戦略
先生が教室を去って数分後、教室内は騒然としていた。
「おいおいどうすんだよ!」
「何か作戦を立てないと!」
様々な意見が交差していた。それもそのはず、自分たちの退学がかかっている勝負なのだから……
実は内心、僕も焦っていたりする。当たり前だ。いきなり格上相手と戦う事になったのだから……
そんな焦りと不安が広っている。
そんな時、ガラガラガラと荒々しくドアが開かれた。
「すいません!遅れました!」
と大きく響く声で遅れた来た報告をし、クラス中の視線を一点に集めた。
しかし、そんな静寂が一瞬訪れたがまた騒然とし始めた。
「……えーっと?何々どういうこと?」
現状を理解していない彼女を他所にクラスはこれからの事について色々と話始めた。
「……あ!ヨルくん!」
僕を見つけたのかトコトコと音が出ているような歩き方でコチラにやって来た。
「ねぇねぇヨルくん!皆何を話しているの?」
「……それより、何で来るのが遅かったんだ?」
「え?えへへ、道に迷っちゃった」
迷うほどこのホールから校舎まで入り組んでいないんだが……っていうか一本道だし……
「……はぁ、まあいいや。で、皆が話していることだっけ?」
「うん!そう!何をあんなに騒いで相談してるの」
僕は遅れて来た彼女の為に、作戦を立てて乗り切る自分の確認の為に説明した。
「なるほど〜、そういうことか〜。……ってヤバいじゃん!!」
「そうですよ。ヤバいですよ」
「冷静過ぎない!」
「表情が顔に出にくいだけで内心ではかなり焦ってますよ……」
そうこれだけの情報で何をどうすればいいなんて思いつかない。知識がある人から情報を貰えればどれ程いいか……
……そういえば理事長が言ってたな。
『上位のクラスは知っていると思うが……』
つまり上位クラスは何かしらの情報を持っているのか!
(よし、行くだけ行ってみるか)
そう思い席を立ち教室の外へ出る為にドアの方へ向かって歩き出した。
「アレ?何処行くの〜?お~い」と藍沢さんの声掛けを他所に僕はあるクラスに向けて歩き出した。