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挨拶

 気が付くとそこは見慣れぬ部屋だった。

 部屋というより何処かホールという場所だろう。そこに教室にいたクラスメイト達がいた。すると、


「諸君、お目覚めかね。私は早ノ瀬楓夏。新しくこの学園の理事をすることになった」

「先ずは謝罪を……突然の無礼申し訳ない。この場所を外部の人間に知られる訳にはいかなかったんだ」


(外部の人間?)


「尚、この映像は録画された映像の為、質疑応答する事は出来ないのでそれは悪しからず」

「……さて、早速本題に入ろう。君たちは数多くいる能力者の中でも底辺にいる人間だ」

「この学園いる為には実力をつけ、上位クラスに上がらなければならない。そこで君たちには篩にかかってもらう。では、待っているよ」


 そう理事長こと早ノ瀬楓夏が言い放つとわずかに揺れだした。

 外を見てみると一面海原だった。

 そして先程の揺れは島に到着した時の揺れだったらしい。目の前には多少開発されてはいるものの、多くの自然が広がっていた。

 港らしき所には家一つも建っておらず、少し進めば森林が広がっている。見たところ人が住んでいるとは思えない。


「……では、コチラです」と聞こえるかどうかの声で恐らく案内人に僕たちは皆ついて行った。

 険しい道のりを案内人の人は森道では歩きにくいハイヒールでスイスイと進んでいった。それを、僕たちは必死について行った。

 歩き始めて約1時間。やがて広い道に繋がり、その先には大きな門が現れた。


「……でっか」


 そんな呆気にとられている間にもどんどん先へと進んでいく。

 そこには、街があった。都心の言われても遜色の無いほどの街がそこにはあった。

 島に上陸してから約1時間半。歩き続け、ようやくたどり着いた。

 校門には国立能力開発学校の名前があった。


「よく来たね、諸君」


 案内されたホールに入った瞬間、声が響き渡った。

 ホールには既に何十人程の人がおり、一カ所だけスペースが空いていることから恐らく僕たちが一番最後だったのだろう。

 そしてホールの教壇には1人の女性が立っていた。この世界で知らない者はいない程の有名人。早ノ瀬楓夏……


「改めて、よく来てくれた。この度、理事長としてこの学園の理事する事になった早ノ瀬楓夏だ」

「さて、先ずはいきなり眠らされたのか理由を話させてもらう。上位のクラスは知っていると思うが、ここは日本の領域ではない」


 日本の領域ではない。そう言われた時点で僕の頭は真っ白になっていた。

 あの天才はあろうことか日本ではないと言った。ではここは何処なんだ?

 それに上位クラスはそれを知っている?

 様々な疑問が浮かんでいるのをよそに理事長の話は進んでいった。


「まず、知らない者の為に説明しよう。この学園では月に一回クラス総力入れ替え戦を行う。知っての通り、うちの目的は実力者を育て、本国に貢献することが目的だ」

「たっては、ずっとこのまま卒業という訳にはいかない。なので、下位のクラスには総力戦の戦績次第ではこの学園を去って貰う。」

「皆そうならない様に頑張ってくれたまえ」


 そう言い終わると理事長はホールを去っていった。

 未だに僕の頭は考えが追いついてはいなかった。下位のクラスは学園を去る?総力戦?一体どうなっているんだ

 と、そんな事を考えていると教師らしき人が呼びかけた。


「え〜、それでは各自自分の割り当てられたクラスの教室まで向かうように」


 響き渡った声に反応し、集まっていた者達は、ゾロゾロと歩き出し教室まで向かっていった。

 僕は、少し遅れて反応しFクラスの教室まで向かうのであった。


 教室に着くと同じクラスメイト達は、まるでお通夜の様な空間で自分の席に座って下を向いていた。


(雰囲気暗っ)


 そう思いながら張り出されていた座席表に描かれていた自分の席へと向かい、腰を下ろした。

 運が良いのか窓際の一番後ろの席だった。窓からは綺麗な景色が見えていた。青い海に青い空、港から歩いてきた森林が一望出来た。


(……綺麗だな~)


 そんな事を思いながら外を見つめ続け、何分経ったのか分からない。

 その瞬間、教室のドアが静かに開けられ一人の男性が入ってきた。

 先程ホールにて解散の声を呼びかけた人だった。


「えーっと、そうだな。先ずは何から話そうか……」


「取り敢えず自己紹介を。俺は、このFクラスを担当する山崎やまざき 水斗みなと宜しく。覚えても覚えなくても良いぞ」


(……どういう事だ?)


 僕は、先生の最後の言葉に疑問を持った。覚えなくてもいい?これから過ごす上で覚えて貰った方がいいだろうに。


「先生、説明してください。ここは何処でどうして眠らせて連れてきたんですか」と、僕と同じ疑問を持ったクラスメイトが質問してくれた。


「あ~、そうだな。先ずはそれから説明する。」

「ここは能力の開発をしている研究所みないなところでな。ここでの情報が漏れない様に新入生は眠ってもらってついてきてもらうんだ」


「……で、では私たちがいたあの校舎は……」


「あぁ、アレか。ただのハリボテだぞ?呼び出す為に一度眠ってもらう為に集まってもらう場所として作られたんだ」

「……もう質問は無いな?じゃあ解散。……っあ!そうだ言い忘れていた」

「もう来月から総力戦が始まるからな~。ちゃんと戦略を練るなり、自分の技術を磨くなり準備しとけよ〜。……それともう一つあったわ。明日クラス総力戦の模擬という体でEクラスと色々やるから。以上!」


 そう言い残し先生は教室を去っていった。

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