決闘4
静けさの後、嵐がやって来た。
収めていた刃が解き放たれたと思ったら、目前にまで斬撃が跳んできていた。
「!?」
なんとか間一髪、取り出したナイフで防ぐ事が出来た。が、
「ぐっ……っ……!!」
防げたが、このままだとナイフが持たない。既にナイフの刃にヒビが入り始めている。
「っ……ふっ!!」
ナイフが持っている間に力いっぱい跳んできた斬撃を上の方向へと変えることが出来た。
「ハァ……ハァ……ッ」
体力の消耗が激しい。でも今のはヤバかった……
あの斬撃、訓練用の刀だったから直接的な傷にはならないと思うが、相当なダメージになっただろう。
手がヒリヒリする。こんなに手がヒリヒリするとは……
氷城さんの時は避けに専念していたが、こんなのは始めてだ。
「クフッ……」
「……?可笑しくなったか?何を笑っている」
「いや……、お前程の奴を出会った事が無くてな……俺自身、何が可笑しいのか知らないが、顔がニヤけるんだ……」
「戦闘狂か?」
「俺自身そうだとは思っていないんだがな………………いや、そうなのかもな」
「俺は、今、戦闘をこの上なく、楽しんでいる!」
天を仰ぎ、両の手を広げる。
夜の月光を浴びる様に、この空気を吸い込む様に……
体全身がヒリつく感覚がクセになる。今最高に俺は楽しんでいる。
勝てないかもしれない……
上等だ。そんな可能性に挑んでやる!!
全部だ。全部出し尽くす。魔力も体力も、俺の体に流れる血の一滴だって出し尽くしてやる!
「さぁ、始めようか……全力で、楽しみ尽くそうか。この遊びを」
「……ふっ……付き合ってやるよ。その児戯に」
互いに魔力が揺らぎ出る。互いに全力、互いに全開……
技と技のぶつかり合い、能力と能力のぶつかり合い。まぁ俺は能力使えないが。
それがなんだ……丁度いいくらいだ。
技術、小手先一つで勝敗がつく。それで良い。
くっ……くははははははっ!!
面白いじゃないか!やってやろうじゃないか!
俺がどうなろうと関係無い。俺の実力がバレようが関係無い。
今ここで決着をつける!