開】」


(またか、次は何が来る?)


 空中に現れた魔術陣は、周りから水分を集め始め形を細長く変えていく。


(細長い、という事は槍か)


 槍なら俺は得意。且つ動きも分かる。

 通常魔術は発動し、射出したら術者の操作下から離れ一直線に飛んでいく。操作をする事も不可能ではない。

 それには常に集中力を要する。


(それを一度に複数を操作するのは没頭する程に集中力がいる。それで俺に付いてこれるとは思っていないはずなら、この魔術は一直線に飛んでいく。躱せばいい!)


 体を捻り、最小限の動きで躱していく。

 その間も攻撃が止むことはない。躱す事に注力したら白獅からの攻撃を受け、攻撃に注力したら飛んでくる魔術に体を貫かれる。どちらも油断ならない。


 さっきの水の槍が飛び散り地面が泥濘んで踏ん張りが効きにくくなっている。それが狙いか。

 だけどそのくらい何の策にならない……!


 その後も白獅は様々な形状に変えて魔術を打ってきた。

 弾状、刃状、球状、矢状等姿形様々。

 大きさ、速度、タイミングも一つ一つ違う。絶妙な角度で仕掛けてきて躱す事の出来る隙間が小さい。

 それ故攻撃を喰らう回数が増えてきた。だが不思議な事に見た目や速度以上に殺傷能力はない。

 魔力で体を覆っているお陰もあるのだろうが、それでも少ない。


(他に狙いがあるのか?)


 パンチッ


 指が鳴る音が響き、重力力場が無くなっていく。


(どうした?何故自分に有利な重力魔術を解く……?)



(準備が整った)


 俺が何もないこの場所に跳ばされてやった理由、それは、ここに屋根が無いから。


「【展開】」


 空に一つ再び魔術陣が浮かび上がり、白獅は宙へと浮ぶ。


「【雷皇】」


 一瞬、光と共に地へ落ち、後から轟音と一緒に体に衝撃が走る。

 雷。文字通りの一触即発。人間では躱す事の出来ない一撃。

 雷撃は一緒にして俺の体の全身を巡り、強力な電流が流れる。

 それは俺の魔力の壁を突き破る強力な一撃。

 ダメージを受け流すことも出来ず直撃した。


 大量の電流が流れ脳に届き、やがて深いところへと届く。

 目の前が暗転する。

 体を支える力も抜け、前へ転倒していく。


 それを見た白獅も、ようやく平穏が戻ると踵を返し学園の方へと戻っていく。

 静かな学園の運動場の中央、ただ倒れ行く。


 風が吹き、草木を撫でる。

 静寂。

 誰がどう見ても決着がついた。


 先生もそう判断した。決着がついた今、傷ついた生徒を保健室まで運ぶ、それも先生としての責務だ。

 能力を切り運動場まで向かおうとする。



 ドカンッ!!!


 何かが爆破したかのような音が響き渡る。

 急いで能力を再発動して状況を確認しようとするが発動しない。

 何度も試すが上手くいかない。


(直接確認しなくては……!もしかしたら)


 怒りに身を任せ相手を攻撃しているかもしれない。そう考えた私は居ても立ってもいられなかった。

 直ぐに訓練所を出て運動場へ向かう。

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