入学
国立能力実力学園
それが今年の4月から入学する学園の名前だ。
名前の通り、ここは国が新しく設立し、能力を専門として研究、開発、実力を高める為に作られた。
そしてここの理事長はあの早ノ瀬楓夏である。
その為、
能力の実力を以て評価する。評価は最低のFから最高のSランクまである。
実力が高ければ高い程色々な権限や融資を受けることが出来る。
そして僕のランクは……
「”F"か……」
当然といえば当然である。今まで落ちこぼれだの何だの言われ続け、それでギリギリこの学園に入れたのもかなり幸運だ。
例え、彼奴等クラスを倒せる実力があるとしてもここでは同じFランク扱いだろう。
能力を扱えない落ちこぼれ……
それが僕の肩書きだ。このことは学園側にも情報が流れているだろう。というか学校が知らせているかもしれない。
故に僕はFランクなのだろう。
「まぁ、仕方ないか……」
そう言うと僕は入学式の会場である体育館へと歩き始めた。
「改めまして、新入生の皆さまご入学おめでとうございます。」
と、校長先生からのおありがたいお言葉を長々と聞いていた。
何時も思うけど、どうして校長先生の話はこんなに長々と聞いていると眠気を誘うんだろう。
眠気と戦いながら校長先生の話を聞いていると、横から手が伸びてくるのが横見に見えた。
「ねぇねぇ!君は何クラスだった?」
と、隣にいた茶髪のサイドテールの女生徒から声を掛けられた。凄いな見ず知らずの男に気安く声掛けられるなんて……
この学園にはランクと呼ばれるものがある。下からFで始まり、E、D、C、B、Aランクまである。
その中で僕のランクはというと……
「……Fだよ」
「あ!同じだ!これからよろしくね。私、藍沢 澄玲。君は……」
「適当に……そうだな、縁とでも呼んでくれ」
「ヨル君だね!よろしくね!」
こうして話していると先生の話は終わり、各クラスごとの教室へと案内された。
この学園には各学科に別れており、能力、実力、頭脳の3つを評価する。その中で最も自信のあるものを選び評価される。それは、上のランクへ行けば行くほど要求される難易度は跳ね上がる。
(僕はまぁ、頭は普通だし、能力なんてほとんど自信無いし……消去法で実力になるよな〜)
なんて考えていると、
「私が……F?!……」
「まじかよ。Fなんて……」
Fクラスになったことに悲観的になる者がほとんどの中、僕の隣。即ち先程知り合った藍沢はというと……
「わぁ~!これがこのクラスか〜!楽しくなりそうだね!!」
1人達観していらっしゃった……
まあ、ずっとFクラスにネガティブに考えていても藍沢みたいじゃなくてもポジティブに考える事の方が良いのかな。
「……zzz」
寝ている奴もいるし……
そう考えると藍沢はまだマシなのかな……
ガララララ
そんな事を考えていると教室のドアが開き、1人の先生らしき男性が入って来た。
「……よし、全員いるな」
「じゃ、これから行くぞ」
クラス全員が疑問を浮かべただろう。唐突に入学式後に何処変え行こうと言い出したのだから。
「…あの、先生……何処に行くんですか」
「何って、校舎に決まってるだろ」
(校舎?ここはそうじゃないのか?)
皆同じ疑問が浮かんだことだろう。僕だってそうだ。さっきまで舞いがっていた藍沢でさえ「?」の顔をしている。そしてもう人は
「……zzz」
まだ寝ていらっしゃった……
「それじゃ、行って来い!今度また会うのは卒業式だ。……その時会えるのは何人かな?」
言い終わると同時に、教室の壁付近から何やら怪しげなガスが入ってきた。
「きゃあ~!!」
「何だ!このガス……」
「うおッ!大丈…夫……か……」
「ッ!このガス吸い込むと……眠る……ぞ……」
すぐさまハンカチや袖で口と鼻を覆うも遅く、次々に眠気に襲われ倒れていった。
ガスを吸い込んだ生徒達が、次々と倒れるように眠っていった。
「じゃあね〜」
そう言いながら手を振り、いつの間にか顔にはガスマスクをしている先生がいた。
(くッ!!何だよ……コレ……)
さらにガスが多く排出され、さっきよりもさらなる眠気に襲われた。濃い霧の中に居るように目の前がガスで見えなくなっていき……